1. ブラッシング頻度

被毛の長さが変われば、毛量も変わります。長毛猫と短毛猫のお世話で最も大きく異なるのがブラッシングの頻度です。
長毛の猫は毎日のブラッシングが欠かせません。長毛猫は抜けた毛によって毛玉ができやすく、そのまま放置すると皮膚が引っ張られて痛い思いをしたり、肌荒れなどのトラブルの原因になります。換毛期には、アンダーコートトリマーなどを使って、1日に2回は抜け毛を取り除きましょう。
一方、短毛猫は抜けた毛の落ちやすさから、通常なら一日おき程度でも問題ありません。ただし、換毛期には抜け毛の飲み込み防止として、ブラッシング頻度を増やしましょう。スリッカーブラシなど、毛の奥まで届くものを選ぶとスッキリしやすくなります。
2. トリミングの必要性

長毛猫は暑さ対策や毛玉対策として、定期的なカットや部分トリミングが必要になることがあります。暑さについてはエアコンでも対応できますが、毛玉は注意が必要です。こまめにブラッシングをしても、足の付け根、首回りなど摩擦の多い部分には小さな毛玉ができやすいためです。
また、長毛種ほどお尻周りの毛が汚れることがあります。トイレ後を観察していて、汚れるようであれば、必要に応じてお尻周りの毛を定期的に短くカットすると良いでしょう。
短毛猫は基本的にトリミング不要ですが、高齢や肥満で毛づくろいが不十分な場合には、毛が絡んだりお尻が汚れやすくなることがあるため、必要に応じた対応が必要です。
3. 抜け毛対策とお掃除方法

短毛種と比べると長毛猫の抜け毛は平常時でも量が多く、ふわふわな毛質から、家具や衣類などに付着しやすくなります。また、短毛猫の抜け毛は短い分、カーペットや布製品の繊維の奥に入り込みやすいという特徴があります。
基本的な対策としては、こまめなお掃除が一番です。空気清浄機や吸引力の高い掃除機、ウェットシートを使用したフローリングワイパーで取り除くようにしましょう。カーペットなどに入り込んだ毛は、粘着ローラーやゴム手袋をしてかき集める掃除が効果的です。
抜けた猫の毛をそのままにしておくと、ほかのホコリや花粉などを吸着し、アレルギーやぜんそくの原因となることがありますので、抜け毛の清掃はブラッシングと同じくらい大切です。
4. 定期的なシャンプー

猫は基本的にシャンプーの必要はないといわれていますが、あくまでもそれは短毛種のこと。短毛猫は毛玉もできにくく、毛についた皮脂も広がりにくいため、汚れが気になるときだけ年1〜2回程度のシャンプーでも十分です。
一方で長毛猫は、被毛が密集して生えているため、毛づくろいで取れなかった皮脂や汚れが毛の間に溜まりやすい傾向があります。猫が毛づくろいをしても皮膚全体を舐めるわけではないので、1〜2ヵ月ごとの定期的なシャンプーをしましょう。すでに毛玉がある場合は、かえって悪化してしまったり、乾かなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
もちろん、濡れることを嫌がる猫も多いので、ドライシャンプーや蒸しタオルで拭き取るだけでも良いでしょう。ただし、皮膚疾患がある場合は、獣医師と相談して頻度を調整してください。
5. 健康管理と定期チェックのポイント

被毛の長さは毛に関する注意点だけでなく、健康管理にも注意が必要です。長毛猫は、短毛種に比べると、毛に隠れて体型の変化や皮膚の状態に気づきにくいという問題があります。
長毛猫にはおっとりしたタイプが多いため、慢性的な運動不足から太りやすい傾向にあります。その上、ふわふわの長毛によって体型の変化に気づきにくくなります。体重測定は自宅でも簡単にできるので、定期的に測るようにしましょう。
ただし、猫の症状の軽い皮膚炎やしこりなどは、直接皮膚を見たり触ったりしてチェックしてあげる必要があります。これらは短毛種でもなる可能性があるので、ブラッシングなどスキンシップの時間にチェックする習慣を持ちましょう。
まとめ:愛猫に合ったお世話で健康的な生活を

猫のお世話は、フードやトイレ砂は同じでも、毛の長さによってちょっとした違いがあります。長毛種はブラッシングや毛玉対策などで、少しだけ手をかけてあげると快適に過ごせます。
被毛が長い分、見た目では体の変化や皮膚の状態がわかりにくいこともあり、健康管理では注意が必要です。もちろん短毛種でも、日頃の観察は欠かせません。
長毛と短毛の違いは、両方を飼ってみないと実感しにくいかもしれませんが、特徴を理解しておくことでケアのポイントに気づきやすくなります。
もし「これって大丈夫かな?」と思ったら、ためらわずに動物病院で相談してみましょう。獣医師のアドバイスがあれば、愛猫も飼い主も安心して過ごせるでしょう。