【獣医師執筆】冬の時期の子猫をお迎えするなら…飼い主さんは「こんなこと」に気を付けて!

【獣医師執筆】冬の時期の子猫をお迎えするなら…飼い主さんは「こんなこと」に気を付けて!

子猫ちゃんを家族に迎えることは、新しい生活の始まりでもあり、とてもわくわくするものでしょう。一緒にこんな生活を送りたい!という希望に胸を膨らませる飼い主さんも多いはず。しかし子猫ちゃんは大人の猫ちゃんと比較して、配慮してあげる必要があることがたくさんあります。楽しいだけでなく頼れる飼い主さんになれるよう、気を付けたいポイントについてお話しさせていただきます。

子猫ちゃんを迎える方法は?

子猫ちゃんを迎える方法

子猫ちゃんをおうちに迎える方法はさまざまです。

迎えたい猫の種類や、どんな環境で育った子を望むかによって異なるでしょう。

どんな子猫ちゃんがおうちに来るのかということを知ったうえで、対策をとることも大切です。

ブリーダーさん

猫ちゃんのブリーダーさんから迎える場合は、お母さん猫と一緒にいるところを見ることもできて、どんな環境で育ったかということが把握しやすいお迎え方法です。

ごはんをどの程度食べていたかということや、健康状態はどんな様子かということを実際に生まれた瞬間からお世話をしてきているブリーダーさんに聞いてみることで、子猫ちゃんの状態を把握することも可能です。

一方で子猫ちゃんたちが多く集まっていることで、猫風邪や下痢の原因となるウイルスや細菌、寄生虫などをうつしあってしまう場合もあるため、予防や駆虫などは行なっているかどうかなどの対策について確認しておくと安心でしょう。

ペットショップ

いろいろな種類の子猫ちゃんを実際に見て、お迎えしたい子を見つけることができます。

たくさんの猫ちゃんたちを比較することができるので、どんな子猫ちゃんを迎えたいかという明確なイメージがなくても、運命の子に出会えるかもしれません。

お迎え後も、ペットホテルなどでつながりを持ったり、キャットフードの購入などの相談などでもつながりが持てることもメリットと言えるでしょう。

生まれた環境などはわからないため、健康診断や先天性の疾患の有無などの検査がどの程度行われているかということを確認しておくと安心です。

ブリーダーさんのところと同様、子猫ちゃんがたくさんいるため、感染性の疾患などが起こりやすい傾向もあります。

どのような予防や対策をとっているのかを確認しておくと安心でしょう。

保護施設

保護施設から子猫ちゃんを迎えるということもできます。

ブリーダーさんのところやペットショップと異なり、さまざまな生い立ちを持つ子猫ちゃんたちが集まります。

お母さん猫からの免疫成分の含まれた母乳がきちんと飲めなかった子や、周りに感染症を持った猫たちと生活してきた子猫ちゃんもいるため、子猫ちゃんの全身状態を把握することは大切です。

お母さん猫からもらう免疫との関連で、ある程度成長しないと感染症の有無などを正確に把握できない場合もあり、おうちに迎えてから検査が必要となるケースもあるでしょう。

スタッフさんにどのような生い立ちなのかということや、すでに行われている検査や予防、対策について確認すること、おうちに迎えてから健康面でどのようなことに気を付けるべきかなどを確認すると、健康管理や対策をおうちでどのように行うかという想像がしやすいです。

冬に起こりやすい猫ちゃんのトラブル

冬に起こりやすい猫ちゃんのトラブル

寒い冬は人間と同様で、猫ちゃんも体力が消耗して、体調不良に陥るなどのトラブルにつながりがちです。

特に子猫ちゃんたちは免疫力や体の機能などが大人の猫ちゃんたちと比較して未発達であるため、小さなトラブルでも致命的な問題になってしまう危険性があるでしょう。

どんな体の不調に気を付けるべきなのでしょうか。

猫風邪の悪化

猫ちゃんがなりやすい病気として猫風邪が挙げられます。

猫風邪はさまざまなウイルスや細菌などの感染性の鼻炎や気管支炎を総称して呼びます。

子猫のころに環境下などに原因となる細菌やウイルスなどは存在しているため、感染歴のある子猫も多く存在します。

完治は難しく、症状は落ち着いていても細菌やウイルスを体に持ったまま生活することになるため、体力の消耗や環境変化などで体に負荷がかかり、免疫力の低下などが起こると猫風邪が悪化しやすい傾向があるため、注意が必要です。

