猫の目の色のカラーバリエーション
猫の目におけるメラニン色素量の違い
猫の目の色は、メラニン色素の量によって決まります。メラニン色素が少ない目の色から順にまとめました。
- レッド
- サファイアブルー
- ブルー
- アクア
- グリーン
- ヘーゼル
- イエロー(アンバー)
- ゴールド
- カッパー
猫の目は、色のついている部分は虹彩で黒い部分は瞳孔になります。猫の目の色は虹彩のメラニン色素や光の屈折によって見え方が違います。この虹彩のメラニン色素が少ないと透明感のある薄い色になり、多いとより濃い色になっていきます。
このように、アルビノ以外でメラニン色素の量が一番少ないのがサファイアブルーで、メラニン色素の量が一番多いのがカッパーになります。
グリーン
グリーンの目の色をした猫種
- エジプシャンマウ
- コラット
- ロシアンブルー
グリーンの目は、メラニン色素がとても薄いです。少量の色素を持つ虹彩に光があたり、緑色の光がそこで散乱するために緑に見えます。「レイリー散乱」と呼ばれる、空が青く見えるのと同じ現象で虹彩の色が緑に見えているのです。(監修者注:緑色の色素がグリーンの虹彩にあるのではありません。レイリー散乱により緑色の光が虹彩で反射することでグリーンに見えると考えられています。)
また、寒い地域の猫は日差しが少ないので、目の色素が薄くなったのではないかと、いわれています。洋猫に多い目の色です。猫の目の色はメラニン色素が少ない順に、ブルー、グリーン、ヘーゼル、アンバー、カッパーと大きく分けられ、グリーンはブルーの次にメラニン色素が少ない部類になります。
グリーンの目の色を持つ猫は、日光量が少ない寒い地域が原産の猫に多いと言われています。
ヘーゼル
ヘーゼルとはグリーンからイエローまでのグラデーションです。そのグラデーションの中で様々な色調がありますまた、ヘーゼルはグリーンよりもメラニン色素が多くなります。日本猫と洋猫のハーフに多く出る目の色です。
アンバー
アンバーとは強い黄色の単色です。この黄色い目は、「琥珀色」とも言いわれています。アンバーは、ヘーゼルに間違われることもよくありますが、ヘーゼルは単色ではなく複数の色のグラデーションですので見分けられます。
アンバーはカッパーの次にメラニン色素が多くなっています。日本猫に多い目の色です。日本では日航の照射量が多いので、目の色が濃くなったと言われています。
アンバーの目の色をした猫種
- バーミーズ
- ボンベイ
アンバーは黄色系統の単一色から成り立った目の色です。色味によりイエローやゴールドと表現されることがあります。バーミーズの目の色は、ゴールドと表現されます。
カッパーの目の色は、メラニン色素を多量に含んでいて、青から緑までの波長の光を吸収するので、目の全体は、銅色と表現されていますが、ブラウンの色味になります。
カッパー
カッパーとは銅色という意味で、茶色や赤っぽく見えたりします。メラニン色素が一番多い目の色です。日本の猫はカッパーが多く見られます。日本は、温暖な気候で日光の照射量も多いので、目の色が濃くなったと言われています。
カッパーの目の色をした猫種
カッパー色の目を持つ猫は、日光を浴びやすい温暖な地域の猫に多いと言うことです。ボンベイの目のカッパーは、金銅色とも表現され、イエローが強い時にはアンバーと言われることもあります。
ブルー
ブルーは猫の目の中でも珍しい色と言われています。ブルーの目はグリーンと同じようにメラニン色素をほとんど持っておらず、「レイリー散乱」によって青い色の光が散乱するために青く見えます。(監修者注:グリーンと同様に、青い色素を持っているわけではありません)。
ブルーの目の色をした猫種
- ラグドール
- バーマン
- サイアミーズ(シャム)
- バリニーズ
- スノーシュー
- ヒマラヤン
ポインテッドの毛色を持つ猫はブルーの目の色をしています。
これは温度感受性のチロシナーゼという酵素が関係していて、耳の先や足先など体温が比較的低い末端部分では色素が正常に生成されますが、体温が高いところでは色素が生成されにくいので、毛色が薄い色になるということです。温度感受性のチロシナーゼは遺伝子の突然変異により作られたそうです。
毛色と同じく目の色素も薄くなり、目の色素は非常に少ないのですが、レイリー散乱のために私たち人間にはブルーに見えるということになります。
レッド
