猫の流涙症の症状と原因、治療法について

猫の流涙症の症状と原因、治療法について

猫の流涙症の症状と原因、治療法についてまとめました。猫の流涙症をご存知でしょうか。意外と身近な病気ですが、その名前や症状を知らない方も多いようです。普段から、眼科系トラブルが多い猫の場合は、特に注意が必要です。猫の流涙症の症状や原因、治療法について改めて確認してみましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の流涙症とは

涙が出ている猫

猫の流涙症(りゅうるいしょう)とは、その名前の通り常に涙が溢れて止まらなくなる状態のことを言い、目の下に涙が溜まり汚れてしまうことから「涙やけ」と呼ばれることもあります。猫の流涙症の主な症状は、涙が止まらない、目ヤニが増える、目の周りが汚れるなどですが、症状が悪化すると鼻の周りに湿疹が現れ、猫が執拗に気にする様子が見られる場合もあります。猫の目がいつも潤んでいる、常に目の周りが涙で汚れている場合は、なるべく早くにかかりつけ医を受診しましょう。

猫の流涙症の原因

見上げる猫

猫の流涙症の原因は、主に以下の4つです。

猫の流涙症の原因①異物

埃や抜け毛などの異物が目に混入した際に、涙が過剰に分泌されることで流涙症を引き起こすことがあります 。埃や抜け毛、ハウスダストなど対してアレルギー反応を起こしやすい体質の猫の場合は特に注意が必要です。

猫の流涙症の原因②眼科系疾患

猫の流涙症は、結膜炎や角膜炎などの眼科系疾患が原因となって涙が過剰に分泌される場合もあります。眼科系疾患を引き起こしやすい体質の猫の場合は、注意が必要です。

猫の流涙症の原因③鼻炎

鼻炎や副鼻腔炎などが原因となって、涙が上手く排泄されず、目頭に溜まることで流涙症を引き起こす場合があります。この場合は、結膜の充血が見られないことが多いとされています。

猫の流涙症の原因④腫瘍

猫にも、人間と同じように涙を分泌する涙腺(るいせん)や、涙が集まる涙嚢(るいのう)、涙嚢から鼻腔への涙の通り道である鼻涙管(びるいかん)などの器官があります。これらの器官で炎症が起きた場合や、鼻腔、上顎などに腫瘍が生じることなどで流涙症を引き起こす場合があります。

猫の流涙症の原因⑤先天性

先天性の排出経路障害(無孔涙点、鼻涙管閉塞など)が猫の流涙症の原因になる場合もあります。また、ペルシャなどの短頭種の場合、鼻ぺちゃな骨格そのものが、鼻涙管を押しつぶしてしまうため、鼻炎などのトラブルを引き起こすことが多く、流涙症を引き起こすリスクが高くなります。

猫の流涙症の治療法

目薬をさす猫

猫の流涙症の治療法については、主に以下の4つです。

猫の流涙症の治療法①異物の除去

猫の流涙症の原因が異物によるものと考えられる場合は、まず異物を除去することから治療を開始します。目薬などで異物を洗い流し、目の周りの毛が目に入る、当たっている場合カットするなどして異物の混入を防ぎます。特に長毛種の場合は、猫自身の抜け毛が原因になることもあるため、こまめなブラッシングと室内の清掃を心がけましょう。

猫の流涙症の治療法②点眼治療

猫の流涙症では、炎症が起こり、黄色っぽいネバネバとした目ヤニや、ニオイの強い目ヤニ、涙が出る場合は抗生物質を含む点眼薬が用いられる場合もあります。猫に目薬をさす場合は、猫の後ろ側から抱え込むように押さえ、顔を上に向けて猫の視界の後ろ側から素早く目薬をさします。分かりやすく説明されている動画がありましたので、参考にしてください。

目薬のさしかた - 猫編 -

猫の流涙症の治療法③基礎疾患の治療

鼻炎や結膜炎など、何らかの基礎疾患が流涙症の原因となっている場合は、基礎疾患の治療が優先して行われます。

猫の流涙症の治療法④外科的手術

猫の流涙症で先天性の排出経路障害が原因となっている場合は、外科手術によって涙の通り道を開通させる場合があります。また、カニューレを用いて涙道の洗浄を行う場合もありますが、こちらも全身麻酔を必要とする治療法です。

まとめ

猫の横顔

猫の流涙症の症状と原因、治療法についてご紹介しました。猫の品種や体質によっては、再発も多いこの流涙症ですが、日頃からしっかりとケアを行うことで予防することも可能な病気です。流涙症は、すぐに命に関わるような病気ではありませんが、放置すると炎症が広がり、二次感染を引き起こすなど重篤化する可能性も十分にあります。日頃からこまめに濡れたガーゼなどで目の周りを清潔に保ち、異変を感じた場合は早急にかかりつけ医を受診することを心がけたいですね!

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