猫は電気が無くても物が見える
夜に外出する時や、留守番するとき、電気をつけていこうかどうか迷ったことはありませんか?
猫が1匹でいる時、暗かったら物が見えないし、寂しいのではないか、と気にしているようなら心配ありません。猫は電気がついていなくて暗いところでも、問題なく動くことができます。これは、猫の視力がわずかな光でも対象物を見ることができるためです。
猫の視力そのものは悪く、人間の10分の1ほどで、0.1や0.2くらいだと言われています。視力が良くないため、対象物に近づかないと、はっきりとした輪郭がわかりません。
猫が相手のことを最も鮮明に見ることができる距離は、猫から75cmほどと言われています。これは猫が獲物を追いかけている時の対象の獲物との距離だとされます。それ以上離れたものは、ぼんやりとした輪郭で見えているということになります。
猫は暗いところで光を取り入れるための目の構造は発達しているのですが、そのために視力は低くなっていると言えるでしょう。
猫の視力については次のような特徴があります。
目が大きくたくさんの光を取り入れられる
猫の目は顔のサイズに対して、とても大きいですよね。猫は目が大きいため、瞳孔も大きいものを持っています。
猫の目を見ると、光の量によって、瞳孔(黒い部分)が大きくなったり小さくなったりしますね。これは、瞳孔周りの虹彩の中を走っている瞳孔括約筋と呼ばれる小さな筋肉が伸び縮みをすることで、光の量を調整しています。
括約筋が目の両脇を縦に走っているため、猫の瞳孔はすばやく開閉できると同時に、大きく開くことができるという特徴があります。
取り入れられる光の量が多いため、電気が消えた暗いところでも猫は物を見ることができるということです。
猫にはタペタム層がある
タペタム層とは網膜の裏にある細胞層のことです。このタペタム層は、わずかな光でも反射して、視神経に伝えることができます。
夜行性の肉食獣や猿の一種、馬や鹿などの草食動物、深海魚などの生き物に、このタペタム層を持つものが多くいます。
タペタム層の働きにより、猫は人間の6から7分の1ほどの光量しかないところでも、物を見分けることができます。電気が消えていても、わずかな光で、猫は動くことができるということになります。
猫の写真を撮ると目が光って写ることがありますが、猫のタペタム層にフラッシュの光が反射するためです。
猫に対してカメラのフラッシュをたくと、人間が太陽を直接見た時のように、目にたくさんの光が入ってしまうので、目を痛めます。猫を撮影する時には、カメラのフラッシュ機能はオフにするようにしてください。
白黒を認識する細胞である杆状体が多い
白と黒を判別する、網膜にある杆状体というものがあります。
猫と人間の視細胞の数を比較すると、杆状体が人間よりも猫は圧倒的に多く、わずかな明暗の違いでも見分けることができるため、夜に活動するのに適していると考えられます。
逆に、色彩を判別する錐状体というものは人間の方が多く、色覚能力は人間の方が優れています。
猫は薄暗くなってから活動する薄明薄暮性(又は夜行性)なため、白黒を判別することは大切ですが、色の判別はあまり重要ではないと言えるでしょう。
動体視力が優れている
猫は人間よりも動体視力が優れており、素早く動くものを認識することができます。
このため、人間にとって連続した光として感じている電気の光=蛍光灯も、猫にとってはチカチカと点滅している光として感じていることがあると考えられます。
蛍光灯電気の部屋に猫が来ない、暗くすると寝るという時には、蛍光灯電気の点滅を不快に思っているのかも知れません。白熱灯電気やLEDに変えることで、猫が感じている不快感を取り除くことができます。
猫がいるお部屋で必要な電気
留守にする時や夜など、猫のために照明は特に必要ありませんが、つけっぱなしにしておいても良い電気製品もあります。
基本的に2日以上家を空けるような場合には、猫に留守番させるべきではありません。
数時間の外出時の留守番や夜寝る時などに、つけておいても良い電気製品は次のようなものです。
エアコン
暑い時期には、猫のためにエアコンをつけることはとても大切なことです。
室内飼いの猫には日陰を作り、エアコンをつけて温度と湿度を調節することで熱中症にならないようにしてあげましょう。
夏の暑い時に買い物に出かけて留守番をさせるという時でも、熱中症対策としてエアコンをつけてあげましょう。
冬の寒い時期には、エアコンやヒーター、こたつなどの電化製品は使わない方が安全です。
猫には毛布や温かい猫用ベッドなどがあれば、冬の寒さはしのぐことができます。
給水機、給餌器
電気を使用した給水機や給餌器を使っている場合には、留守中でもつけておいて問題ありません。
給水機を使えば新鮮な水を飲ませることができますし、給餌器は、餌の時間に猫に餌を与えてくれますので便利です。
もちろん数日家を開けるような時には、猫を留守番させるべきではありませんので、上記の電気製品も使用しないことになります。
ペットシッターや家族に留守中来てもらう、ということであれば、つけたままでも良いでしょう。その際には、猫の世話についてや、使用している電気製品についてしっかりと打合せをしておいてくださいね。
留守番カメラ
留守中の部屋の様子が見られるようにカメラを設置する家庭も増えています。
ペット用のものが販売されている他、赤ちゃん用のものを代用する人もいるようです。留守の時こそ使用するものなので、つけっぱなしで問題ありません。
赤外線の機能があって暗くても撮影ができるものや、給餌器とセットになっているもの、飼い主さんがしゃべって声を聞かせられるものもあります。
猫にとって電気が不快なこともある
蛍光灯を使っている場合、猫にとっては光の点滅を感じたり、安定器からのブーンという振動音を感じたりして落ち着けない場合があります。
電気を消して暗くすることで猫も気にすることなくくつろいだり、眠ったりできるということです。電気など、ずっと明るい状態で暮らすことは、飼い主さんにとっても猫にとっても良いものとは言えません。
人間や猫の体内には、「メラトニン」というホルモンがあり、動物を睡眠の状態にさせる働きをしますが、このホルモンは暗くなると体内での濃度が増すということです。
陽が落ちても、深夜になっても部屋の電気をつけていると、メラトニンの生成が抑制されてしまうので、よい睡眠に入ることができにくくなります。
夜寝ている時に電気を消すことは、猫にとって問題がないだけでなく、良い睡眠を取るためにも適していると言えます。
電気を消して眠るという飼い主さんの生活に飼い猫の生活リズムを合わせることで、猫も飼い主さんも快適に過ごしていけることになるでしょう。
また、猫が電気を消すと鳴くという場合には、留守番させられて寂しくなるということがわかっているのだと考えられます。
電気をつけてほしいというわけではないので、猫が飼い主さんに依存しすぎないようにする、別の対策が必要と言えるでしょう。
まとめ
猫はわずかな光だけでも対象物が認識できる目を持っているので、夜起きている猫のためにという理由で電気をつける必要はありません。
むしろ夜は暗くして飼い主さんも寝るので、猫にも寝てもらうといった生活習慣を身につけて貰った方が、どちらもストレスなく生活できることになるでしょう。
昼は太陽の光をあび、夜には暗くして眠るという風に、猫がいてもちゃんと電気を消す生活をしましょう。