病気猫にも温かい家庭を!|「猫エイズ」=殺処分を断ち切るカナダ保護施設の挑戦

健康に問題のあるの猫に一生の住まいを提供

カナダの都市リッチモンドを拠点とする保護団体「Richmond Animal Protection Society(RAPS)」の猫保護施設は、カナダで最大規模の施設で猫エイズ陽性など健康に何らかの問題を抱える猫に生涯の住まいを提供しています。

北米の多くの司法管轄区では、猫エイズ陽性の猫は一般的に殺処分されてしまうそうです。

しかしRAPSでは、猫エイズ陽性猫専用の施設を設けていることもあり、こうした猫を快く受け入れて愛情深く世話しています。

RAPSの猫保護施設では、健康に何らかの問題がある猫に一生の住まいを提供しているそうです。

同施設では重篤な不治の病気や障害を持っている場合や、容体が悪化の一途をたどっており耐えがたいほどの苦痛を感じている場合にのみ動物を楽にさせてあげます。

猫エイズ陽性でも健康に長生きすることが可能

同施設のアシスタントマネージャーであるヴァレリー・ウィルソンさんによると、「猫エイズ陽性だからといって、必ずしも死刑宣告を意味するわけではありません。長期的に見れば医学的な問題が起きる可能性はありますが、適切な栄養と獣医師のケアにより健康に長生きすることができます」とのこと。

猫エイズウイルスは特に猫の白血球などの免疫系細胞を殺したり阻害したりするため、時間とともに徐々に免疫系が弱まり二次感染が起きやすくなります。

このため、猫エイズ陽性の猫は通常の猫と比べて獣医師のケアをより多く必要とするかもしれません。

里親を必要としている「健康な猫」が山ほどいる中で、猫エイズ陽性の猫を受け入れてくれる家庭を見つけるのは非常に難しいのが現状なのです。

また、このように里親が見つかりにくい猫はいわゆる「殺処分を行わない」動物施設であっても、世話をする人員が不足しているといった理由から長生きさせてあげられないこともあります。

思い込みから里親が見つかりにくい一因に

多くの一般の人々は猫エイズ陽性の場合、一家庭に1頭しか猫を飼うことができないと思い込んでいます。

実際のところ、猫エイズは深い噛み傷を介してしか伝染しないため、仲の良い猫2頭を飼う分には何の問題もないそうです。

ヴァレリーさん曰く、「2頭の猫が同じ餌皿やトイレを使ったり、互いに毛づくろいをしたりしてもFIVが移ることはない」とのこと。

唯一守らなくてはならないのは常に室内で飼育することですが、これは外で喧嘩などをして他の動物にFIVを移さないために必要なことです。

RAPSの猫保護施設には11月半ばの時点で猫エイズ陽性の猫が3頭おり、すでに人にも十分に慣れていていつでも譲渡可能だそうです。

RAPSは、猫エイズ陽性の猫を迎えてくれる家庭が増えれば、その分殺処分の危機に瀕した他の猫エイズ陽性猫を救い出すことができるとして、猫エイズ陽性猫の受け入れを検討するよう一般に呼びかけています。