猫の脳腫瘍とは 症状と治療の方法

猫の脳腫瘍とは 症状と治療の方法

猫の脳腫瘍は決して珍しい病気ではありません。初期の段階では症状がわかりにくいので、見過ごさないためには脳腫瘍について理解しておくことが大切です。早期治療で猫の苦痛を少しでも和らげてあげたいですね。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の脳腫瘍とは

女性に頭を触られる猫

脳腫瘍とは頭蓋骨の内側にできる腫瘍です。脳の細胞自体に発生する「原発性脳腫瘍」と、身体の他の部位の腫瘍が転移してできる「転移(続発)性脳腫瘍」に分けられます。腫瘍には良性と悪性のものがありますが、たとえ良性であっても大きくなると脳を圧迫して猫の行動に様々な影響を与えることがあります。

原発性脳腫瘍

主な「原発性脳腫瘍」の種類

  • 髄膜腫(ずいまくしゅ)…猫の脳腫瘍の中で最も多い
  • 神経膠腫(しんけいこうしゅ)=グリオーマ
  • 脈絡叢乳頭腫(みゃくらくそうにゅうとうしゅ)
  • 上衣腫(じょういしゅ)
  • 下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)

転移性脳腫瘍

主な「転移性脳腫瘍」の発生パターン

  • 頭蓋骨腫瘍や鼻腔内腫瘍など隣接組織から発生
  • 肺がんや血管肉腫など遠くの部位から転移

猫が脳腫瘍にかかったときの主な症状

餌を見る猫

初期の段階では、なんとなく元気がない程度の症状にとどまることも多く、脳腫瘍と気付きにくいようです。しかし病気が進行すると、圧迫などで脳が影響を受け、様々な症状がみられるようになります。脳腫瘍と疑われる症状がみられた場合、MRIなどの画像診断を受けます。猫の脳腫瘍でみられる主な症状は以下通りです。

痙攣発作を起こす

痙攣して口から泡を吐くなど、てんかんの発作を起こすことがあります。痙攣が始まったら猫がけがをしないように周囲にある物を遠ざけて様子をみましょう。1日に3回以上の痙攣や、1回に10分以上痙攣する場合は危険です。すぐに病院へ連れて行きましょう。

性格が変わる

今までおとなしかった猫が攻撃的になるなど、性格が変化することがあります。

歩行が困難になる

四肢がマヒして足がもつれたり、ふらついたりして歩行が困難になり、立てなくなることもあります。

食事の様子に異常がみられる

食欲がなくなったり、逆に異常に食欲が増したりすることがあります。水をうまく飲めなくなることもあります。

行動に異常がみられる

家の中で迷子になったり、障害物を避けられなくなったりすることがあります。この他にも旋回運動や物陰に隠れるなどの行動をとる猫もいます。

トイレを失敗する

トイレ以外の場所に排泄してしまうことがあります。

意識障害を起こす

末期には意識がもうろうとし、最終的には死に至るケースがあります。

視覚障害を起こす

視神経に近い場所に腫瘍ができると、視力が低下して失明してしまう可能性もあります。

猫が脳腫瘍になったときの治療法

注射される猫

脳腫瘍の治療は人間同様に「外科手術」や「放射線治療」、「化学療法」などを組み合わせて行います。早期に有効な治療ができれば、元気になり長く生きる可能性もあるでしょう。猫の苦痛を和らげ、余命を伸ばすために病院とよく相談して納得のいく治療を選択しましょう。

外科手術

脳腫瘍の場所や大きさにより「外科手術」が選択可能かどうか判断されます。猫の脳腫瘍の中でも発症例が多い髄膜種では一般的に外科手術により腫瘍を切除します。大きな腫瘍も取り除くことができますが、大量出血や合併症などのリスクもあります。

化学療法

腫瘍の進行を抑えたり、症状を緩和したりする目的で抗がん剤などの「化学療法」を用いることがあります。一定の効果は期待できるものの、免疫力の低下や骨髄抑制、毛が抜けてしまうなどの副作用もあるので、投与する前にしっかりと説明を受けておくことが大切です。転移の危険性が多いリンパ腫などは化学療法が効果的とされています。

放射線治療

「放射線治療」では放射線をがん細胞に照射して進行を抑えます。外科手術が難しい場所の腫瘍も治療ができるというメリットがあります。一定の期間内で複数回に渡って放射線を照射して治療します。

緩和ケア

高齢の猫や手術が困難と判断された場合、「緩和ケア」を選択することがあります。住み慣れた家で痙攣の発作などの症状を緩和する薬を使って過ごします。薬は主に飼い主さんが与えることになります。

気になる脳腫瘍の治療にかかる費用

お金と電卓

猫の脳腫瘍治療には手術費用や入院費などで高額な治療費がかかります。進行の状況や治療法により差がありますが、一般的に検査だけで約3万円~15万円以上の費用がかかるとされています。手術になると50万円以上かかったというケースもあるようです。内服薬や抗がん剤のみの場合も1週間で数万円はかかることがほとんどです。病院によっても入院費や手術費用は異なります。治療の前にトータルでどのくらいの費用がかかるか確認しておきましょう。

もしもの時の備え!ペット保険

また、治療により腫瘍がなくなったと診断されても再発する可能性があります。治療費に不安がある場合はペット保険などを検討しておくことも必要です。保険に入っておくことで心理的な負担が軽減し、猫の治療に専念することができます。

まとめ

聴診器をあてられる猫

検査技術などの発達で猫が脳腫瘍であるとわかるケースも多くなってきました。脳腫瘍は重大な病気ですが、治療を受けることで症状を和らげ、余命を延ばす可能性は十分にあります。早期に気付いてあげられるように、少しおかしいなと思う症状がみられたら獣医さんに相談し、脳腫瘍の可能性が疑われる場合は詳しい検査を受けましょう。

かわいい猫のためならとことん治療してあげたいところですが、治療費や手術費用は想像以上に高額になることがあります。いざ治療する時に悩まないためにもペット保険に加入するなどして備えておくとよいでしょう。

日頃からいくつかの動物病院にかかり、良心的で信頼のおける病院を探しておくことも大切です。

投稿者

40代 女性 かな

友人が飼っていた猫ちゃんは、てんかん発作を繰り返すことで、動物病院に通っていましたが、猫ちゃんが5歳になったときに脳腫瘍が発見されました。すぐに手術をしていただいたそうです。悪い部分は取れるだけ取って下さったそうですが、少しだけガンが残ってしまい手術が終わりました。脳みそに癒着していて触れなかったそうです。結局、猫ちゃんは1年も経たない間に亡くなってしまいましたが、猫ちゃんもよく頑張ったと友人も感謝していました

スポンサーリンク