やんちゃな猫の問題行動
やんちゃとは、活発で言うことを聞かず、だだをこねたり、わがままな行動をしたり、いたずらをしたりする、といった様子のことです。やんちゃな猫がしてしまう問題行動には、次の様なものがあります。
1.飼い主さんに過剰に甘える
飼い主さんに甘えてくるのは良いのですが、過剰に甘えてくるようだと、猫のやんちゃな問題行動となってしまいます。具体的なものとしては、以下のような猫のやんちゃな問題行動が見られます。
- 猫が飼い主さんにいつでもまとわりつく
- 猫が飼い主さんが関心を示すまで鳴き続ける
- 猫が飼い主さんをじっと見つめ続ける
猫に好かれている、と喜んでばかりもいられず、やんちゃな猫は自分を見て欲しいためにわがままな行動をしてきます。部屋を移動するとついてきて、部屋のドアを閉めるとガリガリと引っ掻いて一緒にいたがります。やんちゃな猫の行動がエスカレートすると、飼い主さんが留守の間に、寂しさや不安やストレスのために、布団やソファなどに排泄をしてしまうこともあります。これは猫の分離不安と言われるもので、飼い主と離れることに強い不安や寂しさを感じることを言います。
分離不安から来る色々な猫の行動は、次の様にやんちゃな猫がする問題行動と同じようなものが見られます。
- 猫がトイレ以外の場所で排泄する
- 猫が大声で鳴く
- 猫が自分の体を過剰に舐めたり噛んだりする
- 猫が物を噛んだり引っ掻いたりする破壊行動をする
2.大声で鳴く・夜鳴きをする
猫が大声で鳴き続け、それが飼い主が寝る時間帯であることが問題です。飼い主が寝てしまうのが嫌で鳴くというもので、まるで人間の子供の様で、やんちゃに感じる行動ですが、夜中だと睡眠の妨げになってしまいます。他の欲求としては、外に出たいとか遊びたいといったアピールをしていると考えられます。保護した猫で、外の世界を知っている場合にも、夜に行動していた名残があって夜鳴きをしてしまうことがあります。
やんちゃな猫だからといって、猫の相手をしたり、実際に外に出したりしていては、いつになっても改善はしませんので、夜中にずっと付き合わされる羽目になりかねません。
3.夜中に走り回る
よく言われる、猫の大運動会という問題行動です。猫のやんちゃな行動の中でも大変なもののひとつです。飼い主さんの睡眠が妨げられるだけでなく、夜中の猫は、普段では行かないような場所に登ったり隠れたりして、やんちゃな猫に物を倒したり壊されたりします。
4.吸い付きをする
猫の離乳期が終わったのに、布製品や自分の尻尾や足、さらには飼い主さんの体に吸い付いてチューチューとするやんちゃな行動です。吸うことそのものは大きな問題ではなく、布を吸うことで猫が異物を飲み込んでしまったり、自分の体に傷をつけてしまったり、飼い主さんの手や指などを傷つけてしまうと、問題となります。
5.高所に登りたがる
猫は上下運動を好み、猫同士でも高所にいる方が喧嘩の時に優勢だとされるため、高いところに登りたがります。そのことは問題行動ではありませんが、やんちゃな猫は、カーテンにぶらさがりながら登ったり、食卓など登ってはいけない所に登ったりします。ひどい時には飼い主さんの体によじ登ったり、降りて来られなくなるほど高い所に登ってしまったりします。
そのためカーテンがぼろぼろになったり、やんちゃな猫が食卓や作業台の上のものを落としたり、降りられなくなって大声で鳴いたりという問題行動を起こしてしまうのです。
6.布などを食べる
食べ物以外のものを食べてしまうことを、異嗜(いし)症、またはウールサッキングと言います。タオルや毛布などの布製品や、ゴミ袋などのビニール製品、電気コード、植物など、猫によって執着するものが異なります。猫が対象物を舐めて吸っているだけでも、異常な行動だと言えますし、かみちぎるなどして食べてしまった場合には、動物病院に連れていく必要がでてきます。
いろんなものを齧って遊んでやんちゃな猫だな、と見過ごしていると、猫がお腹を壊すほか、猫の器官や内臓に異物が詰まって命の危険があるかも知れませんので、注意が必要です。猫が胃の中に入った毛玉を吐き出すために食べるとされる猫草は、異嗜症にはなりません。でも、猫草がないために、代わりとして違うものを食べている可能性もあります。
7.グルーミングをずっと続ける
猫がいつまでもグルーミングをしていたり、終わったはずのグルーミングをまた始めたりといった問題行動をします。繰り返すという行動では、グルーミングだけではなく、同じところを行ったり来たりと歩き回ったり走り回ったりすることもあります。同じことを続けることを常同行動と言い、動き回ってやんちゃな猫だな、というだけでは済まないものとなります。
やんちゃな猫の正しいしつけ方