By DL Imes, LA Geary, RA Grahn, and LA Lyons - DL Imes, LA Geary, RA Grahn, and LA Lyons: ‘‘Albinism in the domestic cat (Felis catus) is associated with a tyrosinase (TYR) mutation.‘‘ Anim Genet. 2006 April; 37(2): 175–178. doi: 10.1111/j.1365-2052.2005.01409.x. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pubmed&pubmedid=16573534 as CC 2.5, CC 表示 2.5, Link
レッドは、ブルーよりも更に珍しい目の色です。遺伝子の変異により先天的にメラニン色素を作れない現象を「アルビノ」と言いますが、これが原因で目の色が赤くなるのだそうです。人間も含めた多くの動物種で見られるアルビノ(眼皮膚白皮症)の原因遺伝子はいくつかありますが、多くのものがチロシナーゼというメラニン生成に関わる酵素に関連しているものです。猫でも、そのチロシナーゼに関する遺伝子の突然変異がアルビノに関連している、という上記の論文が発表されています。
見た目は白猫と似ていますが、目の中の血管などが浮き上がり赤く見えてます。ウサギなどにも分かりやすいアルビノのが良い例がありますね。
子猫の目の色「キトンブルー」とは
生後まもない子猫は、猫種に関係なく全てブルーの目の色をしています。これを「キトンブルー」と言います。生後まもない子猫は体内のメラニン色素が少ないために、目の色がブルーになると言われています。
生後1か月頃からメラニン色素が虹彩に沈着しだし、生後2か月~3か月頃になると徐々に本来の目の色が出てきます。それから、6か月頃になると個体差もありますが、目の色の変化が落ち着くと言われています。
子猫が大きくなってどんな目の色になるかは遺伝子で決まります。子猫が「キトンブルー」から徐々に変化してどんな目の色になるか、また子猫の成長を見守れるのはとても楽しく素敵なことですね。
猫の目の色「オッドアイ」とは
オッドアイとは、人間や猫などの目に見られる、左右の虹彩の色が異なるという状態です。このオッドアイは、虹彩異色症と呼ばれています。オッドアイでは、片方の目の色がブルーのことがほとんどで、もう片方の目の色はグリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパーのいずれかとなります。
また、オッドアイの原因は先天性と後天性の二つあります。先天性のオッドアイの猫は、白猫または体の一部が白い猫に多くみられます。白猫や白が含まれる猫では白猫毛の色を白くする遺伝子によって、目の色も本来の色よりもメラニン色素の少ないブルーなどの薄い色になることがあります。それが片方の目だけで起こるとオッドアイにとなるようです。
後天性の原因は、事故や病気による目の手術で猫の目の色が変化してオッドアイになると言われています。先天性のオッドアイでは、ブルー色をした目の方にある耳が難聴になっていることが多くあるそうです。オッドアイの猫で聴覚に全く問題がない猫は約20~30%だそうです。ですから、オッドアイの猫は高い確率で何らかの聴覚障害をもっていることが多いです。
猫の目の色と被毛の関係
猫の目の色と猫の被毛の色には、強い関係があります。猫の目の色と同様に被毛の色も、メラニン色素の影響によるものだからです。例えば、メラニン色素が少ない白猫は被毛も白く、目もブルーの色をしていることが多いです。その反対に、黒猫の場合は、被毛が黒く目もヘーゼルやカッパーなどメラニン色素の多い色の目になっています。
猫の目の色と被毛の色は、メラニン色素によって決まります。
まとめ
猫の目の色は、いろいろなカラーバリエーションがあります。猫の目の色はメラニン色素の量で決まります。メラニン色素が少なければブルー、多くなるとカッパーなどになります。猫の目の色は、生後まもない子猫にみられるキトンブルーや左右の目の色が違うオッドアイなどもあります。猫の目の色はどのカラーも綺麗でとても魅力的ですね。
上記の通りオッドアイの猫で難聴が見られることがありますが、オッドアイだから難聴になるのではなく、毛の色が白いから難聴である可能性があるということです。毛の色を白くする遺伝子は虹彩や内耳にも働き、虹彩の色をブルーにしたり聴覚に異常を起こしたりすることがあるからです。
一般に、白い毛を持つ猫(全体が白、または白のスポットを持つ猫)で聴覚異常を持つ確率は、ブルーの目を持たない場合には10%前後、片方だけブルーの目を持つ場合(オッドアイ)には30%前後、両方ブルーの目を持つ場合には70%前後と考えらえています。
しかし、色を決めている遺伝子には多くの種類がありますので、同じように白い部分が多くても関係している遺伝子が異なれば聴覚異常の発生率も大きく異なります。また、白い毛を持たない猫で先天的に聴覚異常を持つ猫は、極めて稀だと考えられています。