猫の心筋症の症状や原因、その治療法とは

猫の心筋症の症状や原因、その治療法とは

猫の心臓病のうち、よく起こりやすいのが「心筋症」です。突然愛猫に異変が起こることもあり、飼い主としては心配な病気です。ですが、ここで症状を知っておけば万が一愛猫が心筋症になったとしても早めの対処をする事が出来ます。この記事では心筋症の症状を始め、原因や治療法などをお伝えします。大切な愛猫を守るためにも是非チェックして下さいね!!

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の心筋症とは

猫と獣医

猫の心筋症の種類

  • 肥大型心筋症
  • 拡張型心筋症
  • 拘束型心筋症

猫の心臓の筋肉を「心筋」と言います。その心筋に何らかの異常が発生したのが「心筋症」です。

発生する理由は良く分かっていないのが現実ですが、その原因により肥大型・拡張型・拘束型の3つに分けられます。

心臓は右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋に分かれていますが、そのうちの左の下側にある「左心室」で心筋症は多く症状が出る事が分かっています。

猫の肥大型心筋症

猫と獣医

猫の肥大型心筋症は1番起こりやすい心筋症です。名前の通り、心筋が肥大し、分厚くなる病気です。

猫の肥大型心筋症は、心筋が厚くなる事で心臓の内側が狭くなるので、心臓が送り出す血液の量が減ってしまうのです。そうなると全身に充分な血液が行き渡らなくなり、苦しくなります。

また、血栓が出来やすくなるのも特徴です。出来た血栓が動脈に詰まると「動脈血栓塞栓症」が起こり、非常に危険な状態になります。特に猫は後ろ足の血管が詰まりやすいです。ある研究では、肥大型心筋症の発症年齢の平均が7.2歳で、オス猫に多い傾向があったそうです。

猫の肥大型心筋症の症状

食欲不振
  • 初期:無症状
  • 食欲や活動量の低下
  • 心拍数や呼吸数の増加、失神など

猫が肥大型心筋症になった時の症状は、初期には無症状の事が多いですが、食欲や活動量の低下などが見られる事があります。猫の肥大型心筋症の症状がかなり進行してくると、心拍数や呼吸数の増加、失神が起こることも。

猫の肥大型心筋症から血栓が詰まる事もある

また、猫の肥大型心筋症から血栓が詰まる「動脈血栓塞栓症」になると、猫は後ろ足が詰まる事が多いですが、突然立てなくなり激痛が走ります。いつもと様子が違うので気がつきやすいでしょう。血栓を溶かすには、詰まってからの時間が短いほど効果がありますので、すぐに動物病院に向かいましょう。

猫が肥大型心筋症になる原因

  • 遺伝子の異常
  • 肥満
  • 肥大性心筋症が血縁の中にいる

遺伝子の異常

遺伝子の異常が原因の一つと言われており、筋肉の収縮に関与するタンパク質と結合している遺伝子が変異すると心筋の肥大が起こります。メインクーンとラグドールは変異遺伝子を持っているか検査で確認する事が出来ます。

肥満

肥満も心臓病に関係していると言われており、メインクーンに限っては肥満の場合、肥大型心筋症になりやすい、という報告があります。特に骨格の大きなメインクーンはリスクが高いという結果があるそうで、該当するメインクーンを飼っている場合には、気をつけたいですね。

肥大性心筋症の猫が血縁関係の中にいる

ブリティッシュショートヘア、ノルウェイジャンフォレスとキャット、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャや雑種猫などは家族に肥大性心筋症の猫がいると発症リスクが高まるという報告があります。

猫の肥大型心筋症の治療

肥大型心筋症は超音波検査による診断が最も有用性が高く、心臓が広がった時の心筋の厚さが6mm以上あると肥大性心筋症と診断されます。主に投薬で治療をします。この治療には歴史が浅く、どの薬をどの時期に投薬するのが良いかの明確な指針はありませんので、獣医により薬の選択が異なります。

