プレミアムフードと猫の寿命
プレミアムフードとは、人間の食用に使われるような良質な原材料を使い、化学的な合成添加物(保存料、発色剤、酸化防止剤)をほとんど使わずに作られた良質なフードです。栄養バランスも良く、ペットの健康に配慮して作られています。
ペットの寿命は年々延びていますが、何故だかご存知でしょうか?ペットの健康寿命が延びた理由は、獣医学の発達。そして、ペットフードの進化が大きな理由と言われています。人間もそうですが、ペットも良質な食事を摂ることで健康に長生きできるようになるんです!
「ねこまんま(人間の残飯)で元気に生きられる猫もいる」という意見もあり、確かにそれでも元気な猫はいるかもしれませんが、全ての猫がそうではありません。猫は元々腎臓疾患(尿路疾患)になりやすい生き物なので、人間の食べもののような味が濃いものは猫にとっては良くありません。
猫用プレミアムフードと安いフードの差
プレミアムフードは、スーパーなどで売られている安価なフードと何が違うんでしょうか?
- 価格
- 原材料(加工の過程や品質管理も含む)
- 添加物
主に大きく違うのはこの3点です。以下でより詳しくご紹介していきます。
猫用プレミアムフードが高い理由
スーパーなどにも売っている安価なフードは「2kgで500~1000円」程ですが、プレミアムフードの場合「2kgで3000~6000円」くらいします。更にプレミアムフードの中でもより原材料や製法にこだわったフードなどはもっと高くなることも。500円のフードが5000円になったら、10倍ですからびっくりしますよね(笑)
でも、安価なフードには「安いなりの理由」があります。
>激安ペットフードの危険性
私たちがスーパーで買うお肉も、安くても100g当たり100円はしますよね。つまり2kg買えば2000円になるわけです。それが安価なペットフードの場合、加工や栄養の強化もしているのに「2kgあたり500~1000円」って安すぎると思いませんか?
「穀類」が多く入っている
安いペットフードの成分表を見ると、まず最初に来るのが「穀類」だったりします。猫は肉食動物なので、穀類を多く摂る必要はありません。
「肉副産物」「ミートミール」を使用している
「肉」の「副産物」…動物の可食肉以外の部分、肺、肝臓、腎臓、胃、腸や血液や骨、くちばし、羽などのこと。中には4Dミートを使っている業者もあったそうです。
4Dミートとは?
「Dead(死んだ)」
「Dying(死にかけている)」
「Diseased(病気の)」
「Disabled(障害のある)」
人間の食用に出来ない、つまりは廃棄物の肉の総称です。単語の頭文字を取って4Dミートと呼ばれます。
日本とEUでは病死の動物の肉を原材料にすることは禁止されているので、さすがに4Dミートは使われていませんが、安すぎるフードが良質なものではないのは確かです。
2007年、ペットフード大量リコール事件
ある中国の会社が製造した小麦グルテンを含むペットフードを食べたペットが相次いで病気にかかったり、死亡したことにより大量のペットフードがリコールされる事態になりました。
こういった事件からも原材料や原産国が不明瞭なよくフードを与えることが実は危険なこともあるのです。
「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)
こういった背景を踏まえ、日本でもペットフードの安全に関する法律が出来ました。
しかし、その内容は万全なものとは言えず、表記されていないだけで、たっぷり添加物が使われている可能性も考えられます。
フードの「酸化」と「添加物」
ペットフードは大袋で買ったほうがお買い得なことが多いですが、一度封を空け空気に触れるとどんどん酸化していってしまいます。酸化したフードは風味が落ちるだけでなく、栄養分も劣化してしまいます。その「酸化」を防ぐために添加されているのが「酸化防止剤(保存料)」です。
危険・問題とされている添加物(酸化防止剤)
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
石油用の酸化防止剤として使用されてきた添加物。冷凍食品など、一部の食品添加物に使われていますが発がん性の恐れがあるとされています。
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
ガソリン用の酸化防止剤として使用されてきた添加物で非常に強い抗酸化作用あります。こちらも一部の食品の食品添加物としての使用が認められていますが、発がん性の恐れがあるとされています。
エトキシキン
非常に強い抗酸化作用を持つ酸化防止剤で、日本では使用が認められていませんが、効果が強く安価なため、海外のペットフードの中にはエトキシキンが使われているものも存在します。
亜硝酸ナトリウム
発色剤、保存料として使われています。私たちが食べるウインナーやベーコン、ハムのパッケージを見ると必ずと言っていいほどこの成分が添加されていますが、発がん性の危険が指摘されています。
注意しなければいけないなと思ったのは、これはペットフードのみならず人間の食品に関しても言えることですが「合成保存料不使用」と書かれた商品にも「亜硝酸ナトリウム(発色剤)」が使われていたりすることです。
発色剤として使われる「亜硝酸ナトリウム」は保存料としての効果もあるので、早い話が合成保存料を使っているという見方もできます。
天然の添加物(酸化防止剤)
ミックストコフェロール
酸化防止剤、栄養強化剤。α、β、γ、δという4種類のトコフェロールが入ったビタミンEのこと。植物性油脂から得られる成分でこの他にも天然の保存料・酸化防止剤は、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンC(アスコルビン酸)、クエン酸、緑茶抽出物(カテキン)、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、ローズマリー抽出物などがあります。
こうして比べると天然のものが絶対いいように感じますが、「酸化防止剤」については色々な意見もあり、「天然の酸化防止剤が100%絶対に良いわけではない」とする意見も存在します。
天然の保存料より保存効果の強い合成保存料を少量のみ使うことで、しっかりとフードの酸化を防ぎ、栄養を失ってしまっていないフードをペットに与えることが出来るというメリットもあるからです。
猫用プレミアムフードのオススメや選び方
ペットブームの中で「大事なペットにもっと長生きしてほしい!」「ペットは大切な家族」という人が増えるにつれて、プレミアムフードの人気も上昇。今ではかなり沢山の種類のプレミアムフードが販売されています。
沢山ある中から選べるのは嬉しいけど、逆に「ありすぎて決められない」状態になってしまうことも。そこで、オススメや選び方についてもご紹介いたします!
