猫にまたたびを与えすぎると中毒になる?またたびの危険性と与え方

猫にまたたびを与えすぎると中毒になる?またたびの危険性と与え方

猫にまたたびを与えると、良い効果も期待できますが、与えすぎは中毒になると言われることもあります。猫にとってのまたたびの危険性と、中毒性があるのかどうか、さらにまたたびを与える時の注意点、与え方についてご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

またたびで猫が酔っぱらうのはなぜ?

キャットニップとグレーの猫

猫にまたたびを与えた時の状態

猫にまたたびを与えると、次のような状態になります。お酒による酔っ払いや中毒を起こしたようにも見えるので、飼い主さんは驚くことがあるかも知れません。

  • 酔っ払ったようにふらつく
  • よだれが出る
  • 興奮して走り回る
  • 爪とぎを一心不乱にする
  • 酔っ払ったように寝転がる
  • 体を地面にこすりつける
  • 顔を色々なところに擦り付ける
  • 大声で鳴く
  • トロンとした目つきになる

反応は猫によって違い、またたびの匂いをかいで寝る猫、興奮して走る猫、動きが活発になったあと大人しくなる猫など様々で、中毒を起こしていないか心配になることもありますね。

どの反応も、まるでお酒を飲んで酔っ払ったかのように見える行動なので、猫はまたたびで酔っ払うと言われるようです。

ただし、猫にまたたびを与えた時の反応は、お酒を飲んだ時のように酔っ払っているのではなく、また危険のある中毒症状を起こしているのでもありません。

猫がまたたびで酔っ払うようになる理由

またたびを与えられた猫の様子が酔っ払いでも中毒でもないのは、またたびの成分とその成分に対する猫の反応の仕方に理由があります。

またたびの成分で猫が反応するものは、マタタビラクトンにアクチニジン、βフェニルエチルアルコールです。

またたびは、猫の鼻にある嗅覚神経か、または猫が持っているヤコブソン器官という神経を通じて、猫の脳を活性化すると考えられます。

マタタビラクトンやアクチニジン、βフェニルエチルアルコールといった成分は、猫の中枢神経に作用して、猫を興奮状態にしたり、恍惚状態にさせたりする効果があるとされています。

これらの成分は脳や脊髄といった中枢神経に作用しますが、実際に猫の脳を麻痺させるわけではないため、中毒ではありませんし、お酒で酔っ払った状態とも違うのです。

またたびの影響は、海馬や扁桃体といった大脳辺縁系、視床下部、視床中継核、尾状核、網様体、大脳新皮質などに作用することがわかっています。

さらに副交感神経に作用しやすいと考えられるので、またたびには猫をリラックスさせる効果があります。この状態は、中毒を起こしているのとは違います。

またたびで起こる中毒症状と健康への悪影響

猫とキャットニップの粉

またたびを猫に与えた時、中毒症状などの危険はあるのでしょうか。

呼吸困難

よく、またたびの中毒で呼吸困難になった、という話題をインターネットなどでも目にします。

しかしまたたびの成分で、猫の呼吸数が変化することはない、ということがわかっています。

またたびは中枢神経に作用しますが、実験により、猫の脳を麻痺させるということはなく、与えすぎで中毒になることもないとされています。

ただし、またたびを猫が大量に摂取することで、興奮状態になって暴れてどこかにぶつかったり、粉状のまたたびを過剰摂取して喉に詰まらせたりしたことで、呼吸困難になるという可能性はあります。

中毒症状とは、毒になる物質を体内に入れることで、体の正常な機能が阻害されてしまうことです。そのような意味では、またたびによる猫への中毒の危険はないと考えて良いでしょう。

依存症といった意味で中毒を考えた場合でも、猫がまたたびを毎日欲しがって暴れたり、苦しんだりといったことはないため、依存するような中毒症状はないと考えられます。

アレルギー反応

猫によっては、またたびにアレルギー反応を示すものもいます。アレルギー反応と中毒は違うものです。

またたびの粉をなめる、枝や葉をかじるなどしなくても、匂いを嗅ぐだけでもアレルギー反応を示す猫もいるということです。

アレルギーの症状として考えられるのは、皮膚に発疹やかさぶたができてかゆみを感じるもののほか、下痢をすることもありますし、猫によって症状が異なる場合もあります。

猫がリラックスするといったまたたびの効果に比べると、アレルギー反応は命にかかわることもあるため、アレルギー反応がある猫にまたたびを与えるのは危険です。

心臓への負担

またたびは、猫の中枢神経に作用するとされますが、中毒を起こすことはなく、さらに心臓に直接負担がかかることはありません。

猫にまたたびを与えて反応を見る実験では、少しの血圧低下は見られたものの、血圧が上昇するといったことはなかったということです。

しかし、体が弱っている老猫や、すでに心臓病などの持病がある猫の場合だと、またたびによっていつもより興奮状態になることにより、中毒にはならなくても、体に悪影響が出る可能性もあります。

てんかん発作の誘発

猫のてんかんとは、体の様々な部位で痙攣が起きたり、体や手足が突っ張る強直など発作を繰り返したりする、中毒とはまた別の病気です。

そして、またたびと似たような行動を猫に起こさせるものに、キャットニップがあります。キャットニップも、猫に中毒を起こすものではありません。

しかしアメリカ獣医療協会は、キャットニップについて、ラットが発作を起こしやすくなるという研究結果から、てんかん発作を持っている猫には使用しない方が良いと注意喚起しています。

