猫が『ご飯を急に食べなくなった』ときは要注意!考えられる5つの原因と対処法

猫が『ご飯を急に食べなくなった』ときは要注意!考えられる5つの原因と対処法

猫の食欲は健康のバロメーター。急に食べなくなる時は、必ずと言ってよいほどきっかけがあるものです。考えられる原因は?どう対処すればいい?詳しく解説いたします!!

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫が『急にご飯を食べなくなる』5つの原因と対処法

食事を見つめる猫

食いしん坊の猫が急にご飯を食べなくなった。あるいは、食べムラこそあれど美味しそうに食べていたものにパッタリ興味を示さなくなった。

このような食欲の変化は、健康状態を見直す重要なサインです。極論をいえば、何のきっかけもなしに起こる変化ではないということ。必ず理由があるはずなのです。

ということで、ここでは"いつものご飯を食べなくなった猫"に対して考えられる5つの原因と、それぞれの対処法について詳しく解説いたします。

1.今のご飯に飽きてしまった

においを嗅ぐ猫

猫は意外とグルメな生き物で、フードに飽きてしまうことがよくあります。特に食に対する興味が強い食いしん坊な猫に多い傾向にあります。

とはいえ猫は繊細な側面を持っているため、突然フードを変えてしまうこともまたリスクを伴います。飽き性だからといきなり別の食事を出してしまうと食べなくなることがあるのです。本当に身勝手ですね。

このタイプの猫に対する効果的な対処法としては、フードのローテーションやアクセントを加えることがおすすめです。

アクセントとはトッピングのことで、ベースとなるフードは変えずに別のフードをトッピングする・ウエットフードと併用するなどの方法があります。

2.ストレスを抱えている

イカ耳の猫

愛猫が飽き性でも凝り性でも偏食家でもないという場合は、ストレスが引き金になっていないか振り返ってみてください。

猫はデリケートな生き物なので、些細な模様替えや飼い主さんの勤務形態の変化などにも敏感に反応してしまいます。

もしくは留守番中に地震が来た・雷が鳴った・インターホンが鳴って驚いたなどの"嫌だったこと"が背景にある可能性も考えられます。

何か心当たりがある場合は、優しく声をかけながらマタタビや好物のおやつなどを食べさせましょう。心が落ち着けば自然と食欲が戻ります。

また、食事がより美味しく感じるようにドライフードを人肌程度に温めることもおすすめです。猫は味を楽しむというよりは風味を味わう動物なので、香りを引き立てることで食欲が増す場合があるのです。

ただし、これらの対処法を試みても食べてくれず、2日が経過した時は必ず診察を受けるようにしてください。猫は個体差もありますが、3日以上絶食が続くと肝機能が低下してしまうことがあります。完全に機能不全を起こす前に、病気や怪我が潜んでいないかチェックしてもらいましょう。

3.体調が悪い

ぐったりする猫

猫は体調が優れないと安全な場所に隠れ、じっと耐え忍ぶという習性があります。これは群れをなさない動物の特徴で、外敵から身を守る手段なのです。

ひたすら回復を待ち続けるので、飲まず食わずの状態になっても耐えてしまうのです。もちろん中には体調が悪すぎて食べられないというケースもあります。

何れにしても、普段とは全く異なる行動を伴って食べてくれないという場合には注意が必要です。排泄の状態や嘔吐の有無なども合わせてよく観察してみてください。

やはりタイムリミットは2日間です。3日を経過しないタイミングで診察を受けるようにしてください。

季節の変わり目であれば、猫風邪や胃腸炎がきっかけでも食欲が低下します。その他の季節では腎機能の低下や肝機能の低下、尿路結石など猫がなりやすい病気が隠れていることがあります。

早期発見・早期治療に結びつけるためにも、日頃からどの程度の食欲があるか把握しておくことが大切です。些細な変化に反応できるように、家族と情報共有をしておくと安心です。

4.お口のトラブルを抱えている

診察を受ける猫

不調による食欲の低下にはもう1つ、お口のトラブルがあることを忘れてはいけません。内臓系のトラブルとは異なり、口腔内に異変がある時は次のような行動を示します。

  • 空腹ではあるので食べたそうな素振りがある
  • 口をモゴモゴしたりクチャクチャしたりする
  • 生臭い魚のような口臭が目立つ
  • あくびをした際に口を覗くと赤みがある
  • 歯を失った形跡がある

これらの多くは口内炎や舌炎、歯周病などが原因で起こります。特に口内炎は難治性のケースが多いので、早めの受診が鍵を握ります。

対処法としては診察を受けることと、原因となったトラブルの除去です。場合によっては抜歯をすることで再び食べられるようになります。

そもそも猫は獲物を丸呑みする動物なので、歯を残すこと以上に痛みを取り除く選択が重要になります。猫の歯は、獲物を飲み込める大きさまで裂いたり、砕いたりする役割を担っています。担当の獣医さんとよく相談したうえで、愛猫のためになることを選んであげてください。

5.加齢による食欲の変化

シニア猫

猫は概ね10歳を過ぎるとシニアとなり、さらに15歳を超えるとハイシニアとなります。見た目はまだまだ若々しくても、相対的な食欲は自然と減少していくものです。

そう、最終的に考えられる原因は加齢による食欲の変化というわけです。愛猫が該当年齢に達している場合はこれを1つの要因としつつ、病気の可能性を否定してもらうために一度診察を受けておきましょう。

特に病気がなく加齢が原因の場合は、獣医さんのアドバイスを元にフードを少しずつ変えていけると良いですね。

シニア及びハイシニアの食事の特徴はカロリーが高いことです。少量の食事から効率よくエネルギー補給ができることを目的に作られています。

固形物の摂取が難しくなった場合でも、ムース状やペースト状の介護食があるので安心してください。食べられるうちは美味しく食べられるものを食べさせてあげることが大切です。

まとめ

微笑む猫

猫が急に食べなくなるという現象は、極めて不自然な行動です。そこには何らかの原因があると思いましょう。

よくあるものとして、今回は5つの要因と対処法をピックアップいたしました。今まさにお悩みの飼い主さんは、参考にしてみてください。

そして気になることがあれば、躊躇わずに動物病院を受診してください。食欲は健康のバロメーターです。些細なことではありますが、猫からのSOSの可能性があることを覚えておいてください。

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