米国で高齢者の保護犬猫迎え入れ支援プログラム実施|ペットへの愛情がもたらす幸せな余生

高齢者による保護犬・猫の迎え入れを支援する米国内唯一のプログラム

年を取ると徐々に動物の世話をするのが難しくなり、さらに経済的な理由などでペットを飼うことを諦める方もいるかもしれません。

一方で、中には猫と戯れたり犬を散歩させたりすることによって健康が長続きし、うつ症状が軽減し、孤独感が和らぐ高齢者もいます。

非営利団体の「ペット・フォー・エルダリー」は、現在こうした高齢者を支援することを目的として、高齢者が保護犬や保護猫を迎え入れる際にかかる費用を一部支給するプログラムを米国内で実施しています。

保護動物迎え入れ費用は高額

アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)によると、保護動物を迎え入れた最初の年には最高1000ドル(約11万5000円)もの費用がかかるとのこと。

ペット・フォー・エルダリーは、米国の35の州にある57の動物シェルターと提携して、通常の獣医療ケアや手術、えさ、自宅訪問やグルーミングなどの費用を含む譲渡費用を、募金により集めた資金で一部負担しています。

このプログラムは確実に実績を伸ばしており、2002年以降10万人以上の高齢者が同プログラムを利用して保護猫や保護犬を迎え入れています。

アメリカ国内でこうしたプログラムを提供している団体は、ペット・フォー・エルダリーのみです。

ペットを迎え入れ充実した余生を過ごす高齢者

米国オハイオ州ユークリッドに住むロニーさんは、カウンセラーからペットを飼うことを勧められました。

あまり体を動かすことができないロニーさんの場合犬を飼うのは難しいため、できれば白かグレーの子猫を迎えたいと考えます。

ところが、ペット・フォー・エルダリーの提携シェルターのひとつ「Cleveland Animal Protective League」を訪れたロニーさんのとその家族は、一目ぼれした黒と白のショートヘア猫「クイーン・ビー」に引き取ることに。

同居中の息子さんは仕事のため不在のことが多く、それまでひとりで過ごすことが多かったロニーさんですが、今ではクイーン・ビーがいるためひとりぼっちになることはありません。

ロニーさんはクイーン・ビーを溺愛しており、彼の孫たちもロニーさんとその猫に会いに頻繁に訪ねてくるそうです。

今後もプログラム実施を拡大予定

一方、ノースコネチカット州シャーロットに住むダイアナさんはペット・フォー・エルダリーのプログラムを利用して大型の雑種犬ウォーリーを迎え入れました。

ペット・フォー・エルダリーでは、60歳以上の人がペットを迎え入れる際に初期費用を負担してくれるプログラムを提供しており、さらに6カ月分のフィラリアとノミの予防薬費用も提供されるとのこと。

ダイアナさんはウォーリーを迎えたおかげで、ひとりではあまりしなかった運動をするようになり、家族との会話も増えました。「ウォーリーのおかげで人生が一変した」と言います。

ペット・フォー・エルダリーは、今後さらにプログラムの実施地域を拡大し、2022年末までに国内50州それぞれに複数の提携シェルターを設けたいと考えています。

年齢のためにペットを飼うことを諦めている人にとって、ペット・フォー・エルダリーが提供するプログラムは大きな救いとなるかもしれません。