猫エイズとは?
猫エイズとは、「猫免疫不全ウイルス(FIV)が原因で引き起こされる感染症」です。残念ながら、現在の医学では根本的な治療法は見つかっていないのが現状です。では、もしも大切な愛猫がFIVに感染してしまったら、そう遠くない未来で悲しい別れが待っているのでしょうか。
感染しても上手に病気と付き合う
実はそうではありません。この病気はウイルスに感染しただけでは死に直結することがないのです。FIVの発症を遅らせることにより、無症状の状態を維持することができればよいのです。たとえ、FIVキャリア(体内にウイルスを保持しながらも健康な状態)になったとしても天寿を全うできる猫もいます。
突然FIVキャリアを宣告された飼い主さんがショックを受けるのは当然です。でも悲観し過ぎずに上手に付き合っていきましょう。
猫エイズのメカニズム
猫エイズの原因となるFIVはとても弱いウイルスです。風邪やインフルエンザのように空気感染することはありません。
感染源は
主に血液や唾液を介して感染します。感染する原因の多くは、喧嘩による怪我や母子感染などです。特に自由に外出している猫は、感染した野良猫との喧嘩により感染する可能性があります。空気感染しないという点から、喧嘩に発展しやすいオス猫はメス猫に比べ感染率が高くなります。
母子感染や室外に出ることのリスク
また、感染した母猫から産まれた子猫も母子感染のリスクがあります。これは必ず感染するわけではありません。また、完全室内飼育が推奨される理由のひとつにFIV予防が挙げられます。キャリアの猫と接触する機会のある猫は、そうでない猫に比べ感染危険率が20倍も高くなります。
猫エイズの特徴
猫エイズには以下のような特徴があります。
- 空気感染しない
- 猫から人には感染しない
- 猫から他の動物には感染しない
- 潜伏期間が長い
空気感染しないということは、先ほど述べた通りです。感染の原因に血液を介してと紹介しましたが、これは猫から猫への感染です。人が感染するエイズウイルス(HIV)とFIVは仲間のウイルスですが、猫エイズが人にうつることはありません。よって、キャリアの猫に人が噛まれても自らがキャリアになることはないので安心してください。
また、猫エイズは他の動物にうつることもありません。たとえばキャリアの猫と犬が同居する場合、犬に感染することはないので一緒に暮らしていても問題ありません。
発症させない
そして、最も重要なポイントは潜伏期間の長さです。潜伏期間は数ヶ月から数年持続するとされる他、中には一生涯にわたり無症状の状態を維持できる場合もあります。万が一発症してしまうと免疫力が低下し、最終的には身体が些細なウイルスに負けてしまうことで死に到ります。
猫エイズの発症を遅らせるためにできること
大切な愛猫がFIVに感染してしまったとき、飼い主さんは無力な存在ではありません。発症を遅らせるためにできることがたくさんあります。具体的に日常生活で気をつけたいポイントは以下の通りです。
- ストレスを与えない
- 室内を清潔にする
- こまめにトイレ掃除をする
- 食器類は毎回洗う
- 適正体重を維持する
- 惜しみない愛情を持って接する
ストレスは万病の元。過度なストレスを受け続けるような生活は免疫力の低下につながります。いかに長く、自分自身の免疫でFIVを抑え込むかが要になります。愛猫が楽しく過ごせるように心がけましょう。そして、清潔な環境づくりを徹底することも感染症の予防という観点から重要なポイントになります。
愛猫が過ごす室内をはじめとし、トイレや食器類も清潔な状態を保つようにしましょう。また、簡単にウイルスに負けない身体の維持も大切です。適正体重を保てるように食事の管理にも気を配りましょう。
飼い主にとって大切なこと
最後に、恐らくこれは飼い主さんにしかできない大切なことをお伝えします。それは、飼い主さんが諦めないことです。飼い主さんが諦めてしまえば、助かるものも助かりません。惜しみない愛情を持って一緒に闘ってあげましょう。
まとめ
猫エイズは、ただの恐ろしい病気ではありません。飼い主さんの愛情と、発症を遅らせる日常生活を心がけることで、健康な猫と変わらない生活を楽しむことができる可能性は十分にあります。
また、万が一猫の多頭飼育をしている家庭でキャリアの猫が出てしまっても、慌てないでください。FIV自体はとても弱いウイルスです。感染した猫を隔離し、消毒を徹底することで感染拡大を防ぐことができます。
また100%とはいえないものの、FIVにはワクチンが存在します。かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。大切なことは、慌てず・焦らず・諦めないことです。もしも大切な愛猫が猫エイズになってしまったら、敵を知り、上手に向き合っていきましょう。