猫が『難聴』になる5つの原因 聞こえていないサインやなりやすい猫、飼育上の注意点などを解説

猫が『難聴』になる5つの原因 聞こえていないサインやなりやすい猫、飼育上の注意点などを解説

「最近、名前を呼んでも反応がない…」という時、もしかしたら猫が「聞こえていない」状態になっているのかもしれません。猫の難聴は決して珍しいものではなく、加齢や遺伝、病気、事故などさまざまな原因で起こり得ます。この記事では、猫の難聴について「5つの原因」「見逃しやすいサイン」「なりやすい猫の特徴」そして「暮らし方の工夫」まで、わかりやすく解説していきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が難聴になる5つの主な原因

耳の検査

猫が難聴になる背景には、加齢や遺伝だけでなく、意外な病気や日常の事故が関係していることもあります。

ここでは、猫の聴力が低下する主な原因を5つに分けて解説します。「うちの猫も当てはまるかも…」と感じたら、早めのケアが大切です。

1.加齢による聴力の低下

猫も人間と同様、年齢とともに感覚器官が衰えていきます。とくに10歳を超える頃からは、視力・嗅覚・聴覚すべてに変化が現れやすくなります。

難聴もその一環で、徐々に反応が鈍くなる、聞こえる範囲が狭くなるといった症状が現れることも。

2.遺伝的要因(特に白猫×青い目)

白猫で片方または両方の目が青い猫は、先天的に聴覚に障害を持っている場合があります。これは人で「ワーデンブルグ症候群」と呼ばれる遺伝的な要素に関係しており、主に純血種で見られることが多いです。

左右どちらか一方の耳だけが聞こえない「片耳性難聴」もよく見られます。

3.外耳炎や中耳炎などの耳の病気

耳の中に炎症や感染が起きると、音の通り道がふさがれたり、神経が傷ついたりして、難聴の原因になります。耳垢がたまりやすい猫、耳の中をかゆがってよくかく猫などは、外耳炎のリスクが高いため注意が必要です。

4.外傷や事故によるダメージ

頭を強く打ったり、激しい衝撃を受けた場合、音を伝える器官にダメージが加わり、突然の難聴を引き起こすことがあります。

高所からの落下や交通事故などの後に急に聞こえなくなったような行動が見られる場合は、早急に獣医師の診察を受けましょう。

5.薬剤や毒物による副作用

一部の抗生物質(ストレプトマイシン系など)や利尿剤などは、副作用として聴覚に影響を与えることがあるとされています。また、誤って中毒性のある植物や薬剤を摂取した場合も、神経への影響があるかもしれません。

自己判断で人間用の薬を与えたりするのは大変危険ですので、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。

猫の「聞こえていないサイン」とは?

掃除機と猫

猫が難聴になっていても、鳴いたり痛がったりするわけではありません。だからこそ、次のようなサインに注意してあげることが大切です。

  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 掃除機やチャイムの音に無反応
  • 背後から近づいても気づかない
  • 突然触れられるとビクッとする
  • 鳴き声が大きくなる(自分の声が聞こえていないため)

こうした行動が何度も見られる場合は、一度動物病院で耳の検査を受けてみるのがおすすめです。

まとめ

撫でられる猫

猫の難聴は、原因も多様で気づきにくい分、飼い主の観察と対応がとても重要です。「最近なんだか反応が鈍いな」と感じたら、それは大切なサインかもしれません。

耳の病気を予防し、難聴になったとしても安心して暮らせる環境を整えてあげることで、猫との暮らしはこれからも穏やかに続いていきます。

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