くしゃみや鼻汁、目やにの増加など変化に気づいたらすぐに受診をするよう心がけましょう。

下痢や嘔吐などの消化器トラブル

猫ちゃんは、疲れや精神的な負担などの体調不良の場合、下痢や嘔吐などの消化器症状が現れることが多いです。

軽度の消化器症状で、すぐに改善されるものであれば、致命的なトラブルになる可能性は低いですが、長期になったり重度になると、体力の消耗や生命活動に必要な栄養吸収ができず、ぐったりしてしまったり死に至る危険性があります。

子猫ちゃんの時期は消化器症状が現れたら、できれば早めに受診をして対策をとることをおすすめします。

低血糖

子猫ちゃんは成長や日常を過ごすことにたくさんのエネルギーが必要です。

エネルギーは糖と呼ばれる物質で、ごはんから吸収をして、血液中に含まれ、全身に循環されます。

摂取量よりも消費量が上回ってしまうと、低血糖と呼ばれるエネルギー不足の状態に陥り、重度の場合は死に至る危険性もあるため注意が必要です。

冬場は気温の低下により熱産生を行うためのエネルギー消費や、食欲不振などによりエネルギーの摂取量自体が低下してしまう危険性があります。

低血糖にならないような生活をすることや、体力の消耗を防ぐ環境づくりが大切です。

冬の時期の猫ちゃんのお迎え時に気を付けるべきこと

冬の時期の猫ちゃんのお迎え時に気を付けるべきこと

気温が低く、体力を消耗しやすい季節である冬に、子猫ちゃんを迎えて健康に過ごしてもらうために、飼い主さんの家庭での配慮も欠かせません。

どんなことに気を付けたら良いのでしょうか。

予防のプログラムを把握

免疫力が未発達であり、体力の消耗や環境変化による体への負担などで免疫力が低下することで、より感染症になりやすくなる傾向があります。

起こしやすい感染症への予防対策や、おうちに迎えるまでの予防のプログラムやお迎え後にすべき予防をしっかりと把握することが大切です。

自分自身の免疫力だけでは、防御を充分にすることは難しい月齢であるため、状態が悪化して致命的になってしまう危険性もあるでしょう。

症状にいち早く気づくことも大切ですが、感染を起こしにくくする対策として、健康を守るための予防プログラムも考えなければなりません。

健康チェックはしっかり

体力も消耗しやすく、体の器官が未発達であることにより、体調を崩してしまうと悪化しやすい傾向があるのが子猫ちゃんです。

日常生活の中で、健康チェックをこまめにする習慣をつけましょう。

食欲、排せつの有無や状態、元気の有無などいくつか観察をする項目を決めておくと安心です。

見守る家族がたくさんいる場合、子猫ちゃん用の観察ノートをつけておくと情報を共有できます。

小さな変化でも、気づいてあげることで早期治療が可能となり、負担を軽減してあげることができるでしょう。

特に子猫ちゃんの時期は健康チェックをしっかり行うことが大切です。

生活環境を快適に

体力の消耗を最低限にできるよう、生活環境を子猫ちゃんの特性に合わせて快適なものに設定してあげることが大切です。

室温の暖かさや最適な湿度など、飼い主さんにとっては少し過ごしづらいと感じても、できるだけ子猫ちゃん優先にしてあげると安心でしょう。

部屋のつくりなどで、完全に子猫ちゃんに適した条件に合わせることが難しい場合、ペット用のヒーターや湯たんぽ、小さな加湿器などを工夫して使用すると、猫ちゃんへの負担がかかりにくくなります。

まとめ

まとめ

冬は気温も下がり、体力も消耗しやすい時期です。

どんなに適応能力の高い猫ちゃんたちでも、体力や体の機能が未発達な子猫ちゃんが新しい環境に来て適応させることは体や精神面で大きな負担がかかります。

起こり得るリスクを理解したうえで、飼い主さんが充分な予防や対策をとってあげることが猫ちゃんたちが致命的なトラブルに見舞わずに快適に過ごすカギとなるでしょう。

家庭だけで完璧な管理をすることもとても難しいです。

かかりつけの先生など、協力してくれる専門家の方とともに、子猫ちゃんを守ってあげられると良いですね。

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