猫が嘔吐する理由と注意すべき点について

猫が嘔吐する理由と注意すべき点について

猫を飼っている方でしたらみなさんご存知かもしれませんが、猫はよく吐き戻し(嘔吐)をする動物です。ですがその嘔吐、病気の兆候である場合もあるんです。今回は危険な嘔吐と安全な嘔吐の見分け方をご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が嘔吐する理由

舌を出している猫

猫はそもそもよく嘔吐する動物です。では何故嘔吐するのでしょうか?

人間や猫をはじめとする動物は喉の奥に刺激が加わった時、反射的に「おえっ」とえづいてしまいます。この現象のことを「嘔吐反射」というのですが、猫はこの嘔吐反射が極端に弱いのです。そのため、猫は水がなくても硬いフード類などを丸呑みできるのですが、逆に言うと、仮に人間でしたら飲み込む前に気付くものを、猫はいったん丸呑みしてしまった後に気付くため、飲み込んでから吐き出す、つまり嘔吐するという現象が起こるのです。

猫の胃の大きさは体重4kgで240mlくらいが目安といわれています。これは瓶入り牛乳1瓶程度の容量に相当しますが、勢いづいて一度にたくさんのエサを丸呑みしてしまうとあっさりとこの容量をオーバーし、胃袋がびっくりして押し返す→嘔吐する、ということになります。

不要な毛玉を吐き出すことも

また猫はよくグルーミングをする動物でもあります。この時に舐めながら自分の毛を飲み込んでしまうのですが、この毛は体内で消化されずにどんどん溜まっていきます。そしてある一定量になるとこの毛玉を排出するために嘔吐することがあります。また排出を促すために草を食べることもあるため、吐瀉物の中に毛玉や草が混ざっている場合は正常な嘔吐と考えて良いでしょう。

吐き戻しを止めないで!

猫にとって、正常な吐き戻しは健康を保つ上でとても大切な行動のひとつです。
床やカーペットが汚れるからといって、猫の吐き戻し、嘔吐の邪魔をしたり、止めたりするようなことは絶対しないようにしてください。

正常な猫の嘔吐の仕方

口を大きく開けている猫

猫が上記のような正常な嘔吐をする時にはまず態勢を低くして前脚で上半身を支えるようにし、腹筋を大きく伸縮させます。この時に「ガボ、ガボ、ガボ」「ゲホ、ゲホ、ゲホ」といった音が出ますが、胃の内容物を食道までせりあげている時に出る音なので心配はいりません。
これを何度か繰り返した後に大きく口を開け、胃の中のものを吐き出して嘔吐します。

病気の兆候となる猫の嘔吐

嘔吐している猫

上記のような正常な嘔吐以外に、こんな嘔吐をしていませんか?

  • 吐瀉物の中に血のようなものが混ざっている
  • 吐こうとする動作はするが、実際には何も吐き出さない
  • 吐瀉物から薬品のような臭いがする
  • 吐瀉物の中に回虫がいる
  • 食事をした後に必ず吐く
  • 1日に何度も吐き戻す

猫にこのような嘔吐があった場合は、何かしらの病気の兆候を疑ったほうがよいかもしれません。考えられる原因としては異物誤飲や胃潰瘍、急性胃炎、食品アレルギー、何らかの有毒物を食べたなど、様々な原因が考えられます。

また吐瀉物の内容は、病気の原因を特定するために非常に役立ちます。できれば吐瀉物の画像を撮って、可能であればそのままビニールにくるむなどして病院に持参し、早めに診察を受けるようにしましょう。

黄色い胃液を吐くのは病気?

猫の嘔吐の中にも、こういった内容以外に寝起きや食前など、白い泡状の液体や黄色い液体を吐くことがあります。これは猫の胃液や胆汁で、そのほとんどの場合は空腹が原因となります。
1日に1回程度でしたら問題ありませんが、時間をあけて2回以上吐くようでしたら何かしらの体調不良かもしれません。獣医さんで診察を受けることをおすすめします。

まとめ

窓際に座る猫

冒頭にも書いた通り、猫はよく嘔吐する動物ですので、特に初めて猫をお迎えして飼われたばかりの方はびっくりするかもしれません。ですが毎日観察していると、だんだんと正常な嘔吐とそうでない嘔吐の状態がなんとなくわかってくるようになるかと思います。愛猫にはいつまでも元気に過ごしてもらいたいもの。そのためにも毎日しっかりと観察して、愛猫の健康を守ってあげたいですね。

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