筋肉質な猫とは
猫のからだは、細くてしなやかなイメージがありますが、よくみるとそれぞれ違っていることがわかります。
一見した見た目の大きさは毛の長さにも左右されがちですが、本来の体つきで基本となるのは「骨格」と「筋肉」です。締まった筋肉の上につく脂肪量が少ないほど「マッチョ」と呼ばれる筋肉質な体型になるのです。
筋肉質な猫は、さらに骨格自体が太くて強く、大きく発達した筋肉がついているのが特徴です。特にオス猫になると手足が大きく発達して、首が太く、肩や腰回りが厚くて、体重も重くなる傾向にあります。
未去勢のオス猫は代謝の違いにより、脂肪の燃焼が大きいため筋肉質になりますし、ごろごろ寝ている猫と比べると、活発に歩き回っている猫のほうが腕や肩の筋肉がよく発達して筋肉質になりやすいようです。
猫のボディタイプ別の特徴と代表的な猫種
猫のボディタイプは、体長、厚み、形などにより6種類のタイプに分類されます。
厳密なサイズによってどのタイプと定められているわけではありませんが、全体を通してタイプが分類され、猫の種類によってもそれぞれのタイプが分けられています。体型には個体差があるので、猫によっては複数に属することもありえます。
生物学には「恒温動物は同じ種でも、寒い地域に生息している方が大型で、体重も重くなる」という法則があります。
暑い地方に生息する種類はほっそりしているタイプが多く、寒い地方原産の猫ほど大型の長毛が多いと言われていますが、筋肉や骨格から見た猫たちの体型はどうでしょうか。それぞれタイプ別の特徴を見てみましょう。
コビー
コビー(cobby)とは、ずんぐりしたという意味で、文字通り「ずんぐりむっくり」体型。体全体は小さめで、筋肉量が多く見た目の割に体重も重くて、胴体や足が太くて短めです。頭部・足先・シッポに丸みがあって、耳と耳の間隔が少し離れているのが特徴です。コビータイプの猫種は、
- バーミーズ
- ペルシャ
- ヒマラヤン
- エキゾチックショートヘア
- マンクス
などがあります。
セミコビー
コンパクトな体つきはコビー同様ですが、コビーと比べると、胴体や足、シッポがやや長めで重心が高いタイプをセミコビーといいます。
頭部は大きく、顎がしっかりしていて、肩から腰にかけてはややガッチリした印象があります。足先は丸いもののコビーほど大きくはありません。セミコビーの猫種は、
- アメリカンショートヘア
- ブリティッシュショートヘア
- スコティッシュフォールド
- シンガプーラ
- ボンベイ
- マンチカン
など。
フォーリン
全体的にほっそりとして、手足とシッポが長く、スマートな体型がフォーリンです。顔は逆三角形で大きな耳を持ち、シッポが先にかけて細くなっているのでスラリとしているのが特徴です。
オリエンタルと比べると、胴体に厚みがあり、ほどよく筋肉がつく中肉中背タイプです。フォーリンに該当する猫種は、
- アビシニアン
- ソマリ
- ロシアンブルー
- ジャパニーズボブテイル
- ターキッシュアンゴラ
などがあります。
セミフォーリン
やや細身であるもののフォーリンよりもやや胴体が短く、手足やシッポが長く、全タイプの中で中間的な体型がセミフォーリンタイプです。
逆三角形の顔は丸みを帯びていて、鼻はまっすぐでマズル(鼻先からの口元)が短く、ほどよく筋肉がついた体型には安定した印象があります。セミフォーリンタイプの猫種は、
- アメリカンカール、
- オシキャット
- エジプシャンマウ
- ラパーマ
- スフィンクス
- デボンレックス
などがあります。
オリエンタル
猫のボディタイプの中では、いちばん細身のタイプがオリエンタルです。長く細い胴体と手足、スラリとした長いシッポ、大きな耳のついた逆三角の顔は遠目で見るとハート型に見えることも。
細くスレンダーにもかかわらず、筋肉は引き締まっているので胴体は意外にしっかりとした体型です。オリエンタルタイプの猫種には、
- シャム(サイアミーズ)
- バリニーズ
- コーニッシュレックス
- オリエンタルショートヘア
などがあります。