降圧薬、利尿薬(肺にたまった水を排出する)、抗不整脈薬など様々なタイプの薬が使用され、種類が多くなりがちです。もし薬が多過ぎる事で猫が飲んでくれない場合は獣医に伝え、優先順位の高いものを処方して貰いましょう。

血栓予防の為、アスピリンが使われたり、血栓を溶かすのに使う薬もあります。

猫が肥大型心筋症にならないための予防

猫が日常的に感じるストレスを排除して、心臓に負担をかけない事が大切です。症状が出ない場合は、健康診断や何かの検査をしている時に見つかる事が多いそうです。ですから、定期的な健康診断を受けさせるのも、この病気の早期発見に繋がります。

猫の拡張型心筋症

倒れる猫

拡張型心筋症は心筋が細く伸びてしまう事で心臓の左側にある左心房と左心室の壁が薄くなり収縮力が低下するので、体に充分な血液が送り出せなくなる病気です。遺伝的にシャム猫やアビシニアンに多く、また6歳以上の猫に起こりやすいようですが、全体的に猫が発症する事は少ないようです。

猫が拡張型心筋症になった時の症状

  • 低体温症
  • 脱水症状
  • 呼吸困難

症状としては、低体温症や脱水症状が挙げられます。胸に水が溜まる胸水が起こることで呼吸困難になったり、突然倒れる事もあります。

猫が拡張型心筋症になる原因

必須アミノ酸であるタウリンの不足が原因の一つと言われています。

1987年にタウリンとこの病気の因果関係が発見された事でキャットフードにタウリンが配合されるようになり、発症率が劇的に低下した、という話もあります。ですが、タウリンが充分に足りている状態でも発症する場合もあり、突発性のものや原因不明のケースも見られます。

猫が拡張型心筋症になった時の治療方法

低体温症になっている時は体を温めて、脱水症状には輸液を行ない体液を補給します。胸水には注射針を使用してたまった水を吸い出し、心臓に対しては投薬を行ないます。血管拡張薬や利尿薬、強心薬などを投与し、心臓の機能回復と血栓予防を。

心不全を併発する事もあり、その場合には入院をしなくてはいけない事もあるでしょう。

猫が拡張型心筋症にならない為の予防

日常的にタウリン不足にならないよう、タウリンを含む食事を与える事がまず大切でしょう。ですが遺伝性の場合などは予防法がない、と言えます。両親猫にこの病気の履歴がないか確認出来る場合は確認しておくと良いでしょう。

猫の拘束型心筋症

寝ている猫

拘束型心筋症は心臓内部にある繊維が厚くなり、心臓の壁が硬くなる事で拡大と収縮がうまくいかなくなる病気です。「中間型心筋症」と呼ばれる事も。10歳以上のシニア猫に起こりやすい病気です。

猫の拘束型心筋症の症状

初期にはほとんど症状がない場合がほとんどですが、元気がない、食欲不振、息が苦しそうなどいつもと違う様子があったら早めに受診しましょう。

猫の拘束型心筋症の原因

原因は良く分かっていないのですが心筋炎(心筋炎は外傷・トキソプラズマなどの虫や細菌などの感染・心臓に害のある薬剤・免疫力の低下などが原因で起こる心筋の炎症)が何かしらの関わりがあると推測されています。他の心筋症である肥大型と拡張型を併発する事も多いです。

猫の拘束型心筋症の治療

肺に水が溜まる肺水腫を併発していたら、水を排出する為に利尿薬を与えます。その後、血管拡張薬や血栓予防薬を投与します。安静に保つ頃で症状の悪化を防ぎます。飼い主には辛い話ですが、この病気を起こした後は3ヶ月〜1年位の生存期間の事が多く、2年もてば良い方と言われています。

猫が拘束型心筋症にならない為の予防

原因がはっきりと分かっていないので予防も難しいのですが、心筋炎が何かしらの関わりがあるのでは、と推測されていますので心筋炎を起こさないよう、ケガや免疫力の低下を防ぐように注意しましょう。

