猫の『お腹がタプタプたるんでいる』のはなぜ?4つの理由 太っているわけじゃない?

猫の『お腹がタプタプたるんでいる』のはなぜ?4つの理由 太っているわけじゃない?

猫のお腹がたるんでいると「太りすぎ?」と心配になりますが、実は太っているわけではないケースも。本記事では、猫のお腹がタプタプする複数の理由を解説していきます。見た目の特徴から健康状態を見分けるポイントもまとめました。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の「お腹がタプタプたるんでいる」4つの理由

猫の後ろ脚

1.ルーズスキンによるもの

猫のお腹のたるみは、多くの健康な猫に見られる「ルーズスキン」または「プライモーディアルポーチ」と呼ばれる生理的なものです。これは腹部の皮膚が余ってたるんでいる状態で、太っているわけではありません。

猫が全力疾走したり、高い場所から飛び降りたりする際に、皮膚が伸びることで体の柔軟な動きを助け、内臓を保護する役割があると考えられています。

猫の品種や個体差によって目立ちやすさは異なりますが、特に去勢・避妊手術後の猫や、若くても筋肉質な猫に見られることも珍しくなく、心配する必要はありません。

2.肥満によるもの

猫のお腹がタプタプしている場合、単純に皮下脂肪が過剰に蓄積した「肥満」が原因である可能性も考えられます。この場合、たるんでいる部分だけでなく、体全体に脂肪がつき、肋骨が触りにくくなったり、ウエストのくびれがなくなったりといった特徴が見られます。

肥満は、糖尿病や関節炎、心臓病など、さまざまな健康問題を引き起こすリスクを高めるため、注意が必要です。特に室内飼いの猫や、運動量が少ない猫、食べ過ぎの傾向がある猫は肥満になりやすく、適切な食事管理と運動が求められます。

3.加齢による皮膚のたるみ

人間と同じように、猫も歳を重ねるにつれて皮膚の弾力性が失われ、たるみが生じることがあります。これは、皮膚を構成するコラーゲンやエラスチンといった成分が減少したり、質が変化したりすることによる自然な老化現象です。

また、高齢になると活動量が減り、筋肉量も減少するため、その結果としてお腹周りが以前よりたるんで見えることがあります。

全体的に筋肉が落ちて痩せたように見えても、お腹だけがたるんでいるといったケースもあり、健康な高齢猫に見られる正常な変化のひとつと考えられます。

4.出産経験によるもの

出産を経験したメス猫の場合、妊娠期間中に子猫を育むためにお腹の皮膚や筋肉が大きく伸び、出産後もそのたるみが残ることがあります。

人間の産後の体型変化と似ており、一度伸びた皮膚は完全には元に戻りにくい傾向があるため、お腹のタプタプが目立つようになります。これは生理的な変化であり、特に健康上の問題を引き起こすものではありません。

多産だった猫や、出産回数が多い猫ほど、このたるみが顕著に見られる傾向があります。

お腹のたるみが気になる場合のチェックポイント

肥満猫

猫のお腹のたるみが気になる場合は、まず触って確認してみましょう。たるんでいる部分が、皮膚だけをつかめるような薄いものならルーズスキンである可能性が高いです。

しかし、その下に厚い脂肪の層を感じたり、皮膚ではなく全体的にプニプニしている場合は肥満の可能性があります。

また、猫を上から見たときにウエストのくびれがあるか、肋骨が触れるかも重要なチェックポイントです。ウエストが直線的になったり、肋骨が触れにくい場合は、体重が増えすぎているサインかもしれません。

普段の体重の変化や活動量、食欲に変化がないかどうかも注意深く観察し、総合的に判断しましょう。

こんな症状が出ていたら病院へ

猫のお腹を触る人

猫のお腹のたるみ以外に、以下のような症状が見られる場合は、病気の可能性も考えられるため速やかに動物病院を受診しましょう。

急激にお腹が膨らんだり、たるみが顕著になったりした場合、腹水や腫瘍など深刻な病気が隠れていることがあります。

また、食欲不振、元気がない、嘔吐、下痢、排尿・排便の異常、呼吸が速い、お腹を触られるのを嫌がるなど、普段と異なる明らかな体調不良を伴う場合は、緊急性の高い病気のサインかもしれません。

肥満が原因と疑われる場合も、自己判断せず、獣医師に相談して適切なダイエットプランを立ててもらうことが猫の健康維持につながります。

まとめ

お腹をさらす猫

猫のお腹の「タプタプ」は、ルーズスキンという生理現象の場合もあれば、肥満や加齢、出産経験によるものもあります。

まずは触診や体型、活動量を確認し、異常がないか見極めることが大切です。もし急な変化や他の体調不良が見られる場合は、自己判断せず、速やかに動物病院を受診し、適切な診断とアドバイスを仰ぎましょう。

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