猫は便秘で吐く?原因や深刻な時の症状、対処法まで

猫は便秘で吐く?原因や深刻な時の症状、対処法まで

猫にも便秘症というものがあります。猫は便秘によって吐くことがあるのでしょうか。その原因や深刻な時の症状、対処法までをまとめました。猫は便秘で吐く原因や、便秘が深刻な時の症状、猫の便秘対策をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫は便秘で吐く?

具合が悪くて舌を出す猫

猫は、便秘が原因で吐くことがあります。

猫は水分摂取量が少ないため、他の動物と比べても便秘になりやすい傾向にあります。

人にとっても便秘は身近な症状ではありますが、猫の場合たかが便秘と安易に捉えていると、症状が重篤になり、命に関わる可能性さえあります。

また、吐くという行動に関しても、個体によっては日頃から頻繁に見られる場合もあります。

そのため、単純に吐く行動と体調不良との見極めが難しいこともありますが、排泄中の様子や便秘ではないか、ウンチの状態、嘔吐物の内容などをしっかりチェックして、少しでも異変があればかかりつけ医を受診しましょう。

猫が便秘で吐く原因

水の入ったボウルの前に座る猫

猫が便秘で吐く原因についてご紹介します。

消化不良

猫が便秘になってから吐く回数が増えたという場合、消化管の動きが悪く胃に内容物がおりていかなったり、便秘状態となり食べたものが溜まったりすることで、嘔吐を引き起こしている可能性があります。

吐く要因としての消化不良の原因はフードが合わない、抜け毛を飲み込むことで起こる毛球症など様々です。

腸閉塞

猫の腸閉塞(ちょうへいそく)とは、何らかの原因で消化管のどこかに閉塞部が発生することによって、後から体内へ入ってくる消化物、つまり食べ物などが、全てその部分でブロックされて溜まり、便秘状態となってしまい腹部が膨らんでいく状態のことを言います。

猫の腸閉塞の原因には、感染症や寄生虫などによる腸に捻れが生じる腸捻転、異物の誤飲による詰まり、腫瘍、炎症による臓器の肥大などがあります。

猫が腸閉塞を引き起こしている場合、吐く物から便のようなニオイがするのが特徴です。

力み過ぎ

猫の便秘が悪化してウンチが硬くなりすぎることで、排泄中の力み過ぎによって吐くこともあるようです。

人間でも、酷い便秘が続くと胃痛や吐くなどの症状が現れることがありますよね。

本来、体外に排泄すべきものが体内に留まり続ける便秘状態ということは、様々な弊害を引き起こす可能性があります。

そのため、体の小さい猫にとって、便秘が続くことは非常に危険です。

猫の場合も、体質的に便秘になりやすい個体も少なくありませんが、怖い病気が隠れている可能性もあるため、愛猫が便秘気味のときに吐くことを繰り返す場合は、早急にかかりつけ医を受診してください。

吐くほど猫の便秘が深刻になっている状態

猫トイレで砂をかく猫

吐くほどに猫の便秘が深刻な状態になっているとき、以下のような症状や行動が現れます。

何度もトイレに行く

猫の便秘の症状が深刻化しているとき、何度もトイレに行き、排泄のポーズだけをとることがあります。何度もトイレに入るのに、何も出ていないという便秘状態の場合は注意が必要です。

ウンチが固い

猫のウンチは、拾っても崩れず、工作用粘土のような固さで、適度に水分を含みツヤがある状態が理想とされています。

個体差はあるものの、ウンチの表面に全く猫砂が付着しない、割り箸などで簡単に割ることができない場合は、便秘ぎみの固いウンチであると言えるでしょう。

また、猫のウンチがウサギや鹿のウンチのようにコロコロしていたり、表面がひび割れていたりするという場合も、ウンチに含まれている水分が非常に少ない可能性が高く、便秘に注意が必要です。

トイレ以外の場所でする

猫の便秘が深刻になると、トイレ以外の場所でウンチをしてしまうことがあります。

ウンチが上手く出せず、お尻を引きずりながら排便することも。

基本的に、猫の粗相には何らかの原因が隠れていると考えましょう。

排泄中に唸る

猫の便秘が深刻になると、排泄時に「うー」と唸ったり、大きな声で鳴いたりすることがあります。

ウンチが硬すぎてお尻が痛い、腹痛、吐き気などの不快さを感じている可能性がありますので、しっかりと様子を観察しましょう。

食欲不振

猫が便秘になってから、食欲が極端に減少した場合は、消化管に内容物が溜まっていることで不快さを感じている可能性があります。

便秘以外の何らかの病気が原因となっている場合もありますので、1日以上何も口にしないという場合は、かかりつけ医を受診してください。

腹部を触られると嫌がる

猫の便秘が深刻化すると、下腹部がぽっこりと膨らんだり、触られるのを嫌がったりすることがあります。

その場合、腸閉塞を引き起こしている可能性も高いため、早急にかかりつけ医を受診してください。

猫が吐くほどに便秘が深刻化すると、様々な症状が現れます。中には、外科手術が必要になる場合もありますので、たかが便秘と侮らず早めにかかりつけ医を受診するよう心がけましょう。

