ペット販売ではなく「譲渡」を広めるための法案
2021年11月初旬、米国インディアナ州のインディアナポリスにてペットショップでの「犬・猫・ウサギの販売を禁止する法案」が市郡議会に提出されました。
同法案は、犬・猫・ウサギの販売を禁止する一方、市の動物ケアセンターや動物保護団体で里親を募集している動物の展示や、譲渡活動を行うためのスペース貸与を可能としています。
今回の法案は、今年に入り動物ケアセンターの保護動物が再三にわたり収容限度いっぱいとなる事態を受けて提出されたもの。
今年9月の時点で動物ケアセンターでは動物の無料譲渡を行っており、また里親募集中のペットを紹介するサイト「Petfinder」のページでも多くの動物が紹介されています。
ペットを購入することで多額の医療費がかかることも
同法案によると、ペットショップでの販売を禁止する理由として、「ペットショップで販売されている子猫、子犬、ウサギの多くは大規模な商業繁殖施設で生まれており、こうした施設では利益を最大化するために動物の健康や福祉が考慮されない」ことを挙げています。
さらに往々にして、ペットショップは購入者に対しペットの出生元について誤解を招く情報を与え、健康や行動に関して虚偽の保証をしているとのこと。
このため多くの購入者は数百ドル、または数千ドルもの医療費を支払う羽目になり、せっかく新たに迎えたペットが病気で苦しんだり死亡したりして悲しむことになるそうです。
また、同法案には別の懸念として、ペットショップの子犬を媒介して「カンピロバクター」という抗生物質耐性バクテリアに感染するリスクがあるという米国疾患管理予防センターの情報も記載されています。
法案成立前でもすでにペット販売禁止の動きは活発化
本法案が制定された場合、ペットショップは譲渡を目的として展示している動物に対し所有権を持つことはできません。
動物を展示したり場所を貸与したりしているペットショップに対し、動物の譲渡費用や場所の賃料などが支払われることもありません。さらに、違反者には500ドルの罰金が課されます。
現在、大半のペットショップは大規模チェーン、個人経営を問わずすでに犬猫を販売しておらず、ペット関連製品の販売やサービスの提供により利益を得ていると言います。
中には地元の動物シェルターや保護団体と協働で譲渡会を主催している店舗もあるのです。
この法案の発議者である郡市議会議員のジョン・バース氏とザック・アダムソン氏によると、今回議会に提案した法案は一旦議題から外されるものの、2022年のいずれかの時点で再度提案することを予定しているそうです。
インディアナ州ではすでにダイアーやハイランド、コロンバスといった複数の自治体で同様の条例が可決されており、ペットショップでの犬猫の販売を禁止する動きが活発化しています。