あらゆる動物のために義肢を作り始めた男性
米国バージニア州スターリングに住むデリック・カンパーナさんが、障害のある人向けの矯正器具や義手・義足を作る仕事を始めたのは2002年のことでした。
数年後、彼は自分が作る器具は人間だけではなく猫や犬などのペット、家畜、野生動物も必要としていることに気づきます。
動物にとって大怪我による障害や先天性の障害は、以前は確実に死を意味していました。
しかしデリックさんは、こうした悲しい結末を変えるためにあらゆる体形、大きさ、動物種に合わせた矯正器具や移動補助器具を作り始めたのです。
この仕事を始めて以降、これまですでに2万5000頭もの動物が、彼の作った器具で自由に歩けるようになっています。
小さい動物ではモルモット、大きい動物では6トンもあるアフリカ象など実に様々な動物のために移動補助器具を作ってきました。
また、2005年には自身の会社「Bionic pets and Animal ortho Care」を立ち上げ、義肢を作るための鋳造キットなどを世界各地に発送しているそうです。
好きなことをして動物を救うことができる素晴らしい仕事
デリックさんは、移動補助器具の注文が来るたびに新たなチャレンジと向き合うことになります。
「とてもやりがいがあるため決して退屈することはなく、常に学ぶことがあります」とデリックさんは言います。
物づくりへの情熱を動物の支援につなげることができるのはとても素晴らしいことです、とのこと。
また、彼の作る補助器具はそれほど高価でないことに多くの人が驚きます。
たいていの人はこうした器具は数千ドルはすると考えますが、彼はは数百ドル程度で器具の制作を請け負っているのです。
さらに、現在デリックさんは「Bionic Barn」という非営利団体を立ち上げる準備をしています。
彼はこの団体でペットの移動補助器具にかかる費用を捻出できない飼い主を支援できればと考えています。
ペットのために義肢を作る姿を負うリアリティー番組「Wizard of Paws」
さらに、彼は自身の会社の規模を拡大するためのひとつの方法として、テレビ番組「Wizard of Paws」のセカンドシーズンへの出演も予定しています。
この番組は、デリックさんがアメリカ各地に出向き肢の不自由な猫や犬のために、現地で補助器具を作る姿を追ったリアリティー番組です。
こうして国内各地を回ることで、デリックさんは移動補助器具や矯正器具の認知度をさらに高めたいと考えています。
肢の不自由な動物に移動補助器具という選択肢があることを知らない獣医師も多いため、デリックさんは「どんな動物にとっても肢が不自由なことは、もはや死刑宣告ではないことを多くの人に知って欲しい」と願っています。
以前はこうした仕事をすることになるとは全く思っていなかったデリックさんですが、今ではこれ以外の仕事は想像できません。
動物たちが再び生き生きと歩けるようになる姿を見るのが彼の生きがいとなっています。