猫の筋肉の構造
しなやかさとバランス感覚が優れた猫は、筋肉にその秘密があります。
柔らかい筋肉
猫の体を触ったり、抱き上げたりすると、とても柔らかいですよね。それは、被毛がふわふわしているからだけではなく、筋肉が柔らかいことも関係しています。猫の筋肉は他の動物の筋肉と比べてとても柔らかいです。また、皮膚が伸び縮みすること、肉食で腸が短く内臓の位置を体の動きに合わせて変えられることもあり、体全体が柔らかく感じられます。
ハンターの筋肉
柔らかい体を持つ猫ですが、筋肉はハンターとしての瞬発力を持っています。猫とおもちゃで遊んでいるとよくわかりますが、追いかけて獲物を疲れさせて捕まえるのではなく、じっと観察をして待ち伏せたり突進したりするスタイルです。なので、猫の筋肉は瞬発力に長けています。逆を言えば、持久力のある筋肉の割合が低いため疲れやすいということです。
後足の筋肉
猫は高い身体能力を持っていて、特にジャンプ力は特徴的です。後足の筋肉「臀筋」が発達していることで、高くジャンプすることができます。およそ1.5mの高さまでジャンプすることができるとされ、さらに身体能力が高い猫は2mの高さまでジャンプできるそうです。また、後足の筋肉によって、瞬発的に時速50kmという速さでダッシュすることができます。
顔の筋肉
猫を飼っている方は、猫の微妙な表情の違いに気付くかと思いますが、一般的に「猫は無表情」と言われています。その理由は顔にある筋肉が人間と異なるからです。猫の顔の筋肉は人間よりも数も量も少なく、そのため表情が作りにくいのです。
耳の筋肉
身体のしなやかさだけではなく、猫は耳がとても良い生き物です。後ろから聞こえる音も、耳を後方に向けて聞くことができます。耳の周囲にはたくさんの筋肉があり、耳を様々な角度に向けることができます。
猫の筋肉と骨格
背骨の骨格
猫のしなやかな動きは柔らかな筋肉と背骨が関係しています。人間と比べてみると、背骨を構成する骨の数は猫の方が多いです。また、背骨をつないでいる椎間板がしなやかであることから、背中が曲げやすく、バネの働きと衝撃を吸収する働きが優れています。
尻尾の筋肉と骨格
猫の尻尾の柔らかな動きは筋肉と骨によるものです。尻尾を支える骨「尾椎」は、尻尾の長さによって4~24個がつながっていて、12個の筋肉によって前後左右に柔らかく動かすことができます。脊髄とつながっているため引っ張るなどダメージが加わると内臓や後足、排泄などに障害が出てしまいます。
骨格と筋肉で分けられるタイプ
猫は骨格と筋肉で以下の6タイプに分けられます。四肢の長さや筋肉などに違いがあります。
- オリエンタル
- フォーリン
- コビー
- セミフォーリン
- セミコビー
- ロング&サブスタンシャル
オリエンタル、フォーリンはスレンダーで筋肉質、コビーはどっしりとした筋肉質、ロング&サブスタンシャルは筋肉質で大型の猫です。猫と言われて多くの方がイメージする体型はセミフォーリンタイプになります。
猫の筋肉が落ちる原因、筋肉をつける方法
猫の筋肉が落ちる原因
瞬発的な力を発揮できる猫の筋肉も、人間と同じで「老化」「ケガ、病気」「肥満」といった原因で落ちてしまいます。猫が10歳頃になると自然と筋肉が落ち、今までなんともなかった段差を超えられなくなったり、キャットタワーに登れなくなったりします。また、ケガや病気をすることで動きが少なること、肥満で体が重く動かなくなることが筋肉が落ちる原因です。
猫の筋肉をつける
猫の筋肉をつける、筋肉を維持するためにできることは、キャットタワーなどで上下運動をすることです。平面で運動するよりも、ジャンプする方が猫が好きだからです。しかし、猫を筋肉が落ちてしまった原因に合わせて運動させる必要があります。
老化の場合、猫が行きたい場所に行かれるように踏み台を設置したり、キャットタワーをシニア猫でも上れるタイプにするなど無理のない運動をすることがポイントです。ケガや病気による筋力低下は、まずケガや病気の治療が優先されます。リハビリが必要となる場合は獣医師の指導のもと行いましょう。
肥満の場合、フードの見直しなどダイエットが必要です。ダイエット方法などは獣医師と相談して行った方が安心です。飼い主さんとの遊びでも運動になります。
まとめ
柔らかくてしなやかな猫の体は特徴的な筋肉と骨格によるものです。猫と遊んでいるとよくわかりますが、瞬発力のある動きをします。反対に、いつまでも走り続けて遊ぶことはしません。猫の筋肉は「瞬発力はあるが持久力がない」のが特徴です。
身体能力が優れた猫でも筋肉が落ちてしまうことがあります。適度な運動や、飼い主さんとの遊びで猫の筋肉を維持してあげましょう。