猫アレルギーで目に出る症状、原因や治療の方法まで

猫アレルギーで目に出る症状、原因や治療の方法まで

猫に接触したり、同じ空間にいるだけでも目が痒くなったり、目が腫れてしまったらそれは猫アレルギーかもしれません。猫アレルギーになると鼻水やクシャミ、湿疹など様々な症状が現れてきますが、目にもアレルギー症状が出ます。猫アレルギーで目に症状が出た場合、お家でもできる対処法やどんな治療を行うことになるのか、アレルギー症状を軽くするための予防策などをまとめてみました。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫アレルギーで起こる目の症状

アレルギーで目が痒そうな女性

猫アレルギーの人では、他のアレルゲンによるアレルギーと同様にアレルギー性結膜炎になることがあります。猫アレルギーの原因たんぱく質アレルゲンが目に付着することによりアレルギー反応を引き起こし、瞼の裏側などを覆っている結膜に炎症をおこすのです。

猫アレルギーによる結膜炎を含め、アレルギー性結膜炎を発症している日本人は約15〜20%もいるといわれています(ただし、アレルギー性結膜炎の原因の多くは花粉によるものだそうです)。

アレルギー性結膜炎に見られる目の症状

  • 目の痒み
  • 充血
  • 糸状の白い目ヤニやゼリー状、サラサラとした目ヤニ

アレルギー性結膜炎を発症した場合、特徴的な症状としては目の痒みや充血が出てきます。目そのものや、目の周りを痒がるようになります。

目を擦ったり掻いたりしてしまうと更に目の痒みが強まったり痛みを感じたりするようになり、目にゴロゴロと違和感が出たり、結膜が腫れてくる場合があります。

白目が赤く腫れたり、白っぽいまたは透明の目ヤニが出てきたりすることもアレルギー性結膜炎の特徴的な症状です。

また猫アレルギーでは、目の症状以外には鼻水やクシャミ、咳など、様々な呼吸器系の症状がみられることもあるようです。

猫アレルギーで目が腫れたときの対処法

アレルギーで目が腫れている女の子

アレルギー性結膜炎ではアレルギー反応そのものにより結膜の炎症を引き起こすと同時に、目の痒みによって目を掻いたり擦ったりすることで、炎症を引き起こしたり悪化させ、浮腫となってより目を腫れさせててしまうのです。

目の洗浄液を使用する

猫アレルギーにより目が腫れてしまった場合、すぐできる対処法として目を洗い流すことで目に付着しているアレルゲンを取り除きます。

ですが水道水には塩素が含まれており、目の細胞が傷ついてしまいますので、水道水では目を洗わないでください。目を洗う際は、専用の洗眼液や人口涙液の目薬を使用することです。

監修獣医師による補足

専用の洗眼液を使用しても目を洗うと目の表面にある目を保護する成分が洗い流されてしまうため、眼科医からは推奨されていません。目表面の洗浄には、人口涙液の点眼が良いそうです。

獣医師:木下明子

目を冷やす

また冷やしたタオルを瞼の上にあて、目を冷やすことで血管が引き締まるため炎症がおさえられ、目の充血や目の腫れが軽減することもあります。

猫アレルギーで目に症状が出たときの治療法

目薬をさす女性

猫アレルギーにより目の腫れや痒み、充血など目のアレルギー症状が出た場合、治療法として一般的に抗アレルギー薬の点眼薬を使用します。

抗アレルギー薬は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの放出をブロックしてくれます(ヒスタミン拮抗薬)

また、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの物質の放出を抑制する働きをもつ抗アレルギー薬の点眼薬もありますが(メディエーター遊離抑制点眼薬)、その効果が現れるまでは少し時間がかかるので、日常的に点眼することで目に対するアレルギー症状を抑えることができます。

重度の猫アレルギーの場合

しかし重度のアレルギー症状の場合は、炎症を抑える効果が強いステロイド剤の点眼薬も使用する場合がありますが、眼圧上昇など副作用を起こすことがありますので、点眼する際は必ず処方した医師の指示に従うことです。

また猫アレルギーの多くの人が鼻水やクシャミ、咳、皮膚の痒みなど、目の他にもアレルギー症状が出てくることがあるので、抗アレルギー薬の内服薬を服用する場合もあります。

猫アレルギーになる原因

猫を触ってアレルギー症状が出ている女性

私たちの体は、常に侵入した細菌やウイルスに対して抗体をつくり、体を守ろうと免疫機能が働いています。ですが、害がないものを異物として捉えてしまい、過剰な免疫反応をおこす場合があり、それをアレルギーといいます。

アレルギー症状を引き起こす原因物質のことをアレルゲンといい、花粉や食べ物、ハウスダストなど、様々なアレルギーが存在しています。猫アレルギーの人は、原因であるアレルゲンが体内に侵入したことで、過剰な免疫反応を起こしてしまうことで、様々なアレルギー症状が出てしまうのです。

猫の唾液やフケ

猫アレルギーの原因物質であるアレルゲンは、猫の唾液や涙などの分泌物や、フケなどに含まれているタンパク質で、今までに全部で8種類が分かっています(Fel d1~d8)。

そのタンパク質の大きさは、花粉やホコリよりも小さく軽いので、空気中に舞いやすく広範囲に広がりやすいです。そのため猫に直接触れていなくても、猫と同じ空間にいるだけで皮膚や目の痒みなど、アレルギー症状が出ることがあります。

猫の毛はアレルゲンではない?

