実は猫も痔になる!!
人間が痔に悩まされるのは、二足歩行で生活しているため肛門周辺がうっ血しやすいからといわれています。だから四足歩行で生活している猫が痔になるイメージはあまりないですよね。しかし実は猫も痔になるのです。この頃愛猫のおしり周りが気になるという方は一度痔を疑ってみてください。
猫の痔の種類
猫がなりやすい痔は主に次の2種類です。
切れ痔
肛門の皮膚が裂けてしまう状態を切れ痔といいます。切れ痔になると次のような症状が現れます。
- 便に血が混じる
- 肛門から出血が見られる
- おしりに血がついている
痔ろう
痔ろうとは肛門内に細菌が侵入し、肛門内で化膿してしまう状態です。更に肛門内と外がトンネル状につながり、皮膚の出口から膿が出るものを指します。猫が痔ろうになると次のような症状が現れます。
- おしりが汚れる
- 膿が出る
猫が痔になったときの症状
痔の種類に関係なく、猫が痔になると普段とは異なる行動をとります。もしも愛猫に次のような行動が見られたらおしりにトラブルを抱えているかもしれません。
- 排便時に鳴く
- やたらとおしりを気にする
- おしりを地面に擦り付ける(おしりの違和感から見せる行動)
- 便が出にくく、トイレに長居する
- 発熱
- 嘔吐
肛門の内側が切れてしまったり、内側のほうで炎症を起こしていると出血が見られない場合もあります。
猫が痔になる原因は?
猫が痔になってしまう原因は、便秘と下痢です。なぜ便秘や下を起こすと痔になってしまうのでしょうか。便秘と下痢に分けて説明します。
便秘から痔になる理由
まず猫の場合便秘になる原因ですが、水分不足や毛が固まってしまうことなどが挙げられます。猫は元々砂漠で生活していた動物なので水分を摂る習慣がそれほど身についていません。また、毛繕いの過程で飲み込んでしまった毛が固まってしまっても便がでにくくなってしまいます。すると硬くなった便を排泄する際に肛門付近の皮膚を傷つけてしまい切れ痔になってしまいます。
下痢から痔になる理由
下痢になる理由は様々です。ご飯をたくさん食べすぎてしまっても下痢は起こります。また下痢の裏には病気が潜んでいることもあります。下痢が続いても切れ痔の原因になります。そして下痢のせいで細菌が侵入してしまうと炎症が起こり痔ろうになることもあります。
猫の痔と似た病気がある!!
猫の肛門関係の病気には痔と似ている病気が存在します。それは肛門嚢炎(こうもんのうえん)です。猫の肛門には分泌液を作る肛門腺という器官があります。
肛門腺で作られた分泌液は肛門嚢に蓄えられ排出されます。しかし、何らかの理由で分泌液が排出されずに溜まってしまうと液内で細菌が繁殖し、炎症を起こしたり腫瘍ができたりします。この状態を肛門嚢炎といいます。腫瘍ができ、それがパンクすると肛門から膿や血が出ます。この症状が痔と似ているため、飼い主さんは勘違いしやすいのです。これらの症状が出た場合は病院へ連れていきましょう。
猫が痔になってしまったら?
人間の場合、「痔には〇〇」と有名な薬がありますよね。人間は痔になってしまったときに、病院へ行くことは抵抗を感じるものです。そこで市販の薬で様子を見る人が多いと思います。
猫の場合は人間用の薬を使用したり、様子を見たりせずに動物病院を受診するようにしましょう。また特に、下痢が続いている場合は病気が潜んでいることがあります。下痢の治療を適切に行いましょう。愛猫のおしりの健康を守るためにできること
痔は厄介ですが、飼い主さんの気遣いひとつで予防できる可能性があります。日頃から飼い主さんに気をつけてほしいことをご紹介いたします。
便秘予防
便秘を予防するために、まず積極的に水が飲める環境を整えましょう。安心して水が飲める場所の確保や、新鮮な水を用意するなど工夫しましょう。また、ドライフードだけでなくウエットフードも上手に活用することで水分を補うことができます。水分補給だけでは便秘が防げない体質の猫の場合は、獣医さんに相談したうえで適した療法食で便秘の改善を試してみてください。
下痢の予防
下痢はご飯が体質に合わなかったり、食べすぎで起こることがあります。まずは食事について見直してみてください。もし心当たりがない場合や、食事を見直しても改善しない場合は病院へ行きましょう。下痢が続くときは病気が原因となっている場合も考えられます。
トイレの環境を整える
猫はとても綺麗好きです。トイレの掃除を怠ってしまうと、トイレを我慢してしまうことがあるのです。そしてトイレを我慢した結果、便秘になってしまうことがあります。トイレを清潔に保つこと、安心して排泄できる場所であること、適切な大きさであること(トイレの大きさの理想は、猫の体の1.5倍)、好みの砂であることなど、トイレの環境を整えてあげましょう。
運動させよう!!
活発な性格の猫は、それほど気にしなくても運動不足にはならないと思います。しかし運動があまり得意ではない猫の場合は飼い主さんが積極的に関わり、運動するように仕向けてあげてください。運動によって腸の動きが良くなりますし、また水を飲む量も増えます。
まとめ
猫も人間で言う痔になることがあります。しかし、人間のように自分で対処したり症状を訴えることができません。順調に排便できているか、おしりに気になる汚れがないかなど気にかけるようにしましょう。痔は厄介ですが、飼い主さんの少しの気遣いと一手間で防ぐことができます。大切な愛猫のおしりを守りましょう。