変形性関節症に苦しむ猫の生活の質を改善するために開発された新薬
2022年1月13日、猫の変形性関節症に伴う痛みを緩和するための初の治療薬「ソレンシア(Solensia)」が米国食品医薬品局(FDA)により承認されました。
ゾエティス社が開発したこの新薬は、モノクローナル抗体を利用した動物用医薬品としてFDAにより承認された最初の薬剤でもあります。
FDAが発表したプレスリリースによるとソレンシアの有効成分であるフルネベトマブは、
「痛みの制御に関与するタンパク質「神経細胞増殖因子」を認識して結合するモノクローナル抗体である。この神経細胞増殖因子に結合することにより痛みの神経シグナルが脳に達するのを妨げることができる」
とのこと。このソレンシアの使用により、変形性関節症を患う猫の生活の質の改善が期待されます。
治療の選択肢が非常に限られている猫の変形性関節症
変形性関節症は、関節のクッションとなる軟骨がすり減って薄くなる変性性疾患です。
軟骨がすり減って薄くなると、関節部分の骨がこすれて痛みが生じるとともに関節の動きが制限されます。
さらに骨棘(骨の突起)ができるなど関節周辺に様々な異常が現れることもあります。こうした症状は時間とともに悪化するそうです。
FDAの動物用医薬品センターのスティーブ・M・ソロモン所長によると、「変形性関節症の猫の治療選択肢は非常に限られている」ということだそうです。
また、「近代獣医学の発展により猫を含む多くの動物の寿命が延びている反面、長生きをすることで変形性関節症などの慢性疾患が生じることにもなります」と、ソロモン所長は指摘しています。
日本ではまだ未承認のため入手は難しいかもしれませんが、この新薬により少しでも多くの猫が楽になるとよいですね。