知らぬ間に忍び寄る!?猫の「尿路結石」
人間であれば激痛を伴う尿路結石ですが、猫の場合は必ず痛みを伴うとは限りません。痛みがないままに進行していることも珍しくないのです。
言葉で不調を訴えられない愛猫に代わり、いち早く気づく方法はないのでしょうか?ここでは静かに忍び寄る、猫の尿路結石のサインや症状についてご紹介いたします。
小さなサインは猫砂にあり!?
そもそも尿路結石とは「腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気」で、「猫下部尿路疾患(FLUTD)」の代表的な疾患のひとつです。
上記の部位にできた結晶や結石が尿道を傷つけたり、尿道が詰まるなどのトラブルを引き起こします。大きさは砂状のものから、石と認識できるものまで様々です。
尿路結石によって発生した結晶は、しばしば尿とともに排出されることがあります。猫砂やシートにある尿がキラキラと光っている場合は、結晶や結石を疑いましょう。
さらに血尿として排出されるされることもあります。猫はメス猫の場合でも月経がなく、経血が尿に混ざることはありません。尿の色が茶色や赤みを帯びているようであれば血尿です。日頃からトイレ掃除をする際に、注意深く観察してみましょう。
尿路結石が疑わしいときの症状
先ほど紹介したようなトイレの異変が現れないケースもあります。そこで、次に紹介するような症状がないかチェックしてみてください。
- 何度もトイレに行くが排尿がない
- トイレ以外の場所で粗相をしてしまう
- 普段とは明らかに異なる鳴き声をあげる
- うずくまる
- 落ち着きがない
- 食欲不振や嘔吐などが見られる
これらの症状が見られたら、少なくとも翌日には動物病院を受診しましょう。
オス猫は特に注意しよう!
猫の尿路結石は、オス猫のほうが発症しやすい傾向にあります。これは、尿道の形状がメス猫とは大きく異なり、結晶や結石ができやすく詰まりやすい構造をしているためです。
そして、オス猫の場合は早期発見・早期治療が不可欠です。遅れてしまうと命に関わるリスクがメス猫よりも高いのです。
尿路結石になりやすい猫種
尿路結石は猫種や年齢、性別を問わず発症することのある疾患です。中でも次に紹介するような猫種は、発症しやすい猫種といわれています。
- アメリカンショートヘア
- スコティッシュフォールド
- ヒマラヤン
- ラガマフィン
尿路結石の種類
猫の尿路結石は、次の2種類が代表的です。
ストルバイト結石
ストルバイト結石は1~6歳の若年層に多い尿路結石です。尿がアルカリ性に傾くこと(pH6.6以上)で結晶化しやすくなります。
治療法は、療法食や生活改善(積極的な飲水や肥満の改善)がメインで、状況によっては薬と服用を必要とする場合があります。稀に手術で結石を取り除くこともあります。
シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウム結石は7歳以上のシニア期に多く、特に11歳以上の高齢の猫が発症しやすいタイプの尿路結石です。こちらは尿が酸性に傾くこと(pH6.0以下)で結晶化しやすくなります。
シュウ酸カルシウム結石の場合は療法食で結石を溶かすことができず、手術によって結石を取り除かなければなりません。さらに細菌感染が認められた場合は、抗生物質を服用することがあります。
尿路結石は予防できるの?
尿路結石は、以下のような方法である程度予防することが可能です。
- 水を飲みやすい環境をつくる
- トイレ掃除を怠らない
- 適度に運動し、肥満を防ぐ
- おやつに注意
猫はとても綺麗好きです。まずは猫のトイレの清潔をしっかりと保ちましょう。そして、猫は習性上水を積極的に飲む習慣がありません。水の温度や飲み方、ウエットフードの活用などで工夫してみましょう。
また、肥満も尿路結石になりやすい原因のひとつです。標準的な成猫であれば3kg程度の体重を維持していきましょう。
イリコや鰹節など、ほんの少しだからとあげていませんか?ミネラル(特にカルシウムとマグネシウム)が多いものをおやつであげると結石ができやすくなります。注意が必要です。
まとめ
猫は泌尿器系の病気になりやすく、尿路結石は珍しい病気ではありません。病気の特徴や初期症状を理解して、異変があれば動物病院に連れて行くことが大切です。そして、予防も重要になります。
それでも万が一発症してしまったら、上手に付き合っていきましょう。この病気は予防・早期治療・再発防止がポイントになります。