猫の心筋症を自宅でチェック

猫の歯茎

心筋症により愛猫の血圧が低下していないかを確認する「キャピラリテスト」というテストがあります。日本語で言うと「毛細血管再充満時間テスト」で、猫の歯茎を白くなるまで指で押し、離してから赤みが再び戻るまでの時間をチェックするだけの非常に簡単なテストです。血圧が正常な場合は2秒未満で赤みが戻りますが、血圧が低下していると赤みが戻るのに2秒以上かかります。必ずしも正確な検査、とは言えませんが、心筋症の疑いがある時は自宅でも出来る簡単なチェック方法として便利です。

心筋症の猫のケアについて

猫と野菜

猫を運動することなどはさせず、安静にします。暑すぎたり、寒すぎたりしないように猫の体温調節に気をつけます。部屋を移動する時などの温度差に気をつけてあげましょう。それから、猫にストレスをあたえないようにしましょう。ブラッシングをすると血液循環がよくなります。

猫のフードは、塩分の摂り過ぎに気をつけましょう。動物病院で、相談して、心臓に負担のかからない食事を与えるようにしましょう。定期的に動物病院に連れて行きましょう。

猫の心筋症に関するまとめ

猫と女性

猫の心筋症はどの猫でも発症する可能性のある病気です。日頃から愛猫の健康を保つよう気を遣うのはもちろん、定期的な健康診断を受けさせる、ストレスを感じさせないようにするなど、心筋症にならないように飼い主が出来る事は沢山あります。愛猫となるべく多くの時間、一緒に過ごせるよう、気をつけていきたいですね。

投稿者

女性 ゆき

今まで猫を飼育してきて1度も心筋症を患った子はいませんので、心筋症についてはそこまで知りませんでしたが、「心筋症」といっても種類があることに驚きました。

調べてみると、肥大型心筋症はアメリカンショートヘアやペルシャなどの短毛種の雄猫がなりやすいそうで、拡張型心筋症はシャム、そしてアビシニアンなどが患うことが多いそうです。

「うちの猫は純血種じゃないから大丈夫」と思っていましたが、どうやら10歳を過ぎた老猫は、拘束型心筋症にかかりやすいと言われているため、我が家の日本猫たちにも注意が必要そうです。

生き物を飼うということは必ずお別れがありますが、病気にかかり苦しんで亡くなる姿はみたくありませんよね。そうならないためにも、普段から健康を気遣って管理をしっかりしてあげようと思いました。
投稿者

女性 百日紅

知人の猫が心筋症でした。突然、後足に力が入らなくなり動物病院に連れて行ったそうです。しばらく入院して治療をして退院をしましたが、後足は力が入らないので引きずって歩くようになってしまいました。それから数か月後に再発し天国へ旅立ったと連絡がありました。自分でも調べてみましたが、足がとても痛くなるというのを知り、辛いなと感じました。予防することができないのは怖いですが、この病気があることを知っておくことは大切ですよね。猫の種類によってはかかりやすいということで、早く対応できるように細かな症状も知っておきたいですね。
知人は24時間診察している病院に猫を連れて行くことができました。かかりつけの病院以外にも、夜間や緊急時に対応している病院を探しておくことも必要だと、知人の猫を通じて実感しました。
投稿者

女性 UMI

猫ちゃんの心筋症、知れば知るほどやはり怖いですね。心筋症に限らず病気に強いと言われている猫ちゃんでも常に健康面を気にかけて少しでも異変があったらすぐに対応できるようしてあげたいですよね。

本文にあげられていた「アメリカンショートヘアー」「ペルシャ」「メインクーン」の他にも、「ラグドール」「ブリティッシュショートヘア」「スコティッシュフォールド」「ヒマラヤン」「ノルウェージャンフォレストキャット」も心臓病に注意が必要な猫とあげられます。またオス猫に多く発症が見られているそうです。飼い主様は十分に気を付けたいですね。心筋症は根治は難しいそうですが、血栓を溜めないようにする薬やサプリメントもあるそうなのでいざというときは獣医さんに相談してうまく付き合っていきたいですね。
投稿者

20代 女性 サン

猫の心筋症は心臓の筋肉の心筋に異常があって機能が低下する状態になります。
心筋症は何種類もありますが全部発症理由がわかりません。とても怖い病気だと思いました。
心臓を構成している部屋のうち、左心室で多く発症しています。

