猫の「水分不足サイン」6選

1.皮膚の弾力性がない
猫の水分不足を判断する最も一般的な方法のひとつが、皮膚の弾力性を確認する「スキン・テント検査」です。首筋や肩甲骨の間の皮膚を軽くつまみ上げ、すぐに元に戻らない場合は脱水があるサインかもしれません。
健康な猫の皮膚は離すとすぐに元にもどりますが、水分が不足していると戻りが遅れたり、つまんだ状態のままもとに戻らなかったりします。
2.歯茎や口の中がべたつく・乾燥している
健康な猫の歯茎は通常、しっとりと潤っており、触ると滑らかです。しかし、水分が不足すると、歯茎や口の中が乾燥してべたつきを感じるようになります。
指で触ってみて、粘り気がある、あるいはサラサラしていないと感じたら注意が必要です。また、毛づくろいの際に毛が口の周りに残ってしまう、口臭が強くなるといったサインも、唾液の量が減り、口腔内の乾燥が進んでいることを示している場合があります。
3.目のくぼみ・光沢のなさ
猫の目の状態も水分不足を示す重要な手がかりになります。脱水症状が進むと、眼球を支える組織の水分が失われるため、目が少し奥に引っ込んでいるように見えたり、くぼんで見えたりすることがあります。
また、健康な猫の目は潤んでいて光沢がありますが、水分が不足すると、目が乾いてツヤがなくなり、どこか生気のない印象を与えることがあります。
目の周りが乾燥してシパシパしているように見える場合も、脱水を疑うサインです。
4.排尿の回数や量の減少、濃い尿
体内の水分が不足すると、猫の体は水分を保持しようとします。その結果、排尿の回数が減ったり、一度に出る尿の量が少なくなったりします。
また、尿の色が普段よりも濃くなったり、普段よりも強いアンモニア臭がしたりする場合も、尿が濃縮されているサインであり、水分が不足している可能性が高いです。
トイレの回数や量、尿の色を日頃から確認しておくことは、猫の水分不足にいち早く気づくために非常に重要です。
5.活動量の低下
猫が普段よりも明らかに元気がない、動きが鈍い、またはぐったりしているように見える場合も、水分不足のサインかもしれません。脱水状態になると、体全体の機能が低下し、エネルギーが不足するため、遊びたがらない、寝てばかりいる、隠れて出てこないといった行動の変化が見られます。
呼びかけに対する反応が薄かったり、好きな遊びにも興味を示さなかったりする場合は、体調不良の兆候として注意深く観察する必要がありますし、場合によっては緊急事態ですので躊躇せず病院に相談しましょう。
6.食欲不振や嘔吐
水分不足は、消化器系の機能にも影響を与えることがあります。脱水によって食欲が低下し、ごはんを食べる量が減ったり、まったく食べなくなったりすることがあります。
また、水分が不足することで消化液の分泌が滞ったり、腸の動きが悪くなったりして、嘔吐を引き起こすこともあります。便秘になることもあります。
猫の脱水症状が危険な理由

猫の脱水症状は、単に喉が渇くというレベルを超え、命に関わる深刻な状態に発展する危険性があります。
体内の水分が失われると、全身の血流の流れが悪くなり、腎機能の低下や多臓器不全を引き起こす可能性があり、非常に危険です。
特に腎臓は、水分不足によって大きな負担がかかり、慢性腎臓病の発症や悪化に直結します。また、体内の電解質バランスが崩れることで、心臓や神経系の機能にも悪影響を及ぼし、重症化すると意識障害や痙攣、最悪の場合は死に至ることもあるので注意しましょう。
猫が水分を摂ってくれないときの対処法

猫がなかなか水を飲んでくれない場合、いくつかの工夫を試してみましょう。
まず、複数の場所に新鮮な水を置くことが大切です。器の素材(陶器、ステンレスなど)や形状、置き場所を変えて、猫が好む飲み方を見つけてあげてください。
また、流水を好む猫のために、循環式の給水器を導入するのも効果的です。食事面では、ウェットフードに切り替えたり、ドライフードに少量の水やお湯を加えてふやかしたりするのもおすすめです。
さらに、無塩のチキンブロスやかつおぶしの煮汁など、香りの良いものを水に少量加えることで、飲水量を促すことができる場合もあります。
まとめ

猫の水分不足は、皮膚の弾力性、口のべたつき、目の状態、排尿の変化、活動量、食欲不振など、さまざまなサインで現れます。
これらのサインを見逃すと、脱水症状が進行し、腎臓病や多臓器不全など命に関わる危険性があることを覚えておいてください。
愛猫が水を飲んでくれない時は、給水環境やフードを工夫し、もし異変を感じたら迷わず動物病院を受診しましょう。