猫のリンパ腫は完治する?
猫の悪性リンパ腫は、完治が難しい病気です。
ただ、治療によって完治とはいかないまでも、リンパ腫の症状が消える(寛解)ことや、延命が望める病気でもあります。
ただ、猫が悪性リンパ腫と診断されてから何も治療を行わなければ、1か月程度で亡くなってしまうこともありますので、リンパ腫に対する治療は早期発見、治療が要となります。
猫のリンパ腫が完治したような状態
猫が悪性リンパ腫を患ったとき、治療後に元気を取り戻し、一見完治したかのように見えることがあります。これは「寛解(かんかい)」と呼ばれるもので、完治とは異なります。リンパ腫の悪性度によるものの、完治には至らず、いずれくるリンパ腫の再発(再燃)は避けられず、寛解、再燃、再寛解と繰り返すことが多いようです。
猫がリンパ腫になったときは完治を目指すべきなのか?
猫の悪性リンパ腫には発生部位によって、解剖学的分類が定められており、リンパ腫が発症しやすい箇所は年齢によって異なることもあります。
猫が悪性リンパ腫になったときは、寛解、完治を考えその症状や状態によって治療方法を選ぶ必要があります。
抗がん剤治療
猫が悪性リンパ腫になったとき、延命を目的とする治療を行う場合は、抗がん剤による化学療法が用いられます。
しかし、前述したように猫の悪性リンパ腫は完治が難しく、寛解、再燃のサイクルを繰り返すため、長期間の抗がん剤が必要となります。動物の抗がん剤治療は、人間の抗がん剤と異なり、副作用が少ないとされていますが、個体や抗がん剤の種類によっては、副作用が強く出る場合もあります。
放射線治療
リンパ腫の発症部位によっては、放射線治療が用いられることもあります。
対症治療
猫が悪性リンパ腫になったとき、抗がん剤などを使用せず、現在ある症状を緩和することを優先する場合もあります。
これは、猫の悪性リンパ腫が既に末期であり完治が見込まれない場合や、抗がん剤治療による副作用などでQOL(クオリティ・オブ・ライフ)、つまり猫の生活の質が落ちることを避けるために選ばれる手段でもあります。
抗がん剤による副作用が強い、抗がん剤の効果が少ないなどの場合は延命よりも、現在猫が苦しまずになるべくいつも通りの生活を送れるよう、悪性リンパ腫の治療をしないでQOLを選ぶ飼い主さんも少なくありません。
猫の悪性リンパ腫は、全身のいたるところにあるリンパ組織が癌化することによって発症するため、リンパ腫の発生部位や悪性度、進行具合によって症状や治療法は様々です。
リンパ腫の完治は難しいものの、ステージIからVまであるステージの中で、低いステージの段階で発見、治療することができれば、長生きすることもできる可能性はあります。
愛猫が悪性リンパ腫を発症した場合は、治療方針を信頼できる獣医師に納得がいくまで相談、検討しましょう。
猫のリンパ腫の治療費
診察内容 | 値段 |
---|---|
検査費用 | 5,000円~10,000円 |
抗がん剤費用 | 15,000円~30,000円 |
ステロイド | 1,500~3,000円 |
対症治療 | 800円~3,000円 |
猫の悪性リンパ腫の治療費は、治療対象となる猫の状態や、性格、副作用反応などによってプロトコール(治療計画)は異なるため一概には言えません。
ただ、以下のような費用が必要になることが多いようです。
検査費用
悪性リンパ腫の診断はもちろん、リンパ腫の治療中も状態を確認するために検査費用が必要になります。
主に血液検査やレントゲン、超音波検査などが用いられます。
いずれも必要な項目や箇所によって金額は異なりますが、血液検査は5,000円前後、レントゲン1箇所3,000円前後、超音波検査は1,500円~5,000円前後であることが多いようです。
抗がん剤治療
同じリンパ腫であっても、体質や状態などによってプロトコールは異なり、同様に使用される抗がん剤の種類も様々です。
リンパ腫の抗がん剤費用は、抗がん剤の種類はもちろん、投与回数によっても金額は異なり、1回につき15,000円~30,000円前後であることが多いようです。
ステロイド投与
リンパ腫に限らず、対症治療や免疫の抑制のためにプレドニゾロンと呼ばれるステロイドが投与されることが多くあります。
特にリンパ腫では、抗がん剤として使用されることも。費用は1,000円~3,000円程度であることが多いようです。
対症治療
リンパ腫の発症による症状を緩和させるための内服薬や、注射などが必要になることもあります。症状によってリンパ腫の治療内容も異なりますが、800円~3,000円程度であることが多いようです。
猫のリンパ腫の治療費は、治療方針や状態によって異なりますが、決して安価なものではありません。実際に数か月間で、30万円~50万円の治療費がかかったという場合もあります。
愛猫がリンパ腫に限らず、何らかの病気にかかったとき、必要な治療が行えるよう、貯金やペット保険への加入など、しっかり準備しておきたいですね。
まとめ
猫の悪性リンパ腫についてご紹介しました。
猫の悪性リンパ腫は完治が難しい「悪性」という言葉がつきますが、そもそも猫のリンパ腫には「良性」はありません。
リンパ腫は、全身のリンパ組織に転移するため、外科手術を通常行わず、リンパ腫は完治が難しい病気でもあります。そのため、猫のリンパ腫の原因として考えられている猫白血病ウイルス(FeLV)などの感染症の予防を心がけ、ワクチン接種や完全室内飼いを徹底しましょう。
また、猫の悪性リンパ腫の初期症状には食欲不振や体重減少、嘔吐下痢などがありますので、異変を感じた場合は早期に動物病院を受診してくださいね。
40代 女性 なつき
治ったと思っても寛解ということで、完治は難しいのですね。リンパ腫は、リンパ節に腫瘍ができますので腫れてくると歩きにくかったりします。猫ちゃんの異変に気がつくのが遅かった場合は死に至ることがありますので、注意してあげましょう。日頃からブラッシングをするときに、体に異変がないかを触って確認してあげるといいですね。少しでも、腫れをみつけたら獣医師に早く診てもらいましょう。
リンパ腫は、とくに早期発見、早期治療が大切ですね。