猫の肥満細胞腫とは?症状と治療の方法

猫の肥満細胞腫とは?症状と治療の方法

猫の肥満細胞腫という病気をご存知でしょうか。肥満細胞腫とは、猫が発症する腫瘍の中でも2番目に発症率が高いとされている病気です。腫瘍には、良性と悪性があり、悪性の場合は全身に転移する可能性もある病気です。この機会に、猫の肥満細胞腫について知識を蓄えておきましょう!猫の肥満細胞腫の原因や症状、治療法、治療費についてまとめました。

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫の肥満細胞腫とは

猫耳

猫の肥満細胞腫とは、肥満細胞と呼ばれる皮膚や粘膜等に分布する細胞が腫瘍化、つまりガンになる病気です。肥満細胞と言われると、肥満の猫がなりやすい病気だと勘違いされる事もありますが、肥満とは全く関係がありません。肥満細胞は、身体の防御に重要な役割を担っており、アレルギー反応等を発生させるヒスタミンを放出する免疫に深く関係した細胞です。

この肥満細胞腫は、皮膚型(肥満細胞腫)と内臓型(肥満細胞腫)の2つに分けられます。肥満細胞腫は、若齢期に見られる事もある病気ですが、比較的高齢の猫が発症する場合が多いようです。他に、シャム猫の発症率が高いとされています。

猫の肥満細胞腫の原因と症状

顕微鏡検査

猫の肥満細胞腫の原因と症状についてご紹介します。

猫の肥満細胞腫の原因

肥満細胞腫の原因は、ハッキリと解明されていません。ただ、シャム猫の若齢期での発症率が高い事から、品種や遺伝による要因もあるのではないかと考えられています。他には、多発性皮膚型肥満細胞腫において、猫エイズ(猫免疫不全ウイルスFIV)と関係があるのではないかと言われています。

猫の皮膚型肥満細胞腫の症状

肥満細胞腫の中でも発症率が高いのが、この皮膚型肥満細胞腫です。皮膚型肥満細胞腫は、主に頭部や耳、耳の付け根、足等の体表に脱毛を伴う小さなイボのようなしこりが発生します。基本的にはポツンと一つだけしこりができる事が多いのですが、なかには体中に多発する場合も。痒みや痛み等も少なく、初期症状は殆どないようですので、腫瘍の場所によっては発見が遅れる場合もあります。ただ、この皮膚型肥満細胞腫は50~90%の確率で良性であるとされています。

猫の内蔵型肥満細胞腫の症状

内臓型肥満細胞腫は、その名の通り内臓に腫瘍が発生する病気です。皮膚型と違い、目で確認する事ができない分、発見が遅れる場合が多いようです。この内蔵型肥満細胞腫は85%以上の確率で悪性とされています。また、小腸に発生した腫瘍が脾臓、肝臓へと転移しやすい事から、早期の治療が要となります。

症状が進行すると、元気がなくなる、食欲低下、体重減少、胃腸障害、痩せているのにお腹だけが膨らんで見える等の症状が見られます。触診で体内のしこりを確認できる場合もあるようですが、そうなると既に末期である可能性が高いとされています。

皮膚型肥満細胞腫、内臓型肥満細胞腫は、どちらも早期治療で完治する事も可能ですが、再発率の高い病気でもあります。また、原因がハッキリしない為、予防も難しいと言えます。皮膚型肥満細胞腫に関しては目視で確認ができるので、日頃のコミュニケーションの中でしっかりとボディーチェックを行い、異変にいち早く気付く事ができるよう心がけておきたいですね。

猫の肥満細胞腫 良性腫瘍の特徴

聴診器とペン

上記で、皮膚型肥満細胞腫は良性である確率が高いとお話ししました。良性の肥満細胞腫の特徴は主に以下の4つとされています。

  • 白っぽく盛り上がった腫瘍
  • 皮膚から孤立している
  • 数ミリ~2センチ以下
  • 体幹部に発生した腫瘍

しかし、あくまでも上記のような腫瘍が良性である可能性が高いというだけで、必ずしも悪性でないという保証はありません。自己判断は避け、必ず獣医師に相談しましょう。

猫の肥満細胞腫の治療方法

女医と猫

猫の肥満細胞腫の治療方法は、基本的に外科手術による切除です。見た目だけで良性、悪性を判断するのは難しい為、まず腫瘍を少量針で吸い取り、顕微鏡で検査をする細胞診が行われます。細胞診も、100%正確な診断ができる訳ではないので、良性である可能性が高い場合であっても、手術による切除後、病理組織検査が行われるのです。ただ、腫瘍が発生している場所や、状態によっては以下のような治療法が用いられる場合もあります。

