猫には危険な夏野菜4選
猫に危険なネギ類に関しては、注意している人も多いと思います。しかし、夏野菜の中でも猫に与えると危険なものがあります。
次の夏野菜は、故意に与えることはもちろん、誤飲にも気を付ける必要があります。
1.ナス科の野菜
ナス科の野菜が持つ毒性は、「ソラニン」という物質です。ソラニンとは植物に含まれる毒素(アルカロイドの一種)で、ジャガイモなどのナス科植物の葉や茎などに含まれます。そのため、芽が出たり変色したジャガイモの誤食やナス科植物の切り落としたヘタの部分などは誤飲に注意が必要です。
普段私たちが口にする夏野菜のナスについては、食べる部分のソラニン含有量は気にする必要はありません。しかし、調理されたナスには味付けがされている場合が多く、料理によってはネギなどの絶対禁忌な食材が使用されていることもあります。
さらに、ナスの皮はかたく、消化不良を引き起こす危険があります。これらの理由から、猫にはナスを与えないようにしましょう。
2.トマト
トマトは、果実の部分であれば猫が食べても問題ありません。しかし、ヘタの部分やまだ熟れていない青い部分には、「トマチン」という有毒な成分が含まれています。
トマチンは、ナス科植物の項目で紹介したソラニンと同じアルカロイドの一種で、植物自体が持つ天然の防虫成分です。
人間でも中毒量を口にすると嘔吐、腹痛、意識障害などを引き起こす毒になりますので、猫には絶対に与えないようにしてください。
特に好奇心旺盛な猫は、床に落ちたミニトマトのヘタの部分で遊んでいて誤飲してしまう事故が想定できますので十分注意しましょう。
なお、最近売られている未成熟トマトのような、緑色のカラートマトは毒性のトマチンが加水分解された毒性の低いものです。しかし、わざわざ猫に与えるのは避けたほうがよさそうです。
3.みょうが
みょうがも、実は猫にとっては危険な夏野菜のひとつです。
みょうがは香りが強いので多くの猫は好まないものですが、なかには、形やニオイへの関心から、食べたがる個体もいるようです。
みょうがは、「ミョウガジアール」という辛み成分のおかげで薬味などとして活躍してくれますが、この辛み成分や食物繊維が、猫にとって消化器を傷める危険があるのです。
また、シュウ酸が多く含まれているため、尿結石になりやすい猫にとっては食べてはいけない食材です。
4.ししとう
ししとうは、あげ物でも炒め物でも重宝する夏野菜のひとつですが、正式名称「ししとうがらし」というように、れっきとした唐辛子なため、猫にはとても危険な食べ物です。
辛み成分の「カプサイシン」といえば、赤い唐辛子を思い出す人も多いことでしょう。しかし、唐辛子の甘味種であるししとうにも、微量ながらもしっかりとカプサイシンが含まれています。
猫がカプサイシンを摂取すると、消化不良や胃腸炎を起こす危険性があります。消化器が荒れることで食欲不振にもつながります。まれに非常に辛いししとうがあるため、猫に与えないようにしてください。
猫が安全に食べられる夏野菜
夏野菜の中でも、おもにウリ科の仲間であるきゅうりやゴーヤなどは、分量に注意すれば猫にも与えることが可能です。
きゅうり
きゅうりはほとんどが水分で、毒性のある成分は含まれていません。カリウムやビタミンKやビタミンCなどの栄養素も含まれていますが、キャットフードを食べている猫なら、わざわざきゅうりから摂取する必要もありません。
与えるときは、皮をむいてあげましょう。適量は1/10本(約10g)以下です。消化にも負担が少ないので、歯ごたえを楽しむ程度に与えるなら特に問題はないでしょう。
ゴーヤ
ゴーヤの可食部分には、強い毒性成分などはありません。
ゴーヤは苦みが特徴的な野菜です。そのため、口にした猫が嫌がる可能性はあります。よく加熱されたゴーヤは食べられますが、人間用に味付け調理されたものは避けるようにしてください。
ただし、毒とは言わないまでもゴーヤの苦味成分は強く、人でも猫でも食べ過ぎると嘔吐などの消化器症状を起こすことがあるようです。与えるときは、ワタや種は取り除き、よく加熱したゴーヤ5mm幅の輪切り2〜3枚程度に留めておくとよいでしょう。
スイカ
スイカも猫にとって比較的安全です。
スイカのよい点は、水分量が高いこと。可食部の約90%が水分なので、水を飲みたがらない猫のちょっとした水分補給に与えられます。
猫にスイカを与える際には、種は必ず取り除いて、真ん中の果肉部だけをあげてください。種を飲み込んでしまうと、消化不良などの胃腸障害や大量誤食するとシアン化合物による影響が出る可能性もありまするまた、皮は繊維が多すぎるので与えないほうがいいでしょう。
適量は簡単に飲み込める一口サイズできゅうりと同じくらい10g、多くても20g程度にしておきましょう。
とうもろこし
キャットフードの原材料に使われることもあるとうもろこし。食物アレルギーがなければ、与えても問題ありません。
人が食べるときのように、茹でたり蒸したりして、冷ましてから与えましょう。
ただし、芯や薄皮の部分は消化できないので、芯から粒を外して、細かく刻んで出してあげてください。薄皮を取り除いて、ポタージュ状まですりつぶしてもよいでしょう。
猫は穀物の消化が人間ほど得意ではないため、消化不良とならないよう1〜2口程度にとどめましょう。くらい。とうもろこしは、カロリーが高いので食べられるとはいえ控えめにしておきましょう。
猫に野菜を与える際の注意点
猫に旬の野菜を与えるときの注意点は次のとおりです。
- 安全性を確認した野菜を与える
- 与える前に必ず野菜をよく洗う
- 種や硬い皮は取り除き、消化しやすい部分のみ与える
- 野菜は消化の良い状態(小さく刻む、加熱するなど)で与える
- 調味料、油、塩などの添加物は使用しない
- 猫の年齢や健康状態によって与える量や頻度を調整する、または与えない
- 持病のある猫は与える前にかかりつけの獣医師に確認する
- ごく少量から与え始める
- 日常的に与えない
- アレルギー症状や消化不良など、何かしらの体調問題が見られた場合はすぐに動物病院へ
猫は肉食動物なので、野菜の消化に適してはいません。野菜を与えるのはあくまでも「味見」「おやつ」程度の補助的な位置づけであることを理解しておきましょう。
まとめ
夏野菜の中でも、ナス科の野菜は毒性のある成分が含まれているため、猫には与えないようにしましょう。ナス、トマト、ししとうは、猫にとって危険な夏野菜です。また、みょうがは香味野菜の中に入りますが、辛み成分が猫の消化器に良くありません。
一方、ウリ科の仲間であるきゅうりやスイカ、ゴーヤなどは、適切に準備し少量であれば猫に安全に与えられます。夏においしいとうもろこしも、きちんと下処理すれば猫が食べても大丈夫です。ただし、アレルギーや消化不良などには注意しましょう。
猫にとっての野菜は、あくまでもおやつと同じようなもので、本来なら、わざわざ与える必要性はないものです。そのため、与える際には注意を十分に払い、問題があったときには、すぐに獣医に相談することが大切です。