なぜ、生前から検討するのが大切?
「愛猫が生きているうちから火葬のことを考えるのはちょっと…」と気が引けてしまう飼い主さまは多いはず。
そのお気持ちもとてもよくわかります。なんだか縁起の悪い気がしますし、考えていて悲しくなってきそうですものね。
しかし、それでもペットロスカウンセラーとして活動する筆者は「生前のリサーチ」を強くおすすめします。
その理由は、「飼い主さまが冷静な判断をするため」です。想像するのもつらいかと思いますが、命あるものいつかはお別れの日が来ます。
そして、どんなに覚悟していたとしても、大切な愛猫の旅立ちは本当につらく飼い主さまにとっても、ものすごく衝撃的な出来事となるはず。
しかし、そうしている間にも飼い主さんにはたくさんの選択が迫られます。
- 火葬はどこに頼む?
- 誰に知らせる?
- オプションもつけるべき?
悲しみでいっぱいの時でも決めることはたくさんある……。果たして、みなさんは冷静な判断ができるでしょうか?
おそらく、普段どんなにしっかりしておられる飼い主さまでも難しいのではないかと私は思います。
実際に、私がペットロスカウンセラーとして活動していると「火葬で悔いが残っている」とご相談される飼い主さまはとても多くいらっしゃいます。
後ほど詳しくご紹介しますが、みなさん「気が動転していて、まともにペット火葬の業者を選ぶことができなかった」とお話しておられましたよ。
悔いなく愛猫を送り出すためにも、飼い主さまは愛猫の生前からしっかりとリサーチを行うことが大切なのです。
ペット火葬にも種類がある
「ペット火葬」と一言に言っても、火葬業者だけではなく火葬そのものにもさまざまな種類があります。
まずは、火葬の種類を知っておきましょう。
個別火葬
「個別火葬」は自分の愛猫だけを火葬するものを指します。また、個別火葬の中にもさまざまなスタイルがありますよ。
- 自宅まで出張してくれる移動火葬車で行うもの
- 飼い主や生前仲良くしてくれた人が立ち会って行うもの
- スタッフに愛猫の遺体を預け、火葬後に遺骨を返してもらうもの
近年では移動火葬車で行うペット火葬が主流になってきており、悲しみの中で外出が困難な飼い主にもありがたい方法とされています。
筆者も数年前にこの方法で愛犬の火葬を行いましたが、当時は子どもも小さかったため本当に助かりました。
一方で、移動火葬車は見た目も大きく、近隣の人から不審な目で見られてしまったり、車を停める場所がないと行えなかったり…というデメリットもあるようです。
合同火葬
「合同火葬」は、同時期に依頼のあった他の家族のペットも一緒に火葬する方法です。市町村で運営しているものも多く、料金も安いのが特徴でありメリットでもあります。
しかし、他のペットと一緒に火葬されるため遺骨が混じるので骨上げはできず、納骨も合同での供養碑などにまとめて行われます。
筆者のもとにご相談くださった飼い主さまの中にも「合同での火葬を選んだけれど、納骨まで合同だということを聞き逃していて後悔している」という人もいらっしゃいました。
もちろん、合同での火葬や納骨もきちんとした供養方法ですので、決して悪いわけではありません。それでも、飼い主さまの思い描いていた供養と違ってしまっては、悔いは深く残りますよね。
飼い主さまは、こうしたそれぞれの火葬方法でのメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、愛猫の火葬を業者に依頼することが大切です。
信頼できるペット火葬業者の特徴
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自分や愛猫に合った火葬方法がイメージできましたか?
次に、実際に依頼したいと思えるペット火葬業者を見つけることが重要なのですが、そもそも「信頼できるペット火葬業者」とはどのようなところなのでしょうか。
飼い主さまによってさまざまな考えがあるかと思いますので、「正解」はありません。
ですが、ここでは筆者個人の経験やこれまでにお話を伺った飼い主さまからお聞きして考えた「信頼できるペット火葬業者の特徴」を2つご紹介します。
1:料金体系がシンプルである
まず一つ目は「料金体系がシンプルであること」です。
残念なことではありますが、この世には飼い主さまの悲しみに漬け込んだ「悪徳ペット火葬業者」も存在します。
そうした悪徳業者に依頼してしまうと、火葬後に前もって聞いていた金額以上を不当請求されることもあるのです。
ペット火葬の業者を選ぶ際には、ホームページなどに記載されている料金体系がシンプルでわかりやすいところがおすすめですよ。
「火葬◯◯円、骨上げ〇〇円」など一つずつの作業ごとではなく、すべての工程がセット料金で書いてあるところだとわかりやすいですよね。
2:愛猫や飼い主に親身に寄り添ってくれる
私たちの大切な家族である愛猫ですが、まるでモノのように扱われて火葬されてしまったらショックですよね。
しかし、実際に「一つの作業」として淡々と火葬を進めてしまう業者も中にはあり、飼い主さまの心はひどく傷ついてしまいます。
ホームページやレビューなどもよく確認し「旅立つ愛猫や自分の心に寄り添って火葬をしてくれるところか」をよく見極めましょう。
業者を決める前に確認したいこと
ペット火葬の種類・信頼できる業者の特徴をお話しました。最後に、ペット火葬業者のリサーチを進めていくつか候補が決まったら、もう一度次のことを確認してみてください。
確認したいこと1:遺骨はどうなるのか
先ほども少しお話したように「合同での納骨だと知らなかった」ということを避けるため、火葬後に愛猫の遺骨はどうなるのかを確認しましょう。
個別火葬で行った場合はほとんどが飼い主さまの手元に戻るかと思いますが、中には違うシステムの業者もあるかもしれません。
もう一度ホームページなどを確認し、それでも不明な場合には直接電話などで問い合わせてみてくださいね。
確認したいこと2:実際の雰囲気
どのペット火葬も「ご家族あってのもの」ですので、実際の現場を見学することは難しいかもしれません。
しかし、ホームページに写真を掲載していたり、依頼の入っていない日にセレモニーの会場の見学をさせてくれたりする火葬業者もあります。
どのように愛猫の火葬が進められるのかをイメージできると、飼い主さまも安心ですよね。
大切な家族である愛猫の大切な旅立ちですから、安心して送り出すためにも一度雰囲気を確認しておきましょう。
確認したいこと3:レビューにはない声も調べてみる
ホームページにレビューを載せている火葬業者も多いですよね。しかし、レビューを信じきるのではなく、自分で検索してブログやSNSに正直な感想を載せている人がいないかを探してみるのもいいかもしれません。
レビューをすべて疑うわけではありませんが、集客のために「評価の低いレビュー」を載せていないケースも考えられます。
親身になって火葬してくれる業者との出会いは、後のペットロス軽減にもつながる大切なことです。妥協はせずに、飼い主さまは納得してペット火葬業者を選ぶようにしましょう。
生前からリサーチして悔いなく送り出そう
ペット火葬の種類や選び方について、詳しくお話しました。こんなにたくさんのこと、愛猫が亡くなってから行うのは至難の業ですよね。
「気が引ける」と思ってしまうのも無理はありませんが、生前から少しずつ進めて行ったほうが、飼い主さまにも猫ちゃんにも良い道が見つかると私は思います。
火葬は愛猫の新たな旅立ち。愛猫の人生において、とても大切なことです。ぜひ、後悔のないように選んであげてくださいね。
以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。 著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)