驚かせて行動を止める
猫がしているやんちゃな問題行動をまず止めるには、驚かせる=サプライズ、という方法が有効です。
- 手をパンと叩く
- 声をかける
- 猫のそばにタオルなどを投げる
これらは一時的なものですが、現在している問題行動をやめさせて、興味を別のものに変える効果があります。例えば、猫が登ってはいけないところに行こうとしている時、猫がカーテンを引っかこうとしている時、猫が吸い付きをなかなかやめない時などです。
無視をする
猫がかまってほしいとアピールしてくる場合には、無視をするというしつけがあります。猫が鳴いて、過剰にアピールしてきたり、外に出たがったりなどをする時には、そっと猫から離れて無視するという対応をしましょう。猫が鳴かないで静かにしている時に撫でてあげたり、かまってあげたりすると、猫は過剰に鳴かなくてもかまってもらえることを理解してきます。
猫と遊ぶ時間を日中につくる
猫と毎日、一定時間遊んであげることで、夜鳴きや夜中の運動会を減らせることがあります。運動不足であること、日中に寝ていることが原因で夜に猫がやんちゃな行動をしてしまう場合には、日中の運動で夜中の問題行動が減ります。
さらに、猫の生活パターンを人間に合わせるようにしていくことも一つの方法です。夜中には飼い主にもかまってもらえないし、静かに寝る時間なのだ、と小さい頃から行動させることで、夜には飼い主と一緒に寝るようにすることもできます。
スキンシップを取る
猫のやんちゃな問題行動には、飼い主さんとのスキンシップ不足が原因である場合もあります。猫を撫でたり、名前を呼んだり、猫じゃらしなどで5分から10分遊んであげるなど、少しのスキンシップでも、猫にとっては安心できるものになります。
一貫性を持ってしつける
家族の中で、やんちゃな行動をした猫を叱る人と叱らない人がいると、猫を正しくしつけることができません。夜中に鳴いた時も、無視するのが一番なのですが、家族の誰かが根負けして猫の相手をしてしまうと、夜中にアピールする猫のやんちゃ行動が直ることはありません。猫のやんちゃ行動に対してどのように相手をするのかを家族で決めたら、必ず守るようにして、猫が混乱しないようにしましょう。一人で猫を飼っている人も、気分次第で猫の対応を変えず、してはいけないことをした場合には心を強く持って対処しましょう。
物理的に対処しておく
猫がやんちゃでイタズラする場合には、物理的に対処する方法があります。猫がコードをかじったりする場合はテープで保護し、カーテンに登る場合にはカーテンの素材を変え、ソファを引っ掻く場合にはカバーをかける、イタズラされる部屋には猫を入れないなどです。しつけも大切ですが、被害を少なくし、猫の安全を確保するには、現実に猫がやんちゃなイタズラをできないようにするのも一つの方法です。
やんちゃな猫に対して気をつけること
発情期の可能性がある
猫がやんちゃな行動をして言うことを聞かない、という時には、ただやんちゃなだけではなく、発情期である可能性があります。スプレーを言われるおしっこを吹き付ける行動や、夜鳴きや、走り回ったりするのは、オス、メスともに発情期に見られる行動でもあります。発情期の場合は、やんちゃな時とは違い、しつけで改善できるものではありません。子猫を望まない場合には、猫の不妊や避妊手術を検討しましょう。
病気の可能性がある
病気があったり、怪我をしていたり、認知症が始まっていたりすると、猫がやんちゃと思われるような行動をすることがあります。猫g飼い主さんに対してずっとつきまとったり、大声で鳴いたり、徘徊したり、といった行動が、病気や怪我のつらさからくるものであると、治療をしないと治ることは難しいと言えるでしょう。
猫がやんちゃに動いているから健康かというと、そうでもない時があるのです。動物病院で健康状態をチェックしてもらうようにしましょう。
環境を整える
猫が粗相をして困る、といった場合には、猫トイレが汚れているだけかも知れません。猫が寝てくれない場合には、猫の寝床が快適でない場所にあったり、窓から常に外が見えて猫が気にする状態であったりする場合があります。トイレを綺麗にして、猫が静かに眠れる環境を作るだけでも、猫のやんちゃ行動が改善される場合があります。猫をしつけようとするだけでなく、飼い主さんは自分の家の環境づくりも見直してみましょう。
まとめ
猫がまだ若くてしつけもちゃんとされていない場合には、やんちゃな行動で飼い主さんを悩ませることがあります。人間と暮らすということは、猫が人間の生活環境に合わせることも必要です。猫が感じているストレスを解消し、やんちゃ行動を改善するようにして、飼い主さんも猫も快適に過ごせるようにしていきましょう。