猫がお風呂嫌いになる理由は?上手な入れ方や嫌がる時の克服方法

猫がお風呂嫌いになる理由は?上手な入れ方や嫌がる時の克服方法

この記事では猫がなぜお風呂嫌いになってしまうのか、その原因と上手にお風呂に入れる方法をご紹介しています。克服に必要なポイントもおさえていますので、ぜひ参考にしてください。

猫がお風呂嫌いになるのはなぜ?

蛇口の後ろに隠れる猫

猫はお風呂が嫌いな動物です。水が苦手な猫の祖先が関係しているとされていますが、他にもお風呂に入ると「自由に動けない」「シャワーの音に恐怖を感じる」などの理由から嫌がります。なぜ猫がお風呂を嫌いになるのか、理由別に詳しくご紹介します。

猫の祖先の頃から水浴びの習慣がなかった

猫の祖先は、アフリカの砂漠地帯に住んでいたリビアヤマネコです。砂漠に住んでいたリビアヤマネコは、砂の上に横たわりゴロンゴロンと体を砂にこすりつけて汚れを落としていたので、水浴びをする習慣がありませんでした。

また、砂漠は日中と夜の寒暖差が激しく、気温が下がる夜に体が濡れていると体温を奪われて命を落とすことも。水になじみのない生活を送っていたので、猫がお風呂を嫌がるのはとても自然なことです。

お風呂で自由に動けない

自由に動けないのも猫がお風呂を嫌がる理由のひとつです。猫は慣れない水を浴びると恐怖を感じたり、お腹やお尻回りを洗われたりするのを嫌がります。そして逃げることもできない状況に、猫はストレスを感じるためお風呂嫌いになるのです。

そのため飼い主さんは、猫にとってお風呂に入るのはとても辛いことだと知っておく必要があります。お風呂に入れる場合は、猫の様子を見ながら無理のないように気をつけてあげましょう。

慣れていないシャワーやドライヤー

慣れていないシャワーやドライヤーの音などに恐怖を感じて、お風呂が嫌いになることもあります。浴室内は音が反響するのでシャワーの音が大きく聞こえ、乾かす際に使うドライヤーに慣れていないと大きな音や強い風に恐怖を感じるためです。

長時間ストレスを感じている状態になってしまいます。猫の毛は細くとても密に生えているため、しっかり乾かさないと水分が残ってしまいます。水分がある状態にしておくと体が冷えて体調を崩す恐れがあるので、ドライヤーの苦手な子はタオルドライをしっかりして濡れたままにしないよう気をつけましょう。

猫をお風呂嫌いにさせない上手な入れ方

ブラッシングされる猫

猫の中にはお風呂が好きで気持ちよさそうに湯船につかる子もいます。このように好きで自主的にお風呂に入る猫はとても稀なので、猫をお風呂に入れるときは「水が苦手」という前提で接してあげることが大切です。

ではどのようにして入れてあげればお風呂嫌いにならないのでしょうか?お風呂の入れ方についての解説と合わせて、お風呂が嫌いにならない入れ方のコツ・注意点もご紹介します。

お風呂に入れる前の猫のお手入れと道具の準備を行う

体調チェック

まず大切なのは猫の体調チェックです。お風呂に入ることはとても体力を使うので、元気な時にしてあげましょう。普段と様子が違っているときやワクチン接種前後、妊娠中の場合は避けてください。

爪切り

飼い主さんにも猫にとっても大事なお手入れが爪切りです。お風呂が嫌で暴れる可能性を考えて必ず切りましょう。飼い主さんのケガ防止でもありますが、パニックになった猫が自分自身を傷つけてしまうときの対策になりますので、爪切りは忘れずに行ってください。

ブラッシング

お風呂前にブラッシング することで、余分な汚れ落としや毛の絡まりをとることができます。毛が絡まったまま水に濡れるとかたまりになって洗いづらくなりますので、猫の負担と飼い主さんの負担どちらも減らすことができます。そのためにもブラッシングをして前もって取っておきましょう。

お風呂に入る前に準備しておく道具はこちらです。

猫用バスタブ

バスタブについては専用の物ではなく、洗面所や洗面器をつかうなど別の物で代用できます。プラスチック製のバスタブなら軽く、猫が暴れたときに猫自身がケガをする恐れがないのでおすすめです。

