四六時中家にいる飼い主にストレスを感じる猫もいる
コロナの影響で在宅で仕事をすることが比較的容易になった昨今、フレキシブルな時間帯に働けることをありがたいと思う人も多いことでしょう。毎日会社に通うことなく自宅でいつでも飼い猫を撫でることができる環境は、飼い主にとっては嬉しいものです。
しかし専門家によると、猫はこのような環境で一人の時間を欲している可能性があるそうです。
イギリスの動物保護団体Batterseaの猫福祉マネージャーであるジョアンナ・プッツォさんは、「新型コロナのパンデミックが始まって以来、多くの猫が過度の攻撃性や尿道閉塞などの重度のストレス兆候を示すようになった」と言います。
また、こうした症状は一人の時間が多くを占める生活スタイルが変化したことが一因とも。
飼い主の思い込み
多くの飼い主は一緒にいる時間が増え、以前よりも構ってあげる時間が増えたことを飼い猫が喜んでくれると思っていたかもしれませんが、猫は必ずしもそうではありません。
イギリスの動物福祉団体BlueCrossの動物行動専門家であるクレア・スタラードさんによると、猫は一般的に環境に適応するのが上手く、ある程度のストレスにも対処することができるそうです。
しかし、ロックダウンにより学校が休校となり退屈した子供たちをはじめ、多くの人間が互いに距離を置くこともできずに一つの家に閉じこもっていた場合、猫がひとりの時間を満喫できるはずもありません。
パンデミック以降にBatterseaに設置された飼い主向けの相談窓口に寄せられた相談内容から、多くの猫が家の中で構われ過ぎてストレスを抱えていることが明らかになりました。
猫は1日に数回は人間とコミュニケーションを取りたがりますが、それはごく短時間のことです。とはいえ、猫の性格はそれぞれで、中には四六時中飼い主のそばにいたがる猫もいます。
注意しなければならないのは、日中ひとりで過ごすことに慣れている猫の場合、それなりの配慮が必要ということです、とスタラードさんは言います。
ストレスを抱えた猫の行動とは
猫は犬よりも感情表現が乏しく気持ちを読み取るのが難しいかもしれませんが、それでも敏感な動物であることに変わりはありません。
Batterseaのジョアンナ・プッツォさんによると、ストレスを感じている猫には、以下のような変化が見られることがあるそうです。
- いつもよりよく眠る
- 被毛にフケが多くみられる
- 誰にも邪魔されない屋外で過ごすことが多くなった
- 家の中でいつもよりよく隠れるようになった
- わずかな物音にも驚いて飛び跳ねるなど、驚いた時の反応が激しくなった
- ストレスを避けるため寝たふりをするようになった
- 食欲が極端に増したり、過度に毛づくろいをするようになった
- トイレの外で糞尿をするようになった
ただし、健康上の問題を原因とする変化の可能性もあるため、心配な場合は獣医師に相談するようにしましょう。
ストレスを感じていない猫の行動とは
猫の動物保護団体Cats Protectionの行動担当者であるダニエル・カミングスさんは、飼い主にとって不都合になる問題行動を飼い猫がしていないからといって、猫が幸せであると決めつけないよう注意を促しています。
猫が何時間も家の中で隠れている場合は、ストレスを回避するために人間を避けている可能性もあるのです。
猫が幸せかどうかを確かめるには以下のような行動がヒントになるそうです。
- 飼い主に構ってもらうために部屋に入ってくる
- 夢中になって遊ぶ
- 幸せそうなボディーランゲージを見せる
また、猫が好きな時にひとりで過ごすことができるよう、いつでも隠れられる段ボール箱や猫ハウスを用意したり、部屋の高い所にある棚に猫がくつろげる場所を用意したりするとよいでしょう、とカミングスさんはアドバイスしています。