1.十分な水分と栄養の補給

猫の健康のために、できるだけ良いフードを選ぼうとする飼い主さんは多いものですが、お水もしっかり飲ませていますか?
猫の身体の60〜70%は、水分でできています。猫はもともとあまり水を飲まない動物である上、ドライフード中心の食事では水分不足に陥りがちです。慢性的に水が足りない状態が続くと、腎臓に負担がかかったり、便秘や免疫力の低下を引き起こしたりすることがあります。
排尿量や回数の減少や、唾液に粘り気が出て毛づくろいをして舐めた場所に跡が残るようなときは、猫はもう水分不足かもしれません。
お水を家の中の複数箇所に置いておいても、飲まない猫はなかなか飲まないもの。そのため、意識的に食事から水分がとれる工夫をしてあげましょう。ドライフードならスープがけごはんにしたり、ウェットフードを併用したりするのも効果的です。
食事は、年齢や体調に合った栄養バランスのとれたフードを選ぶことも重要です。たとえ「総合栄養食」であっても、猫の体質によっては、含まれる穀類の量が多いと太りやすくなることもあります。
ふっくらして見える太めの猫でも、適正体重を大幅に超えていると体調を崩しやすくなります。水分と栄養バランスは、健康的な長生きの基本です。
2.猫の特性を尊重してストレスフリーに

ペットは家族の一員ですが、猫の行動や代謝の仕組みは人間と同じではありません。本来持っている特性を抑制することは、心身ともに大きなストレスとなります。猫が人間家族のなかで健康的に長生きするには、本来あるべき猫の姿を尊重することが大切です。
猫には、次のような特性があります。
- 狩猟本能がベースの生活
- 縄張り意識が強い
- 変化を嫌う
- 嗅覚や聴覚が鋭い
- 体調不良を隠す
室内で飼われる飼い猫は、窓辺やベッドの定位置など「お気に入りの場所」にこだわるという形で見られるでしょう。猫にとってその場所は安心できる空間なので、飼い主も無理に移動させたりせず、大切にしてあげましょう。
また、大きい音や芳香剤の香りなどは、猫への刺激が強すぎます。特に猫の体は、アロマオイルや芳香剤などの成分をうまく分解・排出できないため、体内にたまってしまう危険性があります。さらに、万が一猫が有害物質などによって体調を崩しても、わからないように隠そうとするでしょう。
実際の人の暮らしがそのまま猫にとって快適とは限りません。意識して猫の特性を尊重することが重要です。
3.すみやかに医療にかかること

愛猫に長生きしてもらうためにも、すぐに病院に相談することがとても大切です。しかし、実際にちょっとした異変があっても、仕事などの日々の都合から、つい「しばらく様子を見ようかな」と判断を先延ばしにしてしまうこともあるでしょう。
猫は具合が悪くてもうまく隠す習性があるため、場合によっては飼い主が気づいた時点で病気が進行しているというケースもあります。「何か変だな」と感じたら、迷わず病院に相談することが、結果的に猫の命を守ることにつながります。
かかりつけの病院を決めていないまま、緊急事態になると大変です。いざというときに獣医師と「相談しやすい関係性」を築いておけるのは、飼い主さん自身です。
通える動物病院を把握しておき、できれば年に一度の健康診断やワクチンで通っておくことが重要です。かかりつけ病院が決まったら、診療時間や休診日を確認しておき、夜間や休日に診てもらえる救急病院も調べておくと安心です。
移動手段も含めて、緊急時にあわてないように準備しておくことが、早期の対応につながります。
まとめ

猫の寿命は年々のびて、室内飼いの猫の平均寿命は16歳。なかには、20歳を超えるご長寿猫も続々と出てきています。
愛猫に長生きしてもらうには、人と暮らす環境が猫にとって心地よいものであることが前提です。毎日を安心して過ごしてこそ、健やかな一生をまっとうすることができるのです。
私たち飼い主にできる小さな習慣や工夫の積み重ねは、猫の幸せを支えることにつながります。この記事を参考に、ぜひ今の暮らしを少し見直して、猫にとっての理想の環境を一緒に整えていきましょう。