『野良猫』に絶対にしてはいけない4つのこと “かわいそう”と思ってやっても迷惑になる行為も

『野良猫』に絶対にしてはいけない4つのこと “かわいそう”と思ってやっても迷惑になる行為も

猫が好きな人なら、外で暮らす猫に対して「かわいい」と感じるのと同時に「かわいそう」と感じてしまうのではないでしょうか。野良猫として生きている猫たちのためには、飼われている猫たちとは一線を引いた付き合い方が必要です。今日は野良猫にやってはいけないことを猫の立場・安全・人間社会との共存の観点からまとめてご紹介いたします。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.無責任なエサやり

エサをもらう野良猫

「野良猫がお腹を空かせていてかわいそう」と思っても、継続的に飼養管理をしないのであれば、無責任にエサを与えてはいけません。

定期的にエサをもらえる場所があると、野良猫がどんどん集まり、エサ場を拠点にオス同士のケンカや望まない繁殖、糞尿トラブルが発生しやすくなります。結果的に野良猫たちの生存環境が悪化し、近隣にも迷惑をかけることになるので、安易に野良猫に食べ物を与えるのは避けるべきです。

もしエサを与えるなら、不妊手術をして、清掃や健康管理まで含めた「地域猫活動」として、近所の人たちや自治体と連携し、責任を持って行うことが大前提です。

2.初見でいきなり連れて帰る

そっくりな2匹の子猫

野良猫の中には、人懐っこい猫もいます。しかし、懐いているからといって初めて会った猫をすぐに連れて帰れば、思いもよらない問題を引き起こします。

もし所有者がいた場合、無断で連れ去るとトラブルにつながりますし、その猫がメスの場合には、近くに子猫がいることも考えられます。母子を引き離すことで、子猫の命に関わる危険が生じることもあるのです。

外にいる猫を保護したい場合には、エサやりなど飼養管理をしている人を探し、状況を確認した上で保護したい旨を相談しましょう。また、離乳前の幼猫の場合は、子猫の養育に慣れていないと育てるのが難しいので十分な知識と準備が必要です。

3.無理やり抱きあげる

抱き上げられて逃げたい猫

頭や背中をなでさせてくれる野良猫でも、身体(特に後肢)を拘束されることに慣れている猫はあまり多くありません。触れられるからといって突然抱き上げてしまうと、驚いて暴れたり噛みついたりするリスクがあります。

野良猫に引っかかれたり噛まれたりすると、痛みだけでなく、猫ひっかき病やパスツレラ症などの感染症を引き起こす危険があります。体力のある人は重症化しにくいですが、免疫が低下している人は重症化する恐れがあります。

せっかく何度も会って信頼を築いてきたつもりでも、無理な接触によって、信頼関係が崩れることも考えられます。保護する以外は、基本的に抱き上げない方が無難です。

4.野良猫の所在をSNSにアップする

自撮り女性と猫

猫好きであれば、野良猫を見かけた時に写真を撮影してしまうかもしれませんが、野良猫のいる場所や写真をSNSなどで公開することも絶対にやめましょう。

ネット上で人なれしている野良猫の情報が広まってしまうと、無知な人々が猫に不適切な接触をする危険があります。たとえば、むやみにエサを与えたり、無理に触れようとしたりする人が増え、猫の生活環境が変わってしまうなどです。

猫の場所を公開することで、悪意のある人物がその猫を追跡して傷つけるようなリスクも考えられます。不特定多数への情報共有は、結果として何が起こるかわからないものです。猫の安全のみならず自分自身の安全も大切です。顔出し写真なども含めて、ネットにアップする情報には慎重になりましょう。

まとめ

ハチワレ野良

猫が好きな人にとっては、飼い猫も野良猫も同じようにかわいく感じるものですが、関わり方に関しては、飼い猫と同じではいけません。目の前にいる猫のことだけでなく、その猫が暮らしている環境や、そこにいる人たちのことも含めて考える必要があります。

「かわいそう、何かしてあげたい」という気持ちだけで行動に移してしまうと、知らないうちに猫にも他人にも迷惑をかけてしまうことがあり、ときには、野良猫たちを危険にさらしかねないリスクがあることも覚えておきましょう。

野良猫への対応は地域によって異なります。特に都市部では、糞尿の被害や繁殖期のケンカによる鳴き声が問題視され、近隣トラブルに発展しやすい傾向があります。野良猫はあくまでも人間同士の問題であることを念頭に、状況に合わせた柔軟な判断を心掛けましょう。

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