猫が『脱走』した時に遭うトラブル3つ

猫が『脱走』した時に遭うトラブル3つ

室内で飼育されている猫が脱走してしまうと、様々なトラブルに遭う可能性があります。場合によっては命に関わることもあります。猫が脱走した時に遭う可能性がある3つのトラブルについてご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.交通事故

車と猫

猫が道路に飛び出すと、事故に遭う危険性があります。他の猫や人から逃げようとしたり、動くものや獲物を追いかけたりなどして猫が道路に飛び出してしまうことがあるのです。

猫は身体能力が優れているので動く車からも逃げられるように思うかもしれませんが、猫は車がどんなものかは知りませんし、車の音やライトに恐怖を感じて動けなくなったり、何かに驚いてパニックになったりして事故に遭ってしまうのです。猫が車にぶつかれば、軽症で済む可能性は低いでしょう。

2.感染症

にらみ合う2匹の猫

外で暮らす猫と接触することで、感染症にかかったりケガをしたりするおそれがあります。室内でだけ暮らしていた猫が外に出てしまうと、他の猫の縄張りに侵入してしまう可能性があり、そこを縄張りとしている猫とケンカになってしまうかもしれません。

猫同士がケンカをすると、ケガをするだけではなく、傷から相手が持っているウイルスが侵入して病気になってしまうことがあるのです。

ケンカによって感染するおそれがある病気の代表的なものに「猫免疫不全ウイルス感染症」と「猫白血病ウイルス感染症」があります。特に猫免疫不全ウイルス感染症では、感染している猫とのケンカによる咬傷が主な感染源です。

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症では、一度かかってしまうとウイルスは体から排除されません。FIVでは免疫力低下によって様々な症状が現れますが、感染してからすぐに症状が見られるわけではありません。

感染後数か月~数年して少しずつ色々な異常が見られるようになりますが、中には特に大きな問題が見られないまま長生きする猫もいるそうです。

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症は白血病、免疫不全、リンパ腫などの原因となることがある感染症です。感染した後ウイルスを排除できずに体内でウイルスが増殖するようになると、3年以内にFeLVに関連した病気を発症するとされています。

どちらの感染症も、ウイルスの排除や発病の有無は猫自身の免疫力が大きくかかわります。免疫不全による症状や関連疾患の発病が見られる場合には、対症療法や個々の病気に対する治療を行いますが、一般的に厳しい結果となります。

もし猫が脱走して帰ってきた時、特に他の猫とケンカをした可能性がある場合はFIVやFeLVの検査をした方が良いでしょう。

検査にはそれぞれ適したタイミングがありますので、いつ検査をするかは動物病院に相談してください。猫を複数飼っている場合、感染症にかかっていないかどうかが分かるまで、感染症にかかっている疑いのある猫は別々の部屋で飼育するようにします。

3.行方不明

行方不明の猫のチラシ

脱走直後の猫は、自宅の近くにいることが多いようです。

外に慣れていないためどうしたらいいのかわからなかったり、知らないニオイや景色に恐怖を感じたりしてどこかに隠れようとすることが多いからです。

しかし、外で暮らす猫のテリトリーに入ってしまったことで他の猫に追われたり、何かに驚いてパニックになったりしたせいで家からどんどん離れて帰れなくなってしまうこともあります。

猫に首輪や迷子札をつけていれば「飼い猫」とわかり、発見につながる情報が集まりやすくなるでしょう。また、マイクロチップを装着していれば保護された場合に飼い主さんの情報がわかり、再会できる可能性が高くなります。

最近では、猫の首輪に取り付けられるスマホで位置を特定できる紛失防止タグもあります。

まとめ

空いた窓から外を見つめる猫

猫が脱走すると、事故や感染症、行方不明になるなどの命に関わるトラブルに遭うおそれがあります。

玄関や窓などに脱走対策を施すことはもちろん、マイクロチップや首輪、迷子札の装着など、脱走してしまったときの対策もしておくことをおすすめします。

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