猫が便秘で吐くときの対処法

聴診器を当てられているグレーの猫

猫が便秘で吐くときの対処法についてご紹介します。

病院にいく

猫が便秘で吐く場合、まずは早急に動物病院を受診してください。

まずは、便秘の原因に重篤な病気が隠れていないかどうかを知ることが重要です。猫が便秘で吐くときに動物病院を受診する場合は、ウンチや嘔吐物をラップなどに包んで持参するか、スマートフォンで撮影しておきましょう。

何日前から症状が出ているのか、ウンチや吐く回数、食事量などをメモしておくと、診断材料のひとつになる場合もあります。

水分を取らせる

猫が便秘気味なときは、水分摂取量に気を配ることが大切です。

とはいえ、水を飲みなさいと差し出して素直に飲んでくれる猫ちゃんは少ないですよね。そんなときは、水分量の多いウェットフードや、スープタイプのおやつを利用するのがおすすめです。

また、自動給水器を利用することで、飲水量が増える猫ちゃんも多いため、便秘対策として、カルキ臭が抑えられるフィルタータイプや、流れる水が猫の興味を誘うファウンテンタイプの給水器を取り入れるのもいいですね。

油分をとらせる

猫の便秘解消にオリーブオイル、グレープシードオイルなどを1日1回、小さじ半~一杯程度与えるという方法があります。

便秘解消となる油を好んで舐める猫ちゃんは多いため、比較的簡単に摂取させることができますね。

ただ、便秘を解消しようと与えすぎると肥満に繋がったり、油を盗み食いするようになったりすることもあるため、注意が必要です。

サプリメント

猫の便秘が体質的なものである場合は、猫用のサプリメントを利用するのもいいでしょう。

猫専用の便秘解消、腸内環境の改善のためのサプリメントは非常に種類が豊富なので、愛猫の体に合うものを選んであげましょう。

また、「人にはヒトの乳酸菌」でお馴染みのビオフェルミンも、猫の便秘解消のために用いられることがあります。

それぞれ「薬」ではないので、効果には個体差がありますが、愛猫の慢性的な便秘に悩んでいる飼い主さんは試してみてくださいね。

ビオフェルミンを猫に飲ませる時の注意点や飲ませ方

フード選び

愛猫の便秘の原因が「フードが合っていない」という場合もあります。

猫は完全肉食動物であるため、穀類の消化を苦手とします。安価なキャットフードには穀類が多く含まれていることもあるため、便秘になりやすい体質の猫の場合は、穀類不使用(グレインフリー)のキャットフードを選ぶのもひとつです。

また、フードをローテーションで食べさせているという場合は、毛球ケアや乳酸菌がプラスされているフードを加えてみるのもいいかもしれませんね。

マッサージ

猫の便秘が軽度になってきたら、便秘解消マッサージを行うのもいいですね。

猫にも、人間同様便秘解消「ツボ」なるものがあり、マッサージをすることで胃の働きや便通を促進することができるようです。

便秘解消ツボの位置が分からないという場合も、仰向けにしたお腹に「の」の字を描くようにゆっくり撫でるだけでもOK。マッサージは、猫がリラックスして落ち着いているタイミングで、手を温めてから行いましょう。

ただ、猫がお腹を触ると痛がったり、嫌がったりするときはマッサージは控えましょう。

猫が便秘で吐くときの対処法についてご紹介しました。

軽度な便秘であれば、生活習慣を見直すことで改善できる場合もあります。しかし、便秘で吐くほど深刻な場合は、必ず動物病院を受診してください。

また、猫の便秘解消法として浣腸などの治療法を用いる場合もありますが、必ず獣医師に相談の上、指示に従って行いましょう。

素人判断で便秘を解消しようと、綿棒などを使って猫に浣腸をすると、肛門や粘膜を傷つけてしまう可能性もあり、非常に危険です。

まとめ

自動給水器で水を飲む子猫

猫は便秘で吐くのかという事をご紹介しました。

たかが便秘、されど便秘で、侮っていると非常に危険な状態へ陥ってしまう可能性もあります。

実際に、筆者の愛猫もかなりの便秘体質で、少しでもフードが合わなかったり、水分摂取量が減ったりすると、ウンチはカチカチになってしまいます。

今のところ吐くほどに深刻化したことはありませんが、便秘を放置しておけばいずれ重篤な症状が現れることは安易に想像ができます。

水分摂取量やフードの質、適度な運動などに配慮して、愛猫の便秘が深刻化しないよう心がけたいですね。

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