ステロイド剤

皮膚型肥満細胞腫の場合、ステロイド剤の服用や、軟膏による治療が用いられる場合があります。実際に、ステロイド軟膏で皮膚型肥満細胞腫が縮小したというケースもあるようです。ただしレアケースですので、どのケースでも同じように行くとは限りません。

抗がん剤

外科手術で腫瘍を切除しきれない、手術ができない、再発を繰り返す等の場合に用いられる事があります。しかし、抗がん剤治療は副作用のリスクもある事や、完治を望むのは難しいと考えられる事から、獣医師によって意見が分かれるようです。

放射線治療

外科手術で腫瘍を切除しきれなかった場合や、何らかの理由で外科手術が難しい場合は、放射線治療が用いられる場合があります。日本では猫に対する放射線治療に対応した動物病院はまだそう多くないので、かかりつけの動物病院が放射線治療に対応しているかどうか確認しておくといいですね。大学病院では可能なことも多いですが、希望する場合は先に確認をとりましょう。

猫の肥満細胞腫の治療法は、外科手術による切除が基本となりますが、シャム猫の皮膚型肥満細胞腫の場合は自然治癒する可能性もあり、経過観察を行い手術をしない場合もあります。

猫の肥満細胞腫 治療にかかる費用

本に積み上がった金貨銀貨

猫の肥満細胞腫を治療する為に必要な費用は、腫瘍の状態や治療法により異なりますので、あくまで目安程度に参考にして下さい。

切除手術

肥満細胞腫の切除手術費用は、腫瘍の大きさや場所により異なります。手術費用は3万円~10万円前後で、手術費用の他に術前検査費用や入院費、術後の点滴等で3万円程度必要になる場合が多いようです。一度の手術で最低でも10万円以上は必要になると考えておいた方が良さそうですね。

抗がん剤

抗がん剤を用いた治療を行う場合、ひと月の薬代が2万円~3万円、治療に伴う検査がひと月に2万円程度とされています。これも、抗がん剤の種類や腫瘍の状態、動物病院によってそれぞれ金額が異なります。

放射線治療

肥満細胞腫の治療法の中でも、一番治療費が高額になるのが放射線治療です。放射線治療は1回の照射につき3万円~8万円とされています。これは、腫瘍の場所、状態、範囲等により金額が異なります。これを1週間に3~5回のペースで1ヶ月前後続ける必要があります。という事は、少なくとも1ヶ月で36万円、多ければ160万円もの治療費が必要になる可能性もあるという事になります。

猫の肥満細胞腫を治療する為に必要になる費用は、決して安いものとは言えません。しかし、愛する家族の為ですから出来る限りの事はしてあげたいですよね。そんな時の為にも、十分に愛猫貯金をしておく、猫用の保険に入っておく等の準備をしっかりしておきましょう!

猫の肥満細胞腫を放置した場合

太った黒猫

猫の肥満細胞腫を放置した場合、悪性であればもちろん全身に広がり、最悪の場合死に至る可能性もあります。皮膚型肥満細胞腫は、ただのできもののように見え、猫自身もあまり気にしていない事から、放置しても大丈夫だと思ってしまう飼い主さんも多いようですが、あくまでも肥満細胞腫は、ガンの一種です。

もちろん良性である可能性もありますが、自己判断せずに、必ず獣医師に相談して下さい。肥満細胞腫は、早期治療する事で完治が望める病気です。日頃からのボディーチェックや、定期的な健康診断で愛猫を病気から守りましょう!

まとめ

猫と女性

猫の肥満細胞腫についてまとめました。ガンと言われるととても怖いですが、肥満細胞腫は早期治療によって完治する事ができる病気です。初期症状も少なく、原因が明確でない為予防も難しい病気ではありますが、日頃から全身をチェックする事で皮膚型の肥満細胞腫であれば早期発見する事ができるかもしれません。また、治療費についても今一度しっかり考え、ペット保険への加入を検討してみて下さい。また、既にペット保険に加入している方も肥満細胞腫を発症した場合の補償について確認してみましょう!

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