猫が『痩せてきた』と感じたら…考えられる5つの原因 疑うべき病気もご紹介

猫が『痩せてきた』と感じたら…考えられる5つの原因 疑うべき病気もご紹介

猫の体重の変化は、重要な健康のサインです。特に、ダイエットをしていないのに急に痩せてきたと感じた場合には、病気や環境の影響が潜んでいる可能性があります。体重減少は早期に気づくことで、重大な病気の予防や発見につながります。今回は、猫が痩せてしまう原因と注意すべき病気について紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.糖尿病

血糖値を検査する猫

猫の糖尿病は、インスリンの分泌や作用に問題が生じ、血糖値が高くなる病気です。7歳以上の中高齢猫で発症しやすく、特に肥満のオス猫はリスクが高いとされ、早期発見が重要だと言われています。

糖尿病の猫の特徴として、過剰に水を飲んで大量におしっこをする(多飲多尿)や食欲旺盛なのに体重が減っていくという矛盾した症状が見られるでしょう。また、症状が進むと元気の低下や脱水などの症状が見られるようになります。このような症状に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。

2.甲状腺機能亢進症

聴診器を当てられている猫

甲状腺機能亢進症は、高齢の猫に多く見られる病気です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって新陳代謝が過剰になり、食欲は旺盛であるにもかかわらず体重が減少し、落ち着きがなくなることがあります。

甲状腺機能亢進症の猫は、一見すると元気になったように見えるため見過ごされることも少なくありません。高齢の猫が突然、夜鳴きをするようになった、大きな声で鳴くようになったなど、行動の変化が見られる場合は、念のため動物病院への受診をおすすめします。

3.消化管内の寄生虫

子猫と薬

猫は回虫や条虫などの寄生虫が腸内に住み着くと、ご飯を食べているのに痩せていくという状況に陥ることがあります。これは、腸内に寄生した寄生虫に栄養分を横取りされてしまうためです。

寄生虫に感染すると、痩せるほかにも軟便や下痢、嘔吐、毛づやの悪化、ときには貧血などの症状が見られるようになります。

寄生虫によっては人間にうつるものもありますので、感染が疑われる場合は、早めに動物病院を受診し駆除しましょう。

4.給餌量が足りない

空の器と上を見上げる猫

体重減少の原因は病気だけではなく、フードの量が不足している場合もあります。猫の健康を維持するためには、年齢、体格、活動量に応じた適切な量のカロリー摂取が必要です。食欲があるのに体重が減る場合は、フードの種類や栄養バランス、与える量を見直しましょう。

特に、高齢猫や食欲が低下しやすい猫は、嗜好性の高いフードを取り入れるなど工夫も必要です。また、多頭飼いの場合は、ほかの猫に横取りされるなどで食事量が偏ることがあるため注意してください。

5.環境の変化などによるストレス

キャリーバッグから出てきた猫

猫は環境の変化や生活リズムの乱れに敏感で、人間にとっては些細なことでも大きなストレスを感じ、食欲不振、体重減少につながることがあります。ストレスによる体重の減少は、体調不良や免疫力低下にもつながるため、注意が必要です。

猫のストレスの原因としては、引っ越しや来客、新しいペットのお迎えなどが考えられます。原因を突き止め、排除または改善に努めるようにしましょう。また、猫が安心できるように、隠れ場所や静かな休息スペース、登れる高い場所を用意してあげるのもおすすめです。

まとめ

体重計に乗る猫

猫の体重減少は、病気や消化管内寄生虫、給餌量不足、環境ストレスなど複数の要因が考えられます。特に、短期間での急激な体重減少は糖尿病や甲状腺機能亢進症などの重大な病気が隠れている可能性が否定できません。気になる症状が見られたら早めに獣医師に相談してくださいね。

また、猫の健康を守るためには日常的な体重チェック、食事管理、環境整備に気を配り、病気の早期発見・早期治療につなげるためにも定期的に健康診断を受けることが大切です。

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