猫風邪で数が激減した「楽園の猫」!ワクチン接種で命を守る

愛媛県にある「猫の楽園」とは

愛媛県大洲市にある青島は通称「猫の楽園」といわれるほど多くの猫が暮らしています。もともとは人口も少なく特別に観光地として知られる島ではありませんでしたが、数年前にメディアで取り上げられたことをきっかけに一躍有名になりました。

住民よりも圧倒的に多い数の地域猫が、自然豊かな環境で暮らしていることが猫好きの人を中心に注目を集め、「猫の島」「猫の楽園」として多くの訪問客が訪れる観光地へと変わっていきます。

突如増加した観光客への住民の戸惑いや、地域猫の繁殖による多頭飼育崩壊の危険性、島に動物病院がないこと、猫の世話やケアをする人手が不足していることなどの問題点を抱えながらも、島民やボランティアメンバーが協力して猫たちの暮らしを守ってきました。

猫風邪の流行

2020年の冬、青島では猫風邪が流行し猫の数が激減してしまいました。明確な数はわかっていませんが、おそらく30匹ほどの猫が命を落としたのではないかといわれています。

猫風邪にかかると咳やくしゃみ、鼻水が出るなどの人間が風邪にかかった時のような症状を発症します。

自然回復する場合もありますが、免疫力の低い子猫がかかった場合や症状が重い場合には、衰弱して亡くなってしまうこともある危険な病気です。

この年の青島では、投薬などの治療を行い猫風邪の蔓延は収束することができました。活動を知った人々からの寄付金も集まり、猫たちのケアにかかる費用がまかなわれたようです。

対策チームが島を訪問

ボランティア団体が岡山理科大学獣医学部に相談し、調査の結果ネコカリシウイルスに感染したことが原因で猫風邪になったということが判明します。

「ウイルス感染を予防しなくては、今年の冬にも猫風邪が流行してしまう危険性がある」と懸念したボランティア団体と岡山理科大学獣医学部は、対策チームを作り11月6日に青島を訪問しました。

感染予防にはワクチンの接種が重要です。対策チームは今回捕獲した71匹の猫のうち半数の36匹にワクチンを接種させました。

猫たちにはマイクロチップが埋め込まれています。今後は効果の有無を見極めつつ調査を続けられるように、モニタリングを行い猫の感染症について把握することで、青島に暮らす猫たちの健康をサポートしていく方針です。