猫の介護を始めるべきタイミング3つ

具体的な介護開始のサインとしては、今まで当たり前にできていたことができなくなった時が目安です。
筋力の低下や病気の影響、視力や聴力などの感覚機能にも衰えが出てくるため、生活面でのケアが必要になります。猫の不安を取り除くためにも、介護のタイミングを逃さないでください。
1.食べ方に変化が見られたとき
シニア猫になると、もともと備わっている体力で大きな個体差が出てきます。その中でも顕著に表れるのは、食欲や食べ方の変化です。食べる量が減る、ドライフードを噛まない、あるいはボロボロとこぼす、好みが極端に偏ってくるなどの症状が見られます。
その背景には、歯やあごの衰え、歯肉炎・口内炎、嚥下機能の低下が原因の場合があります。嗅覚が衰えると、香りの弱いフードを感じにくくなり、食べムラを起こすこともあります。
また、慢性疾患の腎臓病は高齢猫に多い病気です。食欲低下や多飲多尿が見られたら、病院を受診して治療すると同時に、自宅での介護を始めるタイミングといえるでしょう。
2.歩き方に変化が見られたとき
高齢になると猫も筋力が弱り、足取りが不安定になったり、ジャンプの回数が減ったりします。特に成猫時に寝てばかりいた猫は、シニア期以降、筋力が落ちやすくなり、歩行にも支障が出てきます。
このような身体機能の低下は、日常生活のさまざまな場面で確認できます。以前と比べて、平らな場所でも足取りがふらついたり、階段の上り下りを避けるようになったり、あるいは歩くスピードが明らかに遅くなって、家の中の移動ですら途中で休憩するようになった場合は介護開始の目安となります。
ただし、足を引きずるような歩き方をする時は、関節や筋肉に痛みがある可能性が高く、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
3.トイレ・排泄に変化が出てきたとき
高齢猫になると、筋力的な問題だけでなく、認知機能の衰えから排泄したいという感覚自体が曖昧になることがあります。そのせいで、トイレまで間に合わない、場所を間違える、頻繁にトイレへ行く、または便秘気味になることがあります。
排泄行動に支障が出始めると、猫の生活の質が大きく低下します。そのため、排泄の変化はほかの老化サインよりも優先的に介護を始める必要があります。排泄に関わる介護は、環境整備から排泄の介助まで多岐にわたります。
もし、原因が疾患由来であれば、命に関わることもあるため、排泄に異常が見られたら早急に病院を受診しましょう。
介護ってどんなサポートをするの?

猫の介護の基本は、「生活の質」をできる限り維持できるようにサポートすることです。猫は自立した動物なので、うまくできなくても「自分でできること」を奪ってはいけません。すべてを飼い主がやってしまうと、逆に生活の質は落ちてしまいます。
食事の工夫
たとえば、ドライフードを食べにくそうにしていれば、ふやかしたりウェットフードに切り替えたりしてみましょう。また、消化機能が落ちてきた場合には、一日の食事回数を増やすことで胃腸の負担を軽減できますし、フードを人肌にあたためることも効果的です。
トイレ環境の見直し
トイレに関しては、環境を整えることがポイントです。愛猫がふだん過ごす場所からトイレまでの距離を見直し、トイレを増やす、ステップやスロープで段差をなくすなどの対策は、早めに行ってあげると良いでしょう。
もし、排泄コントロールができない場合は、ペット用のおむつの使用を検討しましょう。なかには猫のおむつに抵抗感を持つ飼い主さんもいますが、毎日汚れた布団やカーペットを洗うよりも、ずっと気持ちが楽になります。
介護するときの心構え
介護は大変な面もありますが、愛猫が安心して過ごせるよう支える愛情表現です。無理をして悲観的になっては、猫も心配します。
最初はついつい焦ってしまいますが、猫の様子を見ながら必要に応じて順次対応していけば十分です。かかりつけの獣医師とよく相談をして、できるだけ猫と人の負担が軽くなるよう努めましょう。
まとめ

愛猫とは末永く一緒に過ごしたいものですが、人よりも寿命の短い猫はいつか介護をする時期がやってきます。
食べ方やトイレ習慣、歩き方の変化が出てきたら、介護を始めるサインです。早めに環境を整えてあげるだけでも、猫の生活の質は保つことができます。
介護の基本は、猫の自立心を尊重した生活の質を維持するためのサポートです。症状が見られたら獣医師に相談し、自宅では介護用品も活用しましょう。
できていたことができなくなると、つい悲しんだり焦ったりして、元の元気な姿に戻したくなるかもしれません。
しかし、愛猫の人生の主役は、ほかでもない猫自身です。彼・彼女の生きるペースに合わせて、一緒に過ごす時間を大切にすることが、何よりも重要だと覚えておきましょう。