【専門家が解説】ペットロス克服の逆効果になることも…? 新たに猫を迎える際のポイント

【専門家が解説】ペットロス克服の逆効果になることも…? 新たに猫を迎える際のポイント

ペットロスの克服法として「新たな猫を迎える」というものが有名ですが、実際のところはどうなのでしょうか?今回はペットロスカウンセラーが、愛猫を看取った後に新しい猫を迎える際のポイントについてお話します。

新しい猫を迎える方法は効果的?

子猫と人間

ペットロスに陥ると、突然涙が出て止まらなくなったり拒食や幻聴などの症状が現れたりと、まるで自分が自分ではないような感覚にも襲われて毎日がつらいですよね。

大切な家族である愛猫が旅立ったのですから、ペットロスに陥るのはごく自然なことで何もおかしくなんてありません。

とはいえ、飼い主さんからしたら「1日でも早く、この状況から抜け出したい」と思ってしまいますよね。

そうしてネットなどでペットロスの克服方法を調べているうちに「新しいペットを迎える」と目にしたことのある人も多いでしょう。

たしかに、「動物でできた心の穴は動物でしか埋められない」と思う人も多いですし、ペットロスカウンセラーとして活動する筆者もそれは間違いではないと思っています。

私のもとにご相談くださった飼い主さまの中にも、実際に愛猫を亡くしてから数ヶ月で新しい子を迎え入れた方がいらっしゃいました。

「愛猫を亡くした悲しさが完全に晴れたわけではないけれど、新しい家族が増えたことで“前を向いて進んでいこう”と思えるようになった」とお話していましたよ。

ただ、この方法がどの飼い主さんにも合うか…と聞かれれば、私は簡単に「イエス」とは言えません。

「ペットロスを克服するために」と安易に新しい猫ちゃんを迎え入れてしまうのは、逆効果になることもあるので注意が必要です。

かえってペットロスが悪化することも

顔を上げてる猫と人間

先ほどのように、新しい子を迎えてペットロスを克服した飼い主さんも実際には多いです。

しかし一方で、「新しい子を迎えたけれど、旅立った猫と比べてしまって余計に苦しい」といった声もこれまでにいくつかありました。

「ペットロスから抜け出すため」と思って新しい子を迎えても、結局は逆効果になってしまったのですね。

飼い主さんが苦しいのはもちろんですが、きっと新しい猫ちゃんにもその苦しみは伝わってしまうかと思います。

愛猫を失った後に新しい猫を迎え入れること自体は、とても素敵なことだと私も思っています。

ですが、このようにペットロスが悪化したり、ペットロスでの苦しみに加えて「新しい子を愛せない」といった悩みがプラスしたりするケースもあるのが事実なのです。

なので、ペットロスカウンセラーである私は「ペットロスを克服したいから」という理由だけで、新しい子を迎え入れるのはあまりおすすめしていません。

新しい猫ちゃんを迎える前に、いくつか確認していただきたいポイントがあるのです。

新しい子を迎える際のポイント

笑顔の子猫と人間

ここからはペットロスカウンセラーの視点から、新しい子を迎える際のポイントを3つお話します。「新しい子を迎えようか悩んでいる」という飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ポイント1:家族が納得して迎えること

まず、ご自分や一緒に暮らすご家族が「本当に心から新しい猫を迎えたい」と思っているのか、よく確認しましょう。

同じ家族間であっても考え方はさまざまですから、特定の1人が決めてしまうのは避けてくださいね。

ひとり暮らしの飼い主さんも「どうして自分は新しい猫を迎えたいのか?」と、自分の心にもう一度問いかけてみてください。

ただ単に「ペットロスでのつらさを軽減したい」という理由ならば、新しい子を迎えるのはまだ早いのかもしれません。

先ほどお話したようにペットロスが悪化してしまう危険もあるので、もう少し時期を見てみましょう。

でも、そうではなく「猫との暮らし」に対して少しでも希望が持てるような想いがあるのであれば、ぜひ前向きに検討してみてくださいね。

ポイント2:愛するまで時間がかかるかもしれないことも覚悟

前向きに新しい猫を迎えることを決めたとしても、実際に迎え入れてから「なかなかこの子を愛せない」と自分を責めてしまう飼い主さんも珍しくはありません。

でも、それは「愛していない」というわけではなく、「まだ時間が足りていないだけ」なのだと私は思います。

亡くなった愛猫とも、たくさんの時間をかけて愛情や関係を築き上げてきたのです。それを新しく迎え入れた猫ちゃんと比べる必要はまったくありませんよ。

新しい子を迎え入れる際には、前もって「お空に行った子と同じように愛するには時間がかかる」と覚悟しておきましょう。

新しい猫ちゃんとも時間をかけて、ゆっくり思い出をつくっていってくださいね。

ポイント3:罪悪感は抱かないでいい

大切な愛猫を亡くして新しい子を迎えようとする際、「お空に行ったあの子に悪い気がする」と感じてしまう飼い主さんはとても多いです。

もしかしたら、周囲の人から「まだ早いのでは?」と冷ややかな目で見られてしまうこともあるかもしれませんね。

でも、お空に旅立った猫ちゃんも同じように思うでしょうか?あくまでも私の考えではありますが、お空に旅立った猫ちゃんは飼い主さんが新しい子を迎え入れること、心から喜んでくれるのではないかな…と思うのです。

なぜなら、みなさんが新しい子を迎えようと思ったのは、きっとお空に旅立った猫ちゃんがいたからこそですよね。

お空の愛猫がたくさんの思い出を残してくれて、たくさんの素敵な感情を教えてくれた。だからこそ、みなさんは「また猫と暮らしたい」と心から思ったのだと思います。

大好きな飼い主さんが家族をつないで、新しい子を通していつまでも自分を見てくれる。お空の愛猫からしても、嬉しくないわけがありません。

なので、新しい子を迎える際に罪悪感を抱く必要はまったくありませんよ。罪悪感ではなく、「あなたのおかげだよ、ありがとう」という感謝の気持ちを胸いっぱいに持つようにしてみてくださいね。

ペットロスは焦らずに向き合おう

今回の「新しい子を迎える」という方法に限らず、ペットロスを克服する方法にはさまざまなものがあります。

ですが、その方法はどれも一例であって、効果があるかどうかというのは人によって変わってきます。ペットロスを克服する方法には正解なんてないのです。

ただ、その中でも唯一言えるのは「ペットロスは時間をかけて、ゆっくり向き合うのが大切」ということです。

ペットロスに陥るのは、お空の愛猫をそれほど深く愛していた証拠です。ですから、「早く克服しよう」とか「この状況から抜け出さないと」と焦る必要はありません。

でも、その過程で新しい猫ちゃんと出会えたのなら、それは嬉しい奇跡。その奇跡を大切にしながら、ゆっくりみなさんのペースでペットロスと向き合っていってくださいね。

執筆者情報

写真
Rapport Ciel
代表・ペットロスカウンセラー・ペットケアアドバイザー
松永由美

以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。
著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)

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