愛猫は大丈夫?猫の危険な『ニオイ』5選

愛猫は大丈夫?猫の危険な『ニオイ』5選

猫は体調不良にも我慢強いため、異変に気付くのが遅れてしまう危険があります。些細な事でも猫の体調不良のサインである場合があるため、日頃から異変がないかをチェックしておきましょう。特に「おしっこ」と「口臭」のニオイには異変が表れやすいので、日頃からニオイに異変がないかをチェックすることで病気の早期発見につながります。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.ツンとしたおしっこのニオイ

猫トイレの前で鼻を覆う人

細菌性膀胱炎の可能性

おしっこのニオイがツンとキツくなった場合、細菌性膀胱炎の可能性があります。膀胱炎とは膀胱に炎症が起こる病気で、猫の場合はメスよりもオスの方がかかりやすいと言われています。

「細菌性」と「特発性」

細菌が増殖したことによる「細菌性膀胱炎」と、原因がはっきり特定できない「特発性膀胱炎」に大きく分けられます。正常な猫のおしっこでも臭いが強いのですが、細菌性膀胱炎で尿の中にウレアーゼ産生菌が増殖すると、ツンとしたアンモニア臭がより強くなることがあります。

2.コクのあるおしっこのニオイ

トイレに入っている猫

おしっこが発酵したようなコクのあるニオイになった場合、「膿尿」という状態になっている可能性があります。膿尿とは尿に白血球が混ざって出てきている状態のことで、膀胱炎が悪化して大量の菌と戦った後の白血球が膿として尿に出ている可能性があります。膿尿になっている場合はおしっこが白濁して見えます。

3.甘酸っぱいおしっこのニオイ

フルーツと猫

糖尿病の可能性

おしっこが甘酸っぱいようなニオイになった場合、糖尿病の症状の可能性があります。中~重度の糖尿病になると、ケトンという物質が血液中に増えます。このケトンがおしっこにも混ざるようになると、おしっこが甘酸っぱい果実のような臭いになります。

除光液のようなニオイ

最も単純な構造のケトンに「アセトン」があります。アセトンはマニキュアの除光液にも含まれている物質です。アセトン含有の除光液を使用したことのある方ならご存知かもしれませんが、糖尿病になっている猫のおしっこは、アセトン含有の除光液のような独特のニオイになることがあります。また、おしっこだけではなく口臭からも、アセトン臭を感じることもあります。

4.おしっこのニオイがしなくなる

水飲みボウルと猫

慢性腎不全の可能性

「慢性腎不全」とは、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。この慢性腎不全は高齢猫の死因の上位に挙げられています。老化が原因のほか、下部尿路疾患やウイルス性の感染症にかかったことのある子はリスクが高まりますし、遺伝的に腎臓疾患にかかりやすい子もいます。

老廃物が排出されなくなる

腎臓は体内の老廃物をおしっことして出す役割があります。腎不全になり腎臓が機能しなくなると老廃物を排出できなくなり、おしっこからニオイがしなくなってしまいます。また、多飲多尿になっておしっこの量が増え濃度が薄くなることも、ニオイがしなくなる理由の1つです。

早期発見が難しい病気

慢性腎不全は早期発見が難しい病気です。症状の多飲多尿やおしっこのニオイがしなくなるといった症状が出た時には、すでに腎臓機能の60%が失われていると言われています。症状が出始めた時には食欲や元気があることがほとんどなので見過ごされがちですが、おしっこのニオイがしなくなったり多飲多尿で量が増えたと感じたらすぐに受診しましょう。

5.口臭

大きく開いた猫の口

歯周病の可能性

猫にとっても、歯周病は気を付けなければならないものです。歯周病は溜まった歯垢や歯石の中で細菌が増殖し、歯茎や粘膜に炎症が起こる病気です。歯周病が原因で口内炎が発生することもあります。

歯周病の症状

歯周病は細菌の増殖が原因となるため、口臭がキツくなるという症状があります。猫があくびをした時や猫が舐めた後の場所が異様な強いニオイになっている場合、歯周病が進行している可能性があります。

猫は自分で自分の身体を舐めるセルフグルーミングをしますので、猫の体が口臭と同じ臭いになってしまうこともあります。

そのほか

  • よだれが増える
  • 食欲がなくなる
  • 毛づくろいをしなくなる

などの症状があります。

猫の口内炎は口の中の広い範囲で炎症を起こすことも多いため、非常に強い痛みによりごはんを食べることや毛づくろいが苦痛になってしまいます。

まとめ

聴診器を当てられている猫

猫は野性味を強く残している動物なので、自分の弱みを外敵に察知されないように体調不良にも我慢強いところがあります。

そのため、ぐったりしてしまったり食欲がなくなったなどの、目に見える症状が出た時にはすでに重篤化しているおそれもあります。

猫の病気の早期発見のためには、どんな些細な異変であっても見過ごさずに受診してあげることが一番です。特におしっこのニオイの変化や口臭には異変が表れやすいため、飼い主さんは日頃からチェックしてあげてください。

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