愛猫の『座り方が変』だと感じたら、疑うべき4つの病気 痛みを感じているサインかも

愛猫の『座り方が変』だと感じたら、疑うべき4つの病気 痛みを感じているサインかも

「愛猫の座り方が変」「いつもとは明らかに違う座り方をしている」その違和感、怪我や不調のサインかもしれません!今回は、座り方の異変から疑うべき病気について徹底解説いたします。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

『座り方の異変』から疑うべき4つの病気

座る猫

猫は本来、単独で生活する動物です。いざという時に守ってくれる仲間がいないため、怪我や不調を隠し、じっと堪える習性を持っています。

これは家猫も同じです。本能的に我慢してしまうことが多く、目に見えて分かる症状が出た頃には病が進んでいるということも珍しくありません。

しかし、じわじわと蝕まれているものは"些細な行動"に表れるものなのです。今回は、『座り方の変化』から考えられる病気を4つ紹介いたします。

1.前足(肉球や爪)の負傷や痛み

前足を浮かせる猫

犬のおすわりのような座り方を猫マニアの間では、『エジプト座り』といいます。両方の前足(肉球)が床に密着しているのが通常のスタイルです。

もしこれが通常とは異なり、常に片前足を浮かせて座っているようであれば注意が必要です。例えば、浮かせているほうの前足に肉球の怪我・爪の破損や巻き爪・怪我など『何らかの負傷』もしくは『痛み』が疑われます。

異変を捉えた際は、歩き方にも注目してみてください。極力前足を床につけないようにしている、時折前足を振るような動作が見られる、高い場所に登ろうとしないなどの変化があるかもしれません。

触れようとするだけで拒まれたり、ギャッと痛がるよう声をあげた場合は必ず診察を受けましょう。

2.胃腸炎やその他内臓系の病気など

香箱座りの猫

人の目のつかない、いつもとは違う部屋の隅っこやベッドの下で香箱座りをしたまま動かない、もしくは通常の香箱座りよりもさらに腹部を床に密着させて座っているような仕草が見られた場合は、『お腹が痛い』サインかもしれません。

例えば、胃腸炎の初期症状・その他内臓系の病気などが疑われます。部屋のどこかに嘔吐をした形跡がないか、排便はどうなっているかを確認してみてください。

特に何もない場合でも、まだ大きな症状が出る前触れということも考えられます。食事や水分補給をしないなど、他の体調不良の症状がありこのような座り方をしているのであれば、獣医さんに相談すると良いでしょう。

また、肛門腺のトラブル(炎症や破裂に近い状態)でもじっとうずくまるような仕草が見られることがあります。この場合は座り方の他に、排便後にお尻を擦る・座っている場所に茶色い液体のようなシミができるなどの変化が見られます。

飼い主さんから見て、いつもの香箱座りではないと感じた際は要注意です。

3.骨軟骨異形成症やその他の関節炎

スコ座りの猫

まるで人間のおじさんのように後ろ足を前に投げ出した座り方をスコ座り、もしくはおっさん座りなどといいます。

スコ座りというネーミングの由来は、スコティッシュフォールド(以下スコティッシュ)によく見られる座り方だからです。

特に折れ耳のスコティッシュは、先天的に『骨軟骨異形成症』という遺伝病を患っています。特徴的なあの耳も軟骨の異常によるものです。この病では、関節に痛みが生じることがあります。スコ座りは、その痛みを和らげるためでもあるようです。

また猫種を問わず、シニアに突入した10歳以上の猫は『関節炎』や『変形性関節症』を発症することがあります。やはり痛みを緩和するために、スコ座りをしたり、これまでとは異なる座り方をすることがあります。

冒頭でも紹介したように、猫はかなり忍耐強い動物です。我々が思う以上に痛みを感じている場合が多いため、「おかしいな」と思ったら診察を受けるようにしてください。

4.脳腫瘍・耳ダニ・その他の感染症など

耳が気になる猫

座っている状態で、常に頭が揺れている・どちらかに傾いている・頭を振るなどの仕草が見られる場合は、一度かかりつけの動物病院を受診してください。

最も深刻な病は『脳腫瘍』で、やがて座位すら保てなくなる場合もあります。その他には『耳ダニ』や『外耳炎』などの耳のトラブルなど前庭疾患などが疑われます。

何れにしても早期発見が重要になるため、まずはかかりつけの動物病院を受診し、状況によっては大きな病院などを紹介してもらいましょう。

万が一脳腫瘍だった場合は、どこまで治療するか(延命の方向性)について検討する必要があります。信頼できる獣医さんのアドバイスをもとに、ご家族全員でよく話し合うようにしてください。

なお、完治もしくは寛解に結びつきやすい耳のトラブルや猫風邪においても、子猫やシニア猫は重症化する場合があります。1歳未満の子猫や15歳を超えるハイシニアの不調は、その日のうちに診察が受けられると安心です。

前もって最寄りの夜間対応の動物病院や、救急医療センターなどを探しておくと良いですね。わからない場合は、かかりつけの動物病院で確認しておくと良いでしょう。提携している大きな医療機関がある場合は、そちらを紹介してくれるはずです。

まとめ

診察を受ける猫

今回は、座り方の異変から見えてくる病気を4種類ピックアップいたしました。今一度、愛猫がどのような座り方をしているかよく観察してみてください。

「なんか変」「いつもと違う」「しかめっ面をして座っている」など、小さな変化への気づきが病や怪我の早期発見に繋がります。

改めてその座り方は大丈夫?普段は見られない座り方をしている場合や、何度も座り直す仕草が見られる場合は、痛みのサインかもしれません。

スポンサーリンク