キャットニップの有効成分はまたたびとは違いますが、興奮する、よだれを垂らす、転げ回るといった中毒に見えるような行動は、またたびを猫に与えた場合とよく似ています。

そのため、てんかんを持った猫には、キャットニップだけでなく、またたびを与えるのもやめておいた方が良いでしょう。

中毒性

猫にまたたびを与えても、基本的には中毒性はないとされています。

もし毎日与えたとしても、そのことでまたたび中毒や依存症になることはなく、むしろまたたびへの反応時間が短くなったり、反応そのものが薄くなったりするということです。

また、またたびの過剰摂取をすることで、またたびが持つ直接の効果により猫が中毒を起こすということもありません。

ただし、粉を大量に食べたために喉を詰まらせたり、枝や葉を飲み込んで喉を詰まらせたり、またたびで興奮状態になったことで暴れたことで怪我をした、といった、中毒以外のことが原因で、猫の健康が損なわれる可能性はあります。

さらに、どんな薬や食べ物でも与えすぎはよくないので、中毒になることはないといっても、猫の健康を考えると、毎日や大量になど、過剰摂取になるような与え方は控えた方が良いと言えるでしょう。

またたびの上手な与え方

ころがっている猫

またたびを与える年齢

ここまで、またたびによる中毒は起こらない、と書いてきましたが、それではいつから猫にまたたびを与えても良いのでしょうか。

子猫にまたたびを与える場合、生後半年以降からが良いとされています。猫の体が成長して、嗅覚や神経系も充分に成長してから与えた方が効果もあると考えられるためです。

中毒を起こすという心配はありませんが、興奮することで猫がどのような動きをするのかもわからないので、少量を必ず飼い主さんが見ている前で猫に与えるようにしてください。

またたびに対しての反応は、猫により個体差があります。反応しない時には、無理に量を増やして与えたり、無理やり匂いを嗅がせたりしないようにしましょう。

大量に与えない

またたびには中毒性はなく、麻薬のように依存することもありません。

猫にまたたびを与えた時には、一定の効果時間がありますが、そのうち興奮状態から覚めていつもの状態に戻ります。

効果時間は、一般的には5〜15分程度ですが猫によっても異なります。常習性もなく持続性もないため、またたびで中毒になる猫はほぼいないと言えるでしょう。

またたびは、ご褒美としてたまに与えることで効果が感じられるものなので、たとえ中毒の心配がなくても、大量に与えたり、連日与え続けたりするといったことはやめた方が良いでしょう。

与え方

またたびには、匂いを嗅ぐ、粉末をなめるといった与え方があります。

粉のまたたびを与える時は、中毒を起こす心配はほとんどありませんが、食べたことでの胃腸への負担を考えて、食べ物として大量に与えることのないようにしましょう。

匂いを嗅がせる方法としては、おもちゃや爪とぎの中にまたたびを入れる、というものがあります。

粉末のものをおやつにかけたり、爪とぎにかけたりする時には、なめて体内に取り入れることになってしまうので、ほんの一振りだけの量で充分です。

おもちゃや布にまたたびの匂いをつけて猫に与える時には、猫がおもちゃや布を飲み込まないように、気をつけて見ていてください。

またたびに反応しない猫もいる

またたびが嫌いというわけではありませんが、中毒どころかまたたびに反応すらしない、興味を示さない、といった猫も存在します。

猫の全体の2割程度は、またたびに生まれつき反応しないものがいるといわれています。

また、まだ嗅覚や神経系が発達していない子猫や、妊娠中のメス猫にはあまり効果がないことも知られています。

さらに、老猫よりも若い猫の方がより反応が良いことが多いようですが、その理由はわかっていません。老猫は、嗅覚やヤコブソン器官の能力や感度が落ちているためかも知れません。

与える量や頻度

またたびを与える適量は、ほんの少量で充分、と覚えておくと良いでしょう。

上限ははっきり決まってはいませんが、毎日与えたり、一度に大量に与えたりしても、一定の時間だけ反応を見せたあとには、中毒になることもなく、猫はふだんの状態に戻ります。

そのため、またたびを与える時には、ティースプーンの半分以下、耳かきにひとさじ程度といった少量から与えてみてください。

中毒は起こさないといっても、猫によっても反応の仕方が違うので、飼い猫の状態をよく観察しながら与えると良いでしょう。

与える頻度はできるだけ少ない方が、効果があがると考えられます。

猫の食欲が落ちている時、あまり遊ばないので元気を出させたい時、運動させたい時、また、しつけの時のご褒美や爪切りの際に与えてお手入れ嫌いを緩和させたい時など、ここぞという時に使うようにすると良いでしょう。

おすすめのまたたび製品7選

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スマック またたび (純末) 2.5g

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コメット またたび抽出液スプレー 20ml

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おもちゃや爪とぎにまたたび成分をつけやすい、スプレータイプのまたたびです。天然の虫癭果を100%使用しています。

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841円(税込)

国産の手作りで、猫が噛んで遊びながら歯のケアができる、またたび入りの猫用おもちゃです。

ペティオ (Petio) らくらくデンタルトイ けりぐるみ サメ

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635円(税込)

猫が抱えてキックしやすい形の、綿100%のぬいぐるみ。中にまたたびが入っています。

コメット 国産のびーる!じゃらし えび天

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1,173円(税込)

引っ張ると伸びたり、縮んだりして、さらに中にはまたたびが入っていて猫の興味をそそる、猫じゃらしのおもちゃです。

まとめ

おもちゃをくわえる猫

またたびは、猫を恍惚状態にさせますが、依存症になるような中毒性がない、比較的安全な植物です。

ただし、またたびは猫に多幸感をもたらし、時には興奮状態になることもあるので、与え方には気をつける必要があります。

過剰摂取で中毒になることはありませんが、中枢神経に影響があるため、飼い主さんが見ているところで与えてください。

おもちゃや爪とぎにつける、少量をおやつにかけるなどして、猫の様子をみながらまたたびをうまく与えてくださいね。

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