猫の骨粗鬆症とは
人間同様、猫の骨粗鬆症も骨密度が著しく低下した状態を指しています。
発症のリスクも人間のように加齢が関係している場合もあります。しかし加齢に伴うものばかりではなく病気が原因の場合もあります。具体的な原因や病気については次の項目で詳しくご紹介いたします。
骨粗鬆症を放置するとほかの病気も進行させていまうこともあるため、まずは猫も骨粗鬆症になることがあるということを覚えておいてください。
猫の骨粗鬆症の原因
猫の骨粗鬆症の原因には以下のような要因があります。
- 加齢によるもの
- 運動不足
- 栄養不足
- 病気によるもの
人間同様に加齢は骨粗鬆症を発症する原因のひとつです。具体的な年齢は7歳以上です。猫は7歳を超えると骨粗鬆症になる可能性が高まります。
運動不足と骨粗鬆症の関係については、猫が運動不足になると骨を形成するために必要な刺激が不足してしまうからです。子猫時代は活発に運動するため骨形成を促しますが、年齢的に落ち着いてくると次第に運動量も不足します。
加齢による要因と運動不足は全く無関係なものではなく、つながりがありそうです。栄養不足については、カルシウム・タンパク質・ビタミンDが不足すると骨粗鬆症になりやすくなります。
骨粗鬆症になりやすくなる病気については副甲状腺機能亢進症が要因のひとつとして挙げられます。
猫の骨粗鬆症の症状
猫が骨粗鬆症を発症すると次のような症状が現れます。
- 活発さの減退
- 動作が鈍くなる
- 関節を痛がるなど
先に述べたように、猫は年齢を重ねるにつれて元々子猫時代ほど活発ではなくなります。また人間においてもいえることですが、高齢になると自然と動作は鈍くなります。
関節を痛がっているか否かも言葉で訴えることができないため、なかなか気づきにくいものです。骨粗鬆症の症状は厄介なことにどれも些細なもので、加齢に伴うありきたりなものなのです。
よって、これらの症状をすぐに骨粗鬆症と結びつけることは困難でしょう。もしも、これらの症状が急に気になりだした場合は一度動物病院を受診することをおすすめします。
猫の副甲状腺機能亢進症について
骨粗鬆症の原因のひとつとして挙げた副甲状腺機能亢進症についても少し触れておきたいと思います。
副甲状腺機能亢進症とは、喉の付近にある副甲状腺と呼ばれる器官から分泌される副甲状腺ホルモンの作用が強くなってしまう状態を指します。
副甲状腺ホルモンは主に骨・腸・腎臓などに作用します。この病気を発症すると次のような症状が現れます。
- 水をたくさん飲む
- 尿の量が増える
- 骨密度の低下
明らかに頻繁に水を飲むようになったり、以前と比べ尿量が増えたと感じた場合は病院を受診しましょう。もしも、骨粗鬆症の原因が副甲状腺機能亢進症である場合は適切な治療をすることが改善につながります。
猫の骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の治療は、日常生活における環境の見直しが大切です。いくつかご紹介いたします。
他の病気の治療
骨粗鬆症の原因が他の病気にある場合は、先程もご紹介した通りそちらの治療を行い改善を試みましょう。
適度な運動
高齢になっても愛猫が興味を持ってくれそうな遊びを見つけてあげましょう。例えば、レーザーポインターは比較的高齢になっても興味を持ってくれれば安全に遊ぶことができます。
また新聞紙や広告などの紙を広げ、その中からじゃらし系のおもちゃを出し入れする動作も猫には興味深いようです。激しくジャンプする動作を含まないため、安全にかつ適度に刺激を与えることができます。骨が弱くなっていますので激しい運動は行わず、骨折に注意しましょう。
栄養の見直し
現在食べているフードの成分を確認してみましょう。もしもカルシウム・タンパク質・ビタミンDが不足している食事の場合は、これらの栄養素を補える食事に切り替えましょう。
ただし持病があり、療法食を食べている場合は自己判断で食事を切り替えないでください。ビタミンDに関してはまれに過剰症を引き起こしてしまうことがあるため、摂りすぎに注意しましょう。
まとめ
良質なフードや医療技術の進歩により、猫も高齢化の時代になりました。大切な愛猫を骨粗鬆症から守るためには、まず猫も骨粗鬆症になるということを知ることが第一歩です。
残念ながら加齢を止めることはできません。しかし、運動不足や栄養不足については見つめ直すことが可能です。もう歳だからと諦めず、適度に運動させるようにしましょう。
ただ寿命を延ばすだけではなく、愛猫が健康に楽しく過ごせる健康寿命を延ばしてあげられると嬉しいですね。
副甲状腺とは甲状腺のそばにあり副甲状腺ホルモンを分泌する器官です。
このホルモンは、血液中のカルシウム濃度を一定の範囲に保つことができるように調節しています。血液中のカルシウムが減少すると副甲状腺ホルモンの分泌量が増え、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に溶かし出されてカルシウムが正常な濃度に戻ります。
副甲状腺機能亢進症になると、血液中のカルシウム量が正常またはそれ以上あるにもかかわらず骨からカルシウムが血液中に溶かし出されてしまい、骨密度が低下します。その結果、骨粗しょう症が起こったり、結石などができやすくなります。