猫用シャンプー

猫を洗うときには猫用のシャンプーを使用しましょう。代用品で人間のシャンプーなどは使用しないでください。刺激が強く、皮膚炎を起こしてしまう可能性があります。

猫用のシャンプーは毛づくろいをする前提で成分を考えてつくっているので安全ですが、人間用のシャンプーは舐めることを考えてつくられていません。アレルギーを起こすなどの危険があるので使用しないでください。

タオル3枚以上

ドライヤーを怖がって使えない場合はタオルでしっかり乾かす必要があります。3枚以上タオルがあれば、しっかり水分を拭き取れて早く乾かすことができるのでおすすめです。初めて洗う場合は多めに用意しておきましょう。

顔まわり用のタオルやスポンジ

猫の顔まわりを洗うために、顔まわり用のタオルやスポンジを用意しましょう。目、耳、鼻に水を入れないために、お湯をふくませてなでるように拭いてあげる必要があります。

溜めたぬるま湯に猫を入れて毛の根元まで濡らす

猫に直接シャワーをかけずにバスタブや洗面器にぬるま湯(35℃前後)をはり、その中でゆっくり猫にお湯をかけて根元まで濡らしましょう。猫の様子を見ながら、ぬるま湯で体の汚れを浮かせます。顔は濡らさなくてOKです。

猫用シャンプーを使い全身を洗う

猫用シャンプーを手のひらでなじませたら、背中、お腹、手足、しっぽ、肛門の順で洗います。手足やしっぽ、肛門は嫌がる子もいるので無理のない範囲で洗い、顔はお湯を含ませたタオルやスポンジで拭いてあげましょう。

すすぎにシャワーを使う場合は、初めはちょろちょろ出すようにして猫の様子を見ながら強めるなど、水の勢いに注意してください。また、バスタブに新しくお湯をはりなおして流してあげるとシャワーの音に驚くこともないのでおすすめです。

猫の体にシャンプーが残らないようにしっかりすすいであげましょう。

タオルやドライヤーを使って完全に乾かす

まずはタオルでしっかり水気をとりましょう。ここでしっかり水気をとることでドライヤーの時間を短縮できます。顔や耳はタオルで優しくなでるように水気をとってあげてください。

猫にドライヤーを向けるときの注意点は、「間に手をかざして直接風を当てないようにする」「同じ場所にあて続けないこと」です。

もしドライヤーの音を怖がって乾かせない場合は、タオルでしっかり水気をとりましょう。とくにお腹やわきの下など水分が残ると冷えやすい場所には注意して乾かしてあげてください。

子猫を洗う場合の注意点

子猫をお風呂に入れる場合はやくても生後1か月以上、安全を考えると生後3か月以上経ってからにしてください。子猫は自分でうまく体温調節ができないため、濡らすと体が冷えて体調を崩す恐れがあります。

子猫を拾って体の汚れやノミがひどい場合はすぐにでもキレイにしてあげたくなりますが、お風呂より先に動物病院へ連れていきましょう。体の検査やノミダニなどの駆虫、ワクチンの相談後、体の汚れやお風呂についてなども確認すると安心です。

猫がお風呂を嫌がる時の対処法

タオルに包まれる濡れた猫

猫がどうしてもお風呂に入るのを嫌がるときはどうしたらよいでしょうか?まずはグッズを取り入れる方法、お風呂の時間を短縮する方法、そしてお風呂場に慣れてもらう方法、これらを組み合わせて猫にかかる負担を減らしていきます。どのようにして負担を減らすことができるのか、具体的な方法についてご紹介していきます。

ドライシャンプーや蒸しタオルを使ったお手入れから始める

ドライシャンプーは泡タイプやスプレータイプ、ふき取りタイプやふき取り不要などの種類があります。共通しているのが水を使って洗い流す必要がないため、「お風呂で暴れる子を洗いたい」「気になるところだけ洗いたい」「少しずつ濡れることに慣れさせたい」ときに役立つシャンプーであることです。