猫が心筋症になると、進行したらいつもよりぐったりして元気がなくなります。運動もできなくなるみたいです。元気がなくなるのは寂しいです。
呼吸困難などの息が苦しくなったり乾いたせきが出て、運動した朝晩に空咳をするようになると咳は嘔吐するような感じです。たんぱく質を含んだ体液がおなかにたまったり後ろ足の肉球が白くなったりします。少しずつ食欲や元気がなくなるので怖いと思いました。

心身症の原因は不明です。考えられるのはウイルス感染や自己免疫疾患、遺伝の可能性があります。治療法は、心臓の働きを助ける薬や症状を軽減させるための薬を投与する対症療法が主な治療法になります。
投稿者

20代 女性 ルル

21歳のルルは今年の夏位から階段上らなくなり寝ている時間も多くなり前足を突然.引きずり
歩く不自然さに病院へ巻爪かと爪切りして帰宅..
一向に歩くのが改善しないので腎臓の疑いあり点滴と薬を貰い様子みたけど
元気がなくなって歩くのもつらそうで点滴の後.レントゲン検査.血液検査をお願いして
心臓肥大している..
肺が白くなっている..?血液検査の連絡待ちです..
食欲でる注射して帰宅しましたが
水は良く飲みオシッコも沢山してますが...心配で..元気になりますように☆
投稿者

40代 女性 猫ニボシ

うちも、猫ちゃんも、10月の中頃から元気ない、エサもあまり食べ無い、よく吐いて、おかしいなぁ〜と思い 病院行って調べたら 心臓病でした。それも、かなり重い心臓病 重症です、と言われて、薬を
投稿者

40代 女性 かえで

 猫ちゃんの心筋といば、うちで飼っている猫ちゃんが心筋症になりました。
昨年、寒い冬に急に食欲がなくなりあまり動かなくなりまして、獣医さんに診ていただきました。
いろんな検査を受けましたが、はっきりとはなかなか出なくてさらに、詳しく検査を受けさせました。
すると、心筋症になっていることがわかりました!
点滴に通いつめ、服薬治療も受けましていただいた薬を飲ませました。
1か月後には、いつもの元気な猫ちゃんに戻りましたが、心配しました。
食事にも気を付けまして、ビタミン豊富な野菜も食べさせました。
バランスよく食べさせることも大切だとわかりました。 
投稿者

40代 女性 匿名

今のうちの猫が現在心筋症と慢性膵炎。膵炎の方は落ち着いてきたけど心肥大が無症状だけどあって最近血栓の薬を始めました。薬飲ませるのもかなりストレスかけてしまうのでストレスで参ってしまうのではとか日々葛藤してます。薬のませれないならもう様子をみることしかできないと獣医さんにも言われてもしまって。今年15歳だからもう猫としては高齢の方だし本当にどの選択が本人のためなんだろうと悩みます。ただ血栓症起こしたときの苦しみ方の話を聞くと凄絶過ぎて本当に怖い。
投稿者

50代以上 女性 匿名

仕事から帰って出迎えがなく、おふろの出待ちもなく、サークルでじっとしていたのが最初の異変でした。次の日病院で検査しましたが、その二日後入院になり、その時の検査で、心筋症と肺水腫が見つかり、入院から4日目に急変。
あっという間でした。保護した時には、白血病のウイルスを持っていたのもあり、進行がとてもはやく、先生方もとても頑張ってくれたのですが、天国に行きました。毎月二回、口腔内の炎症ための注射をしていたのと、ステロイドを使用していたので、健康診断の相談をしようかと考えていた矢先の事でしたので、本当に悔やまれてなりません。
我が家に来て、3年9カ月間、口の痛みと戦いながら、それでも頑張ってご飯を食べ、毎日楽しそうに過ごしていました。
今は、毎日の口の痛みと飲み薬、月2回の注射からも解放され、穏やかに過ごしてくれているとおもいます。
そして、また我が家に帰って来ると信じています。

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