猫は飼い主のことも猫だと思ってる?!そういわれる理由3つ

猫は飼い主のことも猫だと思ってる?!そういわれる理由3つ

イギリスの動物学者ジョン・ブラッドショー氏によると、猫は人間のことを自分たちとは違う存在だとみなしていないことが考えられるそうです。今回は、猫が人間と猫を区別していないと考えられる理由について解説いたします。

1.猫同士での行動を人間にもするから

カップを持つ人と猫

動物学者ジョン・ブラッドショーについて

ジョン・ブラッドショーはイギリスのブリストル大学の動物学者で、約30年もの長期にわたり飼いネコと飼いイヌの行動や心理、人間との関係性を研究しています。著書には「猫的感覚ー動物行動学が教えるネコの心理」があり、ニューヨークタイムズのベストセラーとなりました。

そのジョン氏によると、ネコとイヌにはヒトに対する認識に違いがあると言います。犬は人間のことを「自分とは違う存在」と認識していますが、猫はネコとヒトを区別していないというのです。

犬は人間に対して違う態度で接する

犬がイヌとヒトを区別して認識していると考えられているのは、犬同士と人間に対してではその接し方に違いが見られるためです。犬は犬同士で遊ぶ時と人間と一緒に遊ぶ時とでは、その遊び方が違いが見られます。

また、犬は人間とアイコンタクトを取ることを求めるのですが、犬同士でアイコンタクトを求めることはありません。イヌは霊長類以外で唯一、ヒトとアイコンタクトをしようとする動物なのです。このことにより、犬はイヌとヒトとを区別して、認識しているのではないかと考えられています。

猫は同じ態度で人間にも接する

一方、猫は人間に対しても猫同士と同じ態度で接します。

飼い主さんと接する際によく見せる行動には

  • しっぽを立てる
  • まとわりつく
  • スリスリする
  • フミフミする
  • 喉をゴロゴロ鳴らす

などがありますが、これらはすべて猫同士で行う友好的な行動です。猫は犬とは違い、人間に対してのみ、見せる行動はほとんどありません。唯一猫は人間に対してのみ、鳴き声でコミュニケーションを取るという意見もありますが、それ以外で猫がネコとヒトを区別しているかどうかを確認はできていない状態です。

2.猫は"家畜化"の程度が低いから

ネズミをくわえる猫

イヌとヒト、ネコとヒト

犬と猫は太古の昔から、人間と共生をしてきた動物です。犬も猫も「人間と一緒にいた方が良いことがある」と共生を始めたことは同じですが、犬と猫には人間との関係性に違いがあります。

犬はある程度、人間に飼いならされる環境の中で共生するようになったと言われていますが、猫の場合は、人間との利害関係の一致によって"自然にそばにいるようになった"のです。

イヌは「使役する存在」

現在、犬も猫もさまざまな品種が存在します。犬も猫も、人間によって交配を管理されたことにより、品種が生まれてきましたが、そこにも犬と猫には大きな違いがあります。犬は人間の仕事のパートナーとして、その仕事に合う体型、毛質、能力に特化した犬種が作られてきました。

ネコは「自然に共生を始めた存在」

一方猫は、人間の食料に集まるネズミを目当てに人間の近くにいるようになり、人間は農作物や備蓄の穀類を荒らすネズミを退治してくれる猫をありがたく思いました。この利害関係の一致によって、猫と人間は自然に共生するようになりました。

猫はそもそも、人間が使役する存在ではなかったのです。そのため、猫の場合は見た目の美しさを目的に品種改良されてきましたが、能力に関する交配はされてきませんでした。犬に比べて猫は"家畜化"の程度が低いと言えます。

このようなことから、猫がネコとヒトを区別していないのは家畜化の程度が低く、人間に使役される存在ではないということも理由の1つと考えられます。

3.飼い主と猫は"主従関係”ではないから

ごはん皿を持つ人と猫

猫は狩りを単独で行う習性

猫は単独で狩りを行う動物なので、犬に比べると「仲間と協力しよう」という概念は低いです。地域猫の猫社会にもゆるいコミュニティーのようなものが存在し、母猫が育児を協力したり友好的な相手と一緒にいることもありますが、四六時中生活を共にするという関係ではありません。

あくまでも猫は自分の身は自分で守り、狩りもひとりで行うという動物です。そのため、猫には「他者に従う」という概念はありません。

「ボス猫」は「リーダー」ではない

同じネコ科のライオンはメスを中心に群れを成しますが、イエネコは狩りも自分ひとりで行います。地域猫のコミュニティーの中には「ボス猫」という存在はありますが、ボス猫に従うというわけではありません。ボス猫になるのは未去勢のオスがほとんどで、体格が良くケンカが強い個体が多いです。ボス猫は「地域のリーダー」ではなく「ケンカが強いため地域で幅を利かせている存在」というイメージでしょう。

猫と人間は猫同士と同様に「友好関係」で結ばれる

人間と猫と仲良しになった場合でも、猫は人間に主従関係を持っているわけではなく「友好関係」で結ばれると考えられています。群れを成さない猫は自分の身は自分で守らなくてはいけないため、できるだけ危険から遠ざかろうとします。

そんな警戒心の強い猫だからこそ「猫だから」「人間だから」という種の違いによる区別ではなく「相手が自分にとって安全で、心を許せる存在かどうか」で判断しているということです。そして、ジョン氏によれば「飼い主のことを親だという認識もない」とのことです。

猫は人間を「役割り」で認識している?

飼い主さんのことを「親」とは思っていないとのことですが、飼い猫は飼い主さんやご家族のことを「ごはんをくれる人」「遊んでくれる人」「甘えられる人」などと認識している節もあり、その時の自分の要求を叶えてくれそうな人を選んで、アピールすることがあります。「親」というものよりも、猫はもっと具体的な役割で人間を区別しているのかもしれません。

まとめ

ベル

動物学者のジョン・ブラッドショー氏によると、猫は人間と猫を区別していない可能性が高いとのことです。ちまたでは「猫は人間のことを、大きくてどんくさい猫だと思っている」という意見をよく目にしますが、少なくとも猫は人間のことを「自分より劣っている」とは思っていないでしょう。

猫は警戒心や自立心が強い動物なので、自分よりも劣っている存在にすり寄ることはないと考えられているためです。しかし、人間に対して態度を変える犬とは違って、猫は人間に対しても猫に対してと同じ接し方をします。

「人間だから」「猫だから」という区別よりも「心を許せる存在かどうか」「自分に得がある存在かどうか」で、他者を認識しているのではないかと考えられています。

「他者に従う」という概念のない猫が積極的にそばにいてくれるなら、それは「お世辞ナシで友好的に思ってくれている」ということで…なんだか嬉しみも倍ですね!

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