猫が感染病になったときの症状や原因、治療の方法

猫が感染病になったときの症状や原因、治療の方法

皆さんは猫の感染病にはどのようなものがあるのかご存知でしょうか。猫の感染病は場合によっては、死亡してしまうこともあるので治療方法や症状についても知っておきたいですよね。そこで今回は「猫の感染病3選!症状、原因、治療の方法、予防」についてご紹介させていただきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

代表的な猫の感染病

猫と病院

代表的な猫の感染病はどのようなものがあるのでしょうか。猫の感染病は、最悪の場合死亡してしまうような恐ろしいものもあります。また、感染病は猫から猫にうつる病気でもあるので代表的な猫の感染病を知って早めの治療を受けさせたいですよね。

そこでここでは、代表的な猫の感染病についてご紹介させていただきます。

1.猫パルボウイルス感染症

猫と薬

猫パルボウイルス感染症とは猫の感染病の1つで「猫汎白血球減少症」とも言われています。感染病の中では子猫の場合致死率が高い感染症なので気をつけなくてはいけないものです。

この感染症の原因である「猫パルボウイルス」は、普通の消毒液なども効かず感染力がとても強いのが特徴です。もし衣類にこのウイルスが付着してしまうと、自宅の愛猫もこのウイルスに感染してしまうことがあります。防ぐためにはハイターなどの塩素系のもので殺菌をしなくてはいけません。

症状

「猫パルボウイルス」に感染すると1~2週間程度の潜伏期間を経て、

  • 嘔吐
  • 下痢

などの症状が出ます。
そして、さらに進行し深刻な症状になってくると

  • 血便が出る
  • 食欲不振になる
  • 白血球が減少する
  • ぐったりと元気がなくなる

などの症状が出て、最悪の場合死亡してしまいます。

原因

原因になるのは猫パルボウイルスです。このウイルスは「感染をしている猫」の唾液や糞、尿に触れたり舐めたりすることが原因で感染します。体外にウイルスが排泄されてもそのウイルスは1年以上生き続けることが可能なので、飼い主が衣類などにウイルスを付着してしまうようなことがないように、気をつけなくてはいけません。

治療

猫パルボウイルスはいかに早期に治療を受けるかが生死を分けます。嘔吐や下痢など早期の時点から治療をはじめれば助かる可能性がありますが、白血球が減少していたり血便があるときなど進行してしまった場合は治療を受けても多くの場合が死に至ります。
治療方法としては、根本的にウイルスをたたく治療法がないので基本的には対処療法になります。

などの投与になります。

2.猫カリシウイルス感染症

うずくまる猫

「猫カリシウイルス感染症」は猫風邪とも呼ばれる感染症の一つです。どの猫にも発症してしまう感染症ですが、免疫の低い猫でみられることが多いです。

症状

「猫カリシウイルス感染症」を発症するとウイルスが鼻や口、気道などを介して感染します。そして猫風邪と言われるように人間の風邪のような症状がでます。
具体的な症状として

  • 発熱
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • よだれ
  • 食欲不振
  • 関節の痛み

などがあげられます。
肺炎も引き起こしてしまうことがあるので注意が必要です。

原因

猫の感染病「猫ウイルス感染症」の原因についてです。
猫の感染病「猫ウイルス感染症」の原因は感染病に感染をしている猫の排泄物が口や鼻に付着することで感染をしてしまいます。また、この感染病ウイルスは体外に排泄されたあとも感染力があるので気をつけなくてはいけません。

治療

猫の免疫力を上げることと対処療法が基本になります。

抗生剤やや免疫をあげるインターフェロンの投与や輸液治療で、症状の改善ができますので早めの治療が必要になります。

3.猫感染性腹膜炎(FIP)

子猫と聴診器

猫の感染病「猫感染性腹膜炎(FIP)」は、子猫や老猫に発症しやすく致死率も高く根本的な治療法がないのでとても厄介な感染症です。猫感染性腹膜炎の原因であるコロナウイルス自体は感染力も弱く、感染している猫もたくさんいます。しかしこのコロナウイルスが突然変異することで重篤な症状を引き起こしてしまいます。

症状

この感染症のの原因であるコロナウイルス自体は感染力が弱いものなので通常は軽い下痢を引き起こすくらいです。
しかし、このウイルスが突然変異をし猫伝染性腹膜炎ウイルスになると様々な症状を引き起こします。