「正規輸入品」を買うべし
まず第一に気をつけなければ行けないのは、正規代理店から仕入れた「正規輸入品」を買うこと。「並行輸入品」の場合、温度や湿度などの品質管理がきちんとされていないことが多いので、外国から日本に輸入されてくる頃には酸化(劣化)してしまっている場合も少なくありません。
酸化しているかどうか見分ける、嗅ぎ分けることは難しいので、最初から正規輸入品を購入しましょう。
フードのサンプルを試してみる
ペットショップにフードのサンプルが置いてあることや、ネットショップで購入する際、希望すればサンプルをくれるところもあります。
張り切って高いお金を出して2kgのプレミアムフードを買っても、愛猫がちっとも食べてくれなかったら………物凄くショックです(笑)
食いつきや興味を確かめることが出来るのでオススメです。
年齢で選ぶ
子猫の場合、急速に成長するので成猫の食事よりも「高タンパク、高カロリー」の食事がいいと言われています。シニア猫の場合、内臓の機能が年齢とともに衰えてきているので体に負担がかからないよう、消化吸収の良いものを選ぶと良いでしょう。
好みの食材で選ぶ
猫にもその子によって好き嫌いがあります。チキン、ポーク、ビーフ、ジビエ、魚…子猫のうちから色々食べさせて味を覚えさせてあげると色んなものを食べるようになると言われています。アレルギーがなければ、猫が好きな原材料から選んでフードをチョイスしても。
メーカー・ブランドで選ぶ
プレミアムフードには数多くのブランドがありますが、ブランドによってコンセプトやこだわりが異なります。「オーガニック食材のみを使用」「穀物不使用」「栄養学、ホリスティックケア、ホメオパシーに基づいた製品開発」など、たくさんのコンセプトの中から気になったもの、納得したものを選んでもいいと思います。
タンパク質の量で選ぶ
猫は本来肉食動物ですが、そんな猫本来の食性を考え、より高タンパクなフードを作っているメーカーもあります。(アカナ、ジウィピークなど)猫に必要なタンパク質の量は、AAFCO基準で「26%以上」となっていますが、アカナやジウィピークは「35%前後」と高め。
ただし、腎臓病などの持病のある猫ちゃんの場合、高タンパク過ぎると体に負担をかける場合もあるので注意が必要です。
アレルギーで選ぶ
食物アレルギーのある猫の場合、アレルギー物質を避けた食事が望ましいとされています。プレミアムフードは現在ではかなり種類が豊富で、特定の穀物、肉、魚を使用していないものもあります。よさそうなものをいくつか試してみて食いつきや体調を見てみるとその子に合ったフードが見つかると思います。
肥満猫はダイエットフードを
肥満体型の猫は見ている分には可愛いですが、猫自身の健康にとっては悪いことだらけです。心臓に負担もかかりますし、高齢になれば体重のせいで動けなくなってしまうこともあります。食いしん坊でおデブな猫にはダイエット用のカロリーが抑えられたフードでカロリーコントロールをしてみてもいいかもしれません。
持病・疾患・体質に合わせて
腎臓病を持っていたり、胃腸が弱かったり、尿路疾患になりやすい、心臓に持病がある、糖尿病、毛玉が溜まりやすい、太りやすい…などなど、その猫の持病・疾患・体質に合わせたフードも存在します。これらは「療法食」とも言われ、獣医師から指示を受けて食べるフードなので該当する場合は動物病院に病院から勧められる場合もあります。
筆者の猫は腎臓早期マーカーが通常より少し高いことを早期発見出来たので、療法食まではいかずとも「腎臓に配慮したプレミアムフード」を与えています。これは腎臓ケアのため、リン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどが制限されたフードになります。
このように他の種類の療法食も、症状別にミネラルやビタミンの配合、原材料が異なり、それぞれの体に配慮したものとなっています。
まとめ
『総合栄養食』と記載のあるキャットフードは「猫が必要とする栄養素を全て含み、そのフードと水をあげていれば健康を維持出来るよう、理想的なバランス」で作られています。
キャットフードを使わずに「完全手作り食」を猫に与えている方も中にはいらっしゃいますが、それには栄養学をしっかり基礎から勉強しなければいけません。せっかく手間暇をかけても猫に必要な栄養素がかけていたら栄養失調や、病気になってしまうことも。
プレミアムフードの中にも合成保存料を使っているものや、賛否両論ある原材料が使われているものもあります。
飼い主さんによって考えはさまざまだと思うので、自分の考えや猫の体に合ったプレミアムフード選びをすることが大切です。
また、療法食を検討する際には一度、必ず獣医さんに相談してください。
40代 女性 かずさ