知っていると役に立つ4つの『食性』

皆様の愛猫は、好き嫌いなく何でも食べてくれるほうですか?肥満になるほどの食いしん坊でなければ、よく食べるに越したことはありません。
ただその一方で、食べムラがある・飽き性なのでフード選びが難しいなど、猫の食生活にお悩みを持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか。
一見すると難しい課題のようですが、『猫の食性』がわかると解決の糸口が見えてくるかもしれません。
ここでは、知っていると役に立つ猫ならでは食習慣を4つ紹介いたします。
1.猫は小刻みに食事をとる

人間の食事は1日3回、犬の場合は1日2回というパターンが主流です。では、猫の場合はどうでしょう。ペットショップや動物病院では、「成猫であれば犬と同様に1日2回で大丈夫です」と指導されることが多いのではないかと思います。
しかし、野生の猫は1日に10回は食事をとるのが当たり前です。その理由は小動物を1匹ずつ捕食し、食べては休みまた狩りをする、という行動を繰り返す必要があるからです。
家猫の場合はキャットフードなのでこまめに狩りをする必要性こそないものの、食べ方としては小刻みに食事をとることが本来の食性に近いと言えます。
とはいえ、1日10回も給餌することは困難ですし、多頭飼育の場合は食欲や食べ方の違いにより、食事と体重管理が難しい場合もあります。よって、回数よりも質の良い食べ方が重要になります。特に食べムラがある猫は、少量の食事を何回も摂取することで、目安量をクリアできればOKです。愛猫のペースに合わせて提供してみてください。
家を空ける時間が長いご家庭では、複数箇所に分けてドライフードを置いておくと良いでしょう。少しでも食べてくれたら褒めてあげることも忘れずに。飼い主さんが喜ぶ姿は、愛猫のモチベーションにつながります。
2.「母に教わった味」が好みの味になる

先ほど小動物を捕食すると紹介したように、猫は本来『肉食動物』に分類されます。
野生の猫は母猫から狩りを教わることでハンターとしての腕を磨き、やがては自らの手で狩りをすることになります。その過程で母から教わった味(獲物の種類)が好みの味になっていくのです。
家猫の場合は、飼い主さんから与えられたキャットフードが鍵を握ります。生後6ヶ月以降を目安に成猫用のフードに徐々に切り替えるのですが、この時期に限定されたもののみを食べた猫は好みの幅が狭まってしまうので要注意です。
皮膚や消化器疾患などの特別な事情がない場合は、ドライフードもウエットフードもバランスよく食べさせること・様々な味を食べさせること・より複数のメーカーにチャレンジさせることが大切なので、ローテーションを組みながら食べさせてみてください。
尚、いきなりフードを変更するとストレスを感じたり、消化不良を起こしたりします。したがって、少しずつ新しい フードの割合を増やしながら切り替えることをおすすめします。
以上が好き嫌いを減らすコツです。基本的には『総合栄養食』を食べさせます。獣医さんから『療法食(治療を目的としたフード)』に切替えるように指示があった場合のみ、療法食を与えるようにしましょう。
実は、フードのローテーションをする真の目的は『療法食』を必要とした際に非常に役立つからです。幼い頃から様々な味に慣れておくことで、目新しい食事への抵抗を減らすことが可能になります。
これは言うほど簡単なことではありませんが、これから猫を迎える方は意識的に実行してみてください。
3.理想の温度は38℃

食に対する興味が薄い猫や食が細ってしまっている場合は、タイプに関わらず38℃程度に温めたフードを提供してみてください。香りが引き立つうえに、より野生の食生活に近づくことから食い付きが良くなる可能性があります。
想像してみてください。狩りをして得た獲物はまだ温もりが残っています。その温度感が38℃であること、そして猫の平熱も38℃〜39℃のことから美味しいと感じやすいです。温めると香りも立ちやすいので、より一層食欲が増しやすいです。
逆に冷めた食事は新鮮さを失った獲物を連想するので、食欲が失せてしまう猫もいるのです。特にウエットフードは生肉に近い食感が楽しめるものなので、一度温めてあげると喜ばれるでしょう。
フードに飽きが来ている場合や、イマイチ食い付きが悪いフードも、この方法を取れば食べてくれる可能性があるので試してみてください。
もちろん、狩りの経験がなく子猫から人に育てられている場合など、猫の好みは一定ではないため、冷たい食事を好む猫の場合は温めが逆効果になることもあるので注意しましょう。
4.狩り(遊び)と食事を結びつける

ハンターとしての素質は家猫にも備わっています。したがって、遊びと食事をセットにすると、より美味しいと感じやすくなるでしょう。
1日に1回のみでも構いません。食事の前に遊ぶ時間を設けてみてください。愛猫の好きなおもちゃを使った遊びに誘い、獲物を捕まえるところで終了とします。その直後にフードを食べさせます。
遊びに付き合う時間が取りにくい場合は、知育玩具を活用してみてください。いずれの場合も『自分で戦って得た』という自信につながり、立派な猫として誇りを持てるようになるはずです。
ハンターとして目覚め、自力で獲物を得るという、より野生界に近い環境が精神的にも健康寿命を伸ばすことにつながるでしょう。運動することは介護予防の観点からも役立ちます。
まとめ

改めて猫の食性を整理してみましょう。
- 猫は肉食動物である
- 猫は生粋のハンターである
- 離乳中から生後6ヶ月の頃に食べた味が好みを形成する
- 獲物や自身の体温と同じ38℃前後を好む
- より新鮮な風味が要となる
この点を踏まえて食事を提供するようにしてみてください。食性を意識した食生活は、健康の維持促進・食べムラ改善・食べ飽き減少・介護予防に役立ちます。
最後にもう1つ大切な食性を紹介しておきます。それは、ヒゲを極力汚さないことです。猫にとってヒゲはセンサーの役割を持ち、弱い視力をカバーしてくれる存在です。よって、捕食の際もヒゲに気を配りながら食べる習性を持っています。
ご家庭でも楕円形の食器や、浅型の器などを意識的に取り入れてみるとストレスフリーな環境が整うでしょう。