猫が『猫背』なのはなぜ?考えられる3つの理由 背中を丸めたボディーランゲージの意味も

猫が『猫背』なのはなぜ?考えられる3つの理由 背中を丸めたボディーランゲージの意味も

猫は「猫背」という言葉の由来にもなっているほど、背中を丸めた姿勢が特徴的。実は猫の猫背には、体の仕組みや習性に深く関わる意味が隠されているのです。今回は、猫が猫背である理由について解説していきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が猫背の3つの理由

キャットタワーにいる猫

1.人間より骨や関節が多いから

猫が猫背である理由として、まず挙げられるのが体の骨格、特に骨や関節の数です。人間よりも多くの骨と関節を持つことが、あのしなやかで丸まった姿勢を生み出しています。

猫の体は、人間の骨格が約206本なのに対し、尻尾の骨も含めると約240本もの骨を持っています。 特に背骨を構成する胸椎や腰椎が人間より多く、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たす椎間板も非常に柔らかいため、背中を大きくしなやかに曲げることができるのです。

さらに、猫の肩甲骨は胴体の骨格に直接つながっておらず、筋肉だけで支えられています。 これにより前足の可動域が驚くほど広くなり、狭い隙間を通り抜けたり、獲物を捕らえたりする動きを可能にしています。

また、しなやかな動きを支える上で欠かせないのが尻尾の骨です。多くの小さな骨で構成された尻尾は、走ったりジャンプしたりする際に絶妙なバランスを保つ重要な役割を担っています。 これらの骨格の特徴が組み合わさることで、猫は人間には真似のできない驚異的な柔軟性を発揮しているのです。

2.鎖骨が独立しているから

グレーの猫

猫の猫背としなやかさを語る上で、鎖骨の存在も欠かせません。人間は頭を支えるために、鎖骨と肩甲骨がしっかりとつながり、横に張った「肩」を形成しています。

ところが猫の場合、この肩周りの構造が大きく異なり、見た目にも「なで肩」のように見えます。

実は、猫の鎖骨は胸骨や肩甲骨と連結しておらず、筋肉の中に埋もれるようにして痕跡的に存在しているだけです。

この鎖骨の構造のおかげで、猫は肩幅を気にすることなく、自分の頭さえ通る隙間があれば体全体をスルリと滑り込ませることができます。

このように肩周りの骨格が自由に動くことで、背中のしなやかさが一層際立ち、必要に応じて背中を丸めたり反らせたりすることが容易になります。

猫が自然に猫背の姿勢をとれるのは、こうした特殊な骨格の仕組みが大きく関係しているのです。

3.猫背のおかげで衝撃を吸収しやすいから

ソファーに座る猫

猫が高い場所から飛び降りても軽やかで、怪我をしにくいのは、猫背に代表される柔軟な体のおかげです。着地する瞬間、しなやかな背骨と全身の関節を巧みに使ってバネのように体を沈み込ませ、落下のエネルギーを見事に分散させます。

空中で体勢を立て直して、常に足から着地できる優れた平衡感覚もさることながら、その衝撃を受け止めることができるのは、この柔軟な背骨と関節があるからこそです。

まさに、猫のしなやかな背中は、命を守るための高性能なエアバッグのような役割を果たしているといえるでしょう。

猫が背中を丸めるのはボディーランゲージの意味もある

集まっている猫たち

猫が背中を丸める姿は、体の構造上の理由だけでなく、その時の気持ちなどを示すこともあります。

代表的なのが「威嚇」や「恐怖」のポーズです。毛を逆立てて背中を大きく丸めることで、自分の体を実際よりも大きく見せ、相手を追い払おうとします。 初めて会う相手や、怖いと感じるものに遭遇したときによく見られます。

一方で、眠る時に体を小さく丸めるのは、急所であるお腹を守るための本能的な行動であり、体温を逃さないようにする「保温」の意味もあります。

まとめ

座っている

猫が「猫背」であるのには、骨の数や特殊な鎖骨の構造といった、身体的な理由が深く関わっています。そのしなやかな背中は、衝撃を吸収して身を守り、猫ならではの俊敏な動きを可能にしています。

また、背中を丸める行動は、言葉を話さない猫たちの大切なコミュニケーション手段でもあります。当たり前だと思っていた猫背にも、猫の生態や気持ちを知るヒントがたくさん隠されていると思うと、驚きですよね。

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