ロング&サブスタンシャル
いわゆる長毛の大型種に多く、骨が太く筋肉質でガッチリしていて、胴体や手足も長いタイプをロング&サブスタンシャルといいます。(ロング&サブスタンシャルとは、長くてがっしりと頑丈な~という意味です)
成長が遅く2〜4年かけて成猫になるため、骨格も筋肉も大きく、他の種類と比較しても体重も2〜3倍の差があるので、大きくワイルドな印象のボディタイプです。ロング&サブスタンシャル に該当する猫は、
- ノルウェージャンフォレストキャット
- ラグドール
- メインクーン
- サイベリアン
- ラガマフィン
- ターキッシュバン
など。
筋肉質な猫の特徴・性格
ボディタイプがコビーやロング&サブスタンシャルの猫は、オリエンタルやフォーリンと比べると筋肉量が多く、見事なマッチョ猫がそろっています。一方で、ロシアンブルーやアビシニアンなどは、細マッチョの類になるでしょう。
個体差はありますが、猫種によっても特徴や性格もそれぞれ異なります。筋肉質な猫ほど優しい傾向にあるようですが、どのような違いがあるかそれぞれ代表的な猫種の特徴を見てみましょう。
ロシアンブルー
フォーリンに属するロシアンブルーは、見た目こそ細身ではあるものの、実はなかなかの筋肉質。ロシアの北西部原産の自然発生種と言われていますが、現在のロシアンブルーは戦後の絶滅寸前の危機にブリーダーによって再現されました。
寒さから身を守るため重量感があるダブルコートのグレーの被毛に、エメラルドグリーンの瞳を持ち、足が長く、シッポは先の方にかけて細く長く伸びています。
鳴くことがあまりないおとなしい性格ですが、運動量は多く、ほっそりしたフォーリン体型のわりにはかなり筋肉質な猫といえるでしょう。
バーミーズ
コビーに属するミャンマー原産の猫。比較的新しい猫種で、もともとは寺院で暮らしていた1匹の猫がアメリカに連れていかれ、シャム猫と交配したことからはじまりました。
アメリカンバーミーズとヨーロピアンバーミーズとあり、頭の形が若干ちがいますが、どちらも密度の濃い短毛でシルキーな被毛を持ち、体格が良く筋肉質、性格は甘えん坊で人懐っこい性格です。
とても陽気でおしゃべりですが、声は小さいのでどんな家庭でも飼いやすい猫種といえます。ゴールドアイのみが血統種バーミーズとして認定されています。
ノルウェージャンフォレストキャット
ロング&サブスタンシャルタイプの代表格といえば、ノルウェージャンフォレストキャットですね。ノルウェーの極寒の気候に適応した大型長毛のとても古い自然発生種です。
骨太の体には筋肉が大きく発達しており、力も強く、運動能力が高いので、飼う場合には十分に運動できるスペースを設ける必要があります。
成猫になると、オスで6〜7kgまで大きくなる大型種です。フレンドリーで人懐っこく環境に慣れやすいタイプですが、日本の夏の暑さには弱い傾向があります。
メインクーン
室内で飼われる猫で最も大きくなると言われているメインクーンも、ロング&サブスタンシャルタイプに属しています。
胸幅がひろく、筋肉や骨格がしっかりしていてまさに筋肉質、成猫になると体長は1mくらいに成長します。ゴージャスな長毛を持ち、首回りとシッポのふさふさが特徴的ですが、防寒と耐水性を兼ねた被毛なので皮脂で汚れやすい傾向にあります。
性格はおとなしく温和、学習能力が高く、他の動物に対して協調性がありますので、飼いやすい猫種のひとつです。
まとめ
6種類のボディタイプは、外見的な特徴で分類されているので血統種ごとにタイプが分かれています。中でも、コビーやセミコビータイプの猫種は、ほぼ筋肉質な猫と定義してもよいでしょう。
体型の違いは、生育している地域の風土やブリーダーの計画繁殖により引き継がれていますが、実際には飼育される環境によっても多少の個体差もあるでしょう。
細くしなやかな猫も魅力的ですが、筋肉質な猫は抱っこしたときの重量感やおだやかな性格などから、はじめて猫を飼う人にも飼いやすいのではないでしょうか。ボディタイプを理解すると、猫の魅力もいっそう深く感じられそうですね。