症状によって2つのタイプがあり、腹水などを引き起こす【ウエットタイプ】と肉芽腫性病変を引き起こす【ドライタイプ】があります。

ウエットタイプではお腹に水が溜まることで、お腹が膨らみ肺を圧迫するので呼吸も苦しそうになってしまいます。

ドライタイプでは腎臓や肝臓などに硬いしこりができて臓器の機能障害をもたらします。このタイプは眼にも症状を引き起こすことがあります。また、神経や脳にまで影響を及ぼすこともあります。

原因

「猫感染性腹膜炎(FIP)」の原因は、コロナウイルスです。
コロナウイルスは、病原性も弱く感染をしても命に関わるわけではありません。
が、なんらかの要因でまれにコロナウイルスは突然変異をしてしまい、この突然変異を引き起こしたウイルスが「猫感染性腹膜炎(FIP)」を引き起こしてしまうのです。
後発年齢としては3歳頃までの若い猫と10歳以上のシニア猫に発症をしやすいと言われています。

治療

「猫感染性腹膜炎(FIP)」が疑われるときには、血液検査や溜まっている腹水、腫瘤などを材料にしてコロナウイルスに感染をしているかを検査します。ただし、実際診断するのはとても難しいところがあります。症状や検査からFIPの可能性が高い場合は、免疫を上げる治療や炎症を抑える薬、発現している症状にあわせた治療、対処療法を行います。残念ながらこのウイルスを根本的に治療する方法は現在はなく、回復するのはなかなか難しいのが現状です。

猫が伝染病かと思ったら

動物病院へ連れていく

猫の感染症の多くは症状が慢性化したり、重症になります。また感染症によっては完治する治療法がなく、免疫力が落ち命に関わってきます。

特に体が小さい子猫や高齢猫は危険です。少しでも早めの治療が猫の命に大きく左右します。 そのため下痢や嘔吐、鼻水やクシャミ、元気喪失、食欲不振など感染症の疑いがある場合は早めに動物病院に連れていき、適切な治療を受けることです。

感染の拡大を防ぐ

感染症の原因のほとんどが感染猫との接触なので、これ以上感染を拡大させないように注意する必要があります。多頭飼い飼育している場合は、他の同居猫に移ってしまうケースが多いため、 感染猫と部屋を隔離したり、食器やトイレを別々にすることです。

ですが猫の感染症の中には猫パルボウイルス感染症のようにアルコール消毒が効かない感染症がありますので、必ず獣医師の指示に従っておこなってください。

猫の感染病を予防する方法

検査を受ける黒猫

猫の感染病を予防する方法はどのようなことがあるのでしょうか。猫の感染病は、病気によっては致死率が高かったり、治療方法が見つかっていないことがあるので、できる限り飼い主さんが予防をせざる終えませんよね。

そこでここでは、猫の感染病を予防する方法についてご紹介させていただきます。

ワクチンを接種する

猫の感染病を発症をしないように予防する方法があります。それは「ワクチンを接種する」ということです。

  • 猫パルボウイルス
  • 猫カリシウイルス感染症

などは、ワクチンを接種しておけば感染をすることがありません。ですので、きちんとワクチンは接種しておくようにしましょう。

室内飼いにする

ソファの上の猫

猫の感染病を予防するには「室内飼いにする」というのも有効な手段です。猫を室内飼いにしたからといって100%予防できるわけではありませんが、放し飼いにするよりは絶対になりにくいです。外で暮らしている野良猫たちはほとんどが感染症に感染しています。愛猫も放し飼いにしてしまうと野良猫との性行為や同じ餌を食べることで感染をしてしまうので必ず室内飼いにしましょう。

感染猫がいる場合

多頭飼いの場合などは特に感染症に気をつけなくてはいけないのですが、多頭飼いの中に1匹でも感染症になっている猫がいる場合には

  • 隔離する
  • 餌のお皿は分ける

などしなくてはいけません。
1匹の猫が感染症になっているとトイレや餌、皿から簡単に他の猫にもうつるので注意が必要です。

まとめ

ぐったり眠る猫

猫の感染症は

  • 猫パルボウイルス感染症
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫感染性腹膜炎(FIP)

などがあります。
猫の感染症は、重篤になると死に至ることもあるのでワクチン接種などで予防をするようにしましょう。

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