元々猫の被毛自体はアレルゲンではないのですが、皮脂腺や皮膚表面には猫アレルギーを引き起こすアレルゲンがあり、また毛づくろいすることで同じくアレルゲンを含む唾液が被毛に付着するため、結局は猫の被毛も皮膚からの脱落物であるフケと同様にアレルギー症状を引き起こすアレルゲンを持つこととなります。

また猫のフケや垢被毛は部屋に落ちているとそこでダニを増殖しやすくさせなるため、床や家具の隙間、柔らかい家具の上(ソファやベッドなど)に猫のフケや毛があると、猫由来のアレルゲン以外にもダニやカビなど様々なアレルゲンが増えることとなり、によりアレルギー症状が悪化・重症化しやすくなるでしょう。

猫アレルギーを予防するには

猫にブラッシングしている人

こまめなブラッシング

猫アレルギーを予防するためには、換毛期だけではなく日常的にブラッシングをすることで、猫の抜け毛の量が減り、アレルギー症状を抑えることができるかもしれません。

しかし、定期的にブラッシングをしたとしても100%抜け毛を取り除くことは難しいため、こまめに念入りに掃除をすることが大事です。特に猫の被毛がつきやすいソファーやカーペットなどは注意が必要です。掃除とともに空気清浄機を使用することで、空気中にあるアレルゲンを除去してくれます。

猫と一緒に寝ない

また寝室も念入りに掃除を行ったり、ベッドのシーツや布団カバーなどをこまめに洗濯したり交換することも大事ですが、猫を寝室に入れないことでアレルギー症状を軽減させることができます。フケや毛がつきやすくて取りにくい寝具にアレルゲンが付着することを防げますし、なぜかというと、朝方にかけて寝ている時の副交感神経優位な状態から朝起きてからの交感神経優位な状態に変わる時に自律神経のバランスが乱れるので、朝はアレルギー症状が出やすい時間帯だからです。

猫を飼い続けているとアレルギーが治る?

クエスションマークと子猫

アレルギーを治す方法として、アレルゲンを触れ続けることで慣れさせる減感作療法があり、猫アレルギーの人でも、猫を飼っているうちにアレルギー症状が出なくなったという話を聞くことがあります。
ですが、実際のところは猫アレルギーは慣れることで治るという医学的根拠はないといわれています。猫を飼うことと猫アレルギー症状の緩和に関して、一貫した研究結果は出ていません。

アレルギー反応のレベルが低い人でも、その日の体調や状況によっては症状が強く出てくる恐れがあります。猫アレルギーを持つ人は猫との接触をもたないのが一番なのでしょうが、すでに猫を飼っていたり空間にアレルゲンがあったりして、アレルゲンへの暴露が避けられないこともあるでしょう。そのような場合には、目の痒みや充血、腫れなど目に対するアレルギー症状で点眼薬を使用することも大事ですが、鼻水やクシャミ、咳など他の症状を緩和させるためにも、日頃から抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬とも上手に付き合っていく必要があるかもしれません。

まとめ

ソファーでくつろぐ女性と猫

猫アレルギーになると鼻水やクシャミ、咳、湿疹など様々な症状が現れてきますが、目にもアレルギー症状が出てくることがあります。原因であるアレルゲンが目に付着することで、アレルギー反応を引き起こしてしまうからです。アレルギー反応により結膜に炎症をおこし、アレルギー性結膜炎になることがほとんどで、目の充血や痒み、目が腫れるなどの症状が出てきます。

そのため、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの物質の放出を抑えてくれたりその働きをブロックしてくれたりする抗アレルギー薬の点眼薬を使用します。ですが、場合によっては目の他に鼻水やクシャミなどのアレルギー症状が出たり、重度なアレルギー反応を起こす恐れがあります。

定期的なブラッシングや、念入りに掃除をするなど、日常的に猫アレルギーを予防する対策が必要です。

監修獣医師による補足

 何らかのアレルギーを持つ人がその原因となるアレルゲンを避けて生活できれば良いのですが、そのような生活は非現実的なこともあります。現在のところ確立された猫アレルギーの予防法はないので、猫と接触せざるを得ない場合には、アレルギー症状を薬でコントロールすることと、できるだけ症状が軽くなるように記事内でも説明されている対策を行うことしかできません。

しかし、猫アレルギーや犬アレルギーがあってもアレルギー症状に苦しめられることなく猫や犬を飼えるように、様々な研究が進められています。猫に薬を投与することで、猫が産生するアレルゲン量を減らし飼い主の猫アレルギー症状を軽くさせる研究も行われていますので、それに関する記事を以下にご紹介します。

獣医師:木下明子

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