また、濡れタオルを使用する方法もあります。全身に使うことができて、少しずつ水に慣れてもらうのにもとても効果的です。

少しずつ濡れることやタオルで撫でられることに慣れれば、お風呂へ入るときの抵抗感も薄れてきます。お風呂を克服するための最初のステップとしてぜひ利用してみましょう。

全身ではなく部分洗いのみの短時間で済ませる

お風呂場には行けるけれど長時間洗うのが難しい……。そんなときは部分洗いをしてみましょう。たとえば汚れやすいお尻や肛門まわりだけ、汚れている手足だけなど一部をしっかり洗うことでお風呂時間を短縮して、猫の負担を減らすことができます。

部分洗いだけなので全身をしっかり洗ったときよりも乾かす部分が少ないため、トータルのお風呂時間を減らすことができます。猫にかかるストレスを減らせるので、お風呂嫌いを治す第一歩として取り入れてみてください。

お風呂場に慣れてもらう

猫の中にはお風呂場に慣れていなくてお風呂に入るのを嫌がる子もいます。お風呂場の匂いに慣れていないと、怖くなり暴れる可能性も。

時々お風呂場で水を飲ませたり、おもちゃで遊ばせたりするのがおすすめです。猫は徐々にお風呂場へ入ることに抵抗感がなくなり、お風呂に入れるようになることもあります。

最初からシャワーやドライヤーの音には驚いてしまうので、まずはお風呂の場所や匂いに慣れてもらうために一緒に過ごす時間をつくってみてはいかがでしょうか。

汚れやすい部分の毛をカットしてシャンプーの頻度を減らす

長毛種の猫のお尻まわりは肛門がみえないほど毛がふわふわに生えています。そのため、排泄時に肛門まわりだけではなく毛まで汚れやすいので気をつけてください。毎回汚れて大変な場合は、肛門近くの毛をカットしてシャンプーの頻度を減らす方法があります。

しかし、猫の毛をカットするのに抵抗がある方もいるでしょう。排泄物で毛が汚れて悩んでしまう場合の最終的な方法として覚えておいてください。

カットする前に部分洗いだけで済む場合もありますので、猫本来の毛の長さを残すことと飼い主さんの気持ちを考慮した上で行いましょう。

お風呂嫌いな猫でもシャンプーは必要?

バスタブの縁に乗る猫

お風呂嫌いな猫は無理をしてシャンプーをしなくても大丈夫です。猫は基本的に自分で毛づくろいをして体をきれいにすることができます。トイレ後は毎回お尻まわりを丁寧にきれいにしていますよね。ザラザラの舌を上手に駆使して時間をかけてしっかり汚れを取りのぞいているのでまったく問題ありません。

とくに家猫は外からもらう泥汚れなどがないので、自分で毛づくろいをしていれば大丈夫です。例えば長毛種で排泄物がお尻まわりにつきやすく自分できれいにするのが難しい子や、毛づくろいの頻度が落ちる高齢の猫は定期的にシャンプーが必要になることがあります。

今後に備える意味で、今のうちにお風呂に慣れておくと飼い主さんも猫自身も安心です。その場合も無理してまで慣れさせる必要はありません。お風呂に入れなくてもきれいにできるドライスプレーや、なめても安心なボディーシートなどのグッズもあります。

猫をきれいにするグッズがたくさん販売されているので、毛づくろいで体がきれいなうちは急いでお風呂に入れなくて大丈夫です。猫と飼い主さんのペースで、お風呂についてゆっくり考えてみることをおすすめします。

まとめ

びしょ濡れの猫

猫は以下のような理由から、お風呂嫌いになります。

  • 猫の祖先の頃から水になじみのない生活をしていた
  • お風呂には猫の嫌いな要素がたくさんつまっている

猫にとってお風呂に入ることは、「命にかかわるほどの出来事」と飼い主さんは理解した上でお風呂に入れる必要があります。時間はかかりますが、猫が感じる苦手なポイントをおさえながら様子を見て体を洗うことでお風呂に入れるようになる可能性も。

また、猫の負担を考え全身洗うのではなく「部分洗いに切り替える」「日々こまめに拭いてあげる」「グッズを上手に取り入れる」など、猫をきれいにする方法はたくさんあります。飼い主さんと猫のペースを大事にして、相性のよい方法を取り入れてみてください。