糖尿病の猫の世話は「フルタイムの仕事」

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「糖尿病の猫を世話するのは、フルタイムの大仕事なのです」というのは、英国ハンプシャー州アンドーバーに住むEmma Damenさんです。
2023年に愛猫Woodyが糖尿病と診断されて以来、彼女は毎日の世話に追われています。水を飲み続け、体重が急激に減ってきたWoodyのことを心配したのが始まりでした。
「後ろ足の筋肉が全部なくなってしまい、やせ細って見るも無残な姿でした。足が震えて立つことができないほどでした。血液検査を受け、獣医から糖尿病だと連絡がありました。猫が糖尿病になるなんて、それまで知りませんでした」という彼女です。
動物保護団体によると、100匹に1匹の猫が糖尿病になるといいます。猫の糖尿病は人間の2型糖尿病に類似しており、体重減少、排尿回数の増加、食欲増進、喉の渇きなどの症状が見られます。病状をコントロールするためには、インスリン注射か薬物療法が必要になります。
Emmaさんは猫に医療保険をかけていなかったため、薬代や特別な餌代、血液検査などで月に80ポンド(約1万5千円)も支出しているといいます。
「日に2回、決まった時間に注射を打たないと具合が悪くなるので、スマートウォッチにアラームを設定して忘れないようにしています。2023年5月の診断以来、わたしはまったく朝寝坊できなくなりました。まるでもう1人子供がいるようなもので、とても大変です。でもこの猫は家族の一員ですから、やらざるを得ないのです」
インスリン注射で血糖値を管理

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ハンプシャー州ビショップス・ウォルサムに住むStacey Goddardさんは、2017年に保護猫だったBuddyを引き取りました。その1年後、この猫は糖尿病と診断されました。彼女にとっては「大きなショック」だったといいます。
「Buddyはひどく無気力になってしまい、文字通り一日中寝ていて、ほとんど食べませんでした。寝ている猫を起こしてご飯を与えなければならなかったほどです。初めて診断されたときは危険な状態でした。ただ疲れているだけだと思っていたので、獣医に連れて行くのに時間がかかってしまったからです」と話すStaceyさん。
Buddyはすぐにインスリン治療を始めました。1日に2回の注射のほかに、血糖値を測るモニターを装着して厳格な食事制限をしています。
彼女は愛猫が外に出ても常に家の近くにいられるように、庭に「キャティオ」(猫用の囲い)も作りました。
「彼を普通に外に出してしまったら、(そのまま意識を失って)戻ってこなくなる危険があるからです」と彼女はいいます。
肥満が大きなリスクに

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猫の糖尿病を招く最大の危険要因のひとつが「肥満」です。
バークシャー州サッチャムの動物保護団体「Cats Protection」は「コロナ禍以降、肥満の猫が増加している」と指摘しています。
「飼い主が猫と自宅で過ごす時間が増え、おやつを与える機会が多くなったり、ご飯の量を増やしたりしたためでしょう」というのは、同団体の動物看護師Elle Hatamさんです。
「猫の肥満と糖尿病が関連しているのは明らかです。現時点では研究結果はありませんが、肥満の猫が増えているため、糖尿病になる猫も増えている可能性が高いでしょう」と彼女はいいます。
同団体では、猫の健康状態が気になる人は検査を受けるように勧めています。糖尿病を放置すると、猫にとって命にかかわる重篤な症状になる可能性があるからです。
「猫が糖尿病になるとは思わなかったという人が多いですね。そういう人々の意識をもっと高めたいのです」と彼女。
「糖尿病を完治することはできませんが、早期に積極的な治療を行うことで猫が寛解状態に至る例も多く見られます。猫が自力で血糖値を安定させることができれば寛解といえます。それでも再びインスリンや薬が必要になる可能性もあるため、注意深く観察を続ける必要がありますね」
猫は家族の一員…飼い主はそんな愛猫の健康状態に注意を払い、糖尿病を未然に防ぐとともに、たとえ病気になってしまっても適切な治療を続ける責任があるといえますね。