またたびの効果と特徴
またたびの効果や特徴には,どのようなものがあるでしょうか。
またたびとは
またたびはマタタビ科マタタビ属で,ツルを伸ばす落葉木に分類されます。白い花が初夏に咲いてやがて丸みのある実をつけるまたたびですが,市販で購入できるまたたびの粉末は,またたびの実を乾燥させて粉にしたものです。また,猫を夢中にさせるまたたびの成分は,またたびの部位によって強さが変わってきます。
- 液状にしたもの
- 実の部分
- 枝
- 葉っぱ
この順番で,またたびの効果が強くなるのが特徴です。
猫を夢中にさせるまたたびの効果
またたびの効果について,詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。猫がまたたびに夢中になるのは知っていても,なぜそんなに夢中になるのかは謎といえます。またたびの木や実・葉には,よだれが出やすくなるβ-フェニルエチルアルコールと呼ばれる成分があります。
また,猫のヤコブソン器官で感じ取り中枢神経に働きかける,マタタビラクトン・アクチニジンという2種類の成分は猫を軽い陶酔状態にします。そのためまたたびを与えられた猫は,寛(くつろ)いだ状態になって喉をゴロゴロ鳴らしたり,転がったりする行動を取ります。
この陶酔した状態は数分間続くこともあれば,1分もたたないうちに普通の状態に戻ることがあります。こういった特徴がまたたびにあるため猫は夢中になるのですが,またたびだからすべての猫が喜ぶというわけではないのです。もちろん大好きな猫がいる一方で,全く興味を持たない猫もいます。
またたびの効果の成分
またたびの効果の成分はどのようなものなのでしょうか。どんぐりのような細長くて丸みのある実には,ビタミンやミネラル・たんぱく質・糖質・脂肪分以外にも,猫が夢中になるマタタビラクトン・アクチニジンが含有されています。さらに,神経機能の向上・精神を穏やかにするマタタビ酸も含まれていますので,昔から「漢方薬」として,血行を促し,冷え性の緩和,利尿,鎮痛目的に利用されてきました。猫だけではなく,人間もまたたびの効果にあやかってきた経緯があるのです。
またたびを猫に与える際の注意点
またたびの成分や効果を聞くと,猫にもついつい頻繁にあげたくなるでしょう。しかし,またたびの摂取量には十分注意する必要があります。またたびを与えて無関心な猫もいれば,微量であってもメロメロになる猫もいます。初めて猫にまたたびを与えるときは,わずかな量から始めると無難です。万が一大量のまたたびを摂取した場合,猫に危険が伴います。
- ひきつけ状態
- 呼吸が困難になる
またたびを与えないときは,猫が勝手に口にしないように保管することが大切です。健康な猫であっても,どのくらいの量を猫に与えてよいか分からないときは獣医に聞いた方が賢明ですし,何かの薬を服用している猫にはまたたびを与えて良いのか,動物病院で確認してみましょう。またたびの効果を期待する一方で,摂取量などに気を付ける必要がありますが,またたびには依存させる成分がありませんから安心して与えられます。
またたびの効果の上手な与え方
またたびの効果は,猫の精神を穏やかにする役目もありますので,日常生活の中でまたたびの効果を上手く使うことができます。
猫の緊張をほぐす
猫を飼っている家でよくありがちなことがあります。
- どこかに猫を連れてお出かけする際に,なかなかキャリーケースに入らない
- 猫を何匹も飼っているために,猫同士でケンカが始まる
このようなときはまたたびの匂いを嗅がせることで,落ち着かせることができます。
猫の本能である爪とぎを,決まった物や場所で行うように誘導する
猫はかわいい存在ですが,飼い主さんが困ってしまう猫の行動に「爪とぎ」があります。爪をとぐ行為は猫が生まれつき持っている本能ですので,止めさせることはできません。かといって猫の赴くままにさせてしまうと,家中引っかかれてしまう可能性があるので,困ります。
そのようなときは,爪とぎ専用の板にまたたびの粉を少し塗っておきましょう。そうすれば飼い主さんがハラハラしなくても,猫はその匂いを頼りに板に興味を持ちますし,叱らなくても誘導することができるでしょう。また,おもちゃにも応用することで,対象のおもちゃに興味を持つきっかけになるでしょう。
完全な室内飼いをされている猫は,どうしても運動不足になりがちですが,おもちゃに興味を持って遊んでくれたら良い運動になります。またたびの効果を上手(うま)く取り入れると,教えたいことをスムーズに伝えられます。
またたびの効果と同等の効果を持つもの
またたびの効果は猫をメロメロにさせることが特徴ですが,このまたたび以外にも猫の好きなものがあります。
キャットニップ(イヌハッカ)
シソ科イヌハッカ属のキャットニップはハーブに分類されますが,またたびと似た成分を持っています。そのため,猫はこのハーブの匂いを嗅ぐと陶酔に近い状態となります。
また,人もキャットニップの葉を食べるなどお茶として楽しむことができます。もし,御家庭でこのハーブを育てている場合,猫が適量を超えて取ってしまう可能性がありますので注意しましょう。
同じシソ科イヌハッカ属のキャットミント
この植物も,キャットニップと同じハーブに分類されます。またたびの効果から見ると若干落ちますが,またたびに近い効果を得られます。
キウイフルーツ
マタタビ科マタタビ属に入るキウイフルーツには,またたび同様にマタタビラクトンをいう成分を持っています。ただ,私たちがふだん食べているキウイフルーツは改良されたものですので,またたびの効果としては弱いです。
猫にとって良くない植物もある
猫にとっては危険を伴う植物もありますので,注意が必要です。クリスマスに活躍する「ポインセチア」の茎・葉から,皮膚炎,嘔吐(おうと),下痢を起こす成分が出ます。万が一のことを考えておかない,又は猫が近づけないような所に置いて対処しましょう。そして,「シクラメン」は,食べてしまうと嘔吐(おうと)や下痢の症状が表れます。食べた量が多ければ命に関わります。
更に怖いのが「チューリップ・スズラン・ユリ」です。花の花粉がわずかでも体内に入れば,急性腎不全を起きるきっかけとなります。また,花や葉の部分も毒性が強いので,安全面を最優先に考えておかないのが賢明です。
まとめ
またたびを適量与えることは,猫の精神を穏やかにする効果もありますし,爪とぎの場所を教えるためなどに活用できますから,便利なものです。しかし,多量のまたたびはかえって猫にとってリスクですので,注意が必要です。正しい使い方でまたたびの効果を存分に活用しましょう。