猫がウンチの前後に鳴く「トイレハイ」のナゾ…考えられる3つの理由 痛みを感じている場合も

猫がウンチの前後に鳴く「トイレハイ」のナゾ…考えられる3つの理由 痛みを感じている場合も

愛猫がトイレの前後に、興奮気味に鳴いたり、急に家の中を走り回ったりしているのを見たことはありますか?いわゆる「トイレハイ」と呼ばれる現象です。必死の形相で暴走している姿に、思わず笑ってしまう人も多いでしょう。しかし、これらの行動の中には、体の不調が隠されていることもあるのです。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

トイレハイ?猫がウンチの前後に鳴く3つの理由

ソファ間を飛び移る猫

「トイレハイ」といえばダッシュで走り回ることが多いものですが、走りながら雄たけびのように鳴いたり、飼い主のもとへ来て大興奮でニャーニャー鳴いたりするケースもあります。

それには、こんな理由があるからなのですね。

1.スッキリしてテンションが上がった

トイレハイの理由として最も有力視されているのが、「スッキリしたから」というものです。当然ながら、この場合は排泄前には鳴きません。

排泄は生理的なストレス解消になるため、猫は排泄後に爽快感から走り回り、大きな声で「ニャオ~ン、ニャオ~ン」と鳴くのです。

飼い主からすると「どうした、急に?」と思えるかもしれませんが、元気な猫によく見られる正常な行動です。猫にしてみれば、「よし、出たぞ〜」という歓喜の雄たけびなのかもしれません。

2.トイレをキレイにしてほしい

排泄後にすぐに飼い主のもとにきて、ニャーニャー大騒ぎするトイレハイもあります。はじめは気づきにくいものですが、一緒に暮らす時間が長くなれば「トイレの後は、必ず自分のもとに来て鳴く」ということに気付くでしょう。

これはたいてい、「出たよ」のお知らせと「片づけて」のお願いであることが多いものです。多頭飼いの場合、すでに誰かに使用されているトイレを見て、飼い主に「トイレ行きたいから早く片づけて」と言いに来ることもあるでしょう。

猫は本能的に排泄物のニオイ残りを嫌うので、トイレ掃除はこまめにやりましょう。

3.痛みのサインの可能性

一方で、排泄前や排便中に鳴く理由には、便秘や排泄痛の不快感が原因かもしれません。身体のどこかが慢性的に痛い場合は、食欲の低下や元気がなくなることがありますが、ウンチのときだけ鳴く場合には、便が硬くなって排便がスムーズにいかないのかもしれません。

特にドライフードが主体で水分摂取が少ない猫は、便中の全体水分量も少なくなり、排便しにくくなる傾向があります。特に固まる砂を使っている家庭では、カチカチの便は砂によるものか、水分不足なのか判断しにくい部分があり発見が遅れてしまうかもしれません。

排便時に苦しいと鳴き声が強くなるほか、トイレに入るのを迷う行動が見られることもありますので、トイレハイが見られたら便の様子も注意しましょう。

どのように見分ければよい?正常行動と異常のサイン

トイレから飛び出る猫

猫がトイレの前後に鳴くことに気づいたら、早いうちから、行動の頻度や鳴き方を観察しておきましょう。たまに鳴くだけで、明らかに楽しそうな様子(単なるトイレハイ)なら、ほぼ問題ありません。しかし、毎回排便中にも鳴く、苦しそうに排便する場合は、何かの不調が隠れている可能性があります。

便がコロコロで硬い、血が混じっているなど排泄物の異常や、排泄後にしきりにお尻を舐めたり、動きが鈍くなったりする様子があれば要注意です。

また、症状が一時的であっても、鳴き声や動作を動画で記録しておくとあとで役に立ちます。診察時には、口頭での説明だけよりも、映像がある方が的確な診断につながりやすくなるでしょう。

まとめ

走り出しそうな猫

猫のトイレハイは、猛ダッシュで走り回るだけでなく、大きな声で鳴くなど、テンションが上がっているように見える行動も含まれます。今回は、その中でも特に鳴くタイプのトイレハイについて解説しました。

排泄後にテンションが上がって走り回りながら鳴くほか、トイレ掃除をお願いするように飼い主の元へ駆け寄って鳴く場合もあります。これらは多くの場合、問題のない行動で、特に心配はいりません。

一方で、排泄時に鳴く行為は便の異常が関係していることもあります。排便の前後ではなく、している最中にも鳴く、便が硬い、鮮血がついているなどの異常が見られる場合には注意が必要です。

ただし、「トイレのときに鳴くんです」というだけでは獣医師も判断が難しくなります。便の状態や排泄前後の猫の様子をよく観察して伝えましょう。動画などを撮影